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【お題拝借】教授との信頼関係を作る方法

2017年2月26日

日曜日は「お題」の日なのですが、今回は質問がないのでフリーテーマで書きます。

「かやのみ日記帳」というブログで「研究室の教授との付き合い方を変えてうまくいった話。教授を共同研究者に引きずり込む」という記事の中にこんなことが書かれていました。

教授はあまりにも忙しく、そしていろいろ忘れる。当たり前だが、忘れる。自分にとって研究は一つだが、教授にとっては過去、現在、生徒の分も含めると数十は当たり前だ。

そして、こんなことも。

教授を雇おうとすれば尋常じゃなく高くつく。だからこそ大学生はぜひ有効活用してほしい。大学教授を有効に使えるのは大学生の特権かもしれない。

そういえば5年前のブログにこんな記事を書いていました。

院ゼミコラム(9):指導教員はあなたの研究を覚えていない

あなたの指導教員は、あなたの研究を覚えていない。テーマくらいは覚えているだろうけど、具体的にどういう研究計画で、どこまで進んでいるのかを逐一覚えているわけではない。たとえ、あなたがどんなにマメに報告したとしても。

もちろん覚えている指導教員もいる。それは、担当している学部生、院生の数が少ない場合が1つ。1人、2人ならば覚えていることができるだろう。もうひとつは、指導学生のテーマが研究室のテーマとして決まっている場合。この場合は、いわば教員自身のテーマなのだから、覚えていることができる。

しかし、担当している学生が多くて、しかもテーマがめいめいばらばらの自由テーマであるという場合は、覚えているのは無理だ。だからといって、「先生は私の研究のことを覚えていない。関心がないんですね。どうでもいいんですね」と責めるのはちょっと待ってほしい。

あなたが自分の研究についてちゃんと説明すれば(レジュメを作ってくるとさらにいい)、指導教員は、適切なアドバイスをくれるはずだ。「えーと、この因子分析の結果は何次元だっけ?」と聞かれても、(先生、覚えていないんだ)と思うより前に、さっと資料を出してくればそれですむ話だ。

打合せするごとに、アドバイスや指導の方向が変わったりすることもあるかもしれない。(ああ、この人は、自分が前に言ったことも忘れているんだ)と思うかもしれない。

確かにそういう場合もあるかもしれないが、そのたびごとに、新しい発想でベスト(主観的に)のアドバイスをしている可能性の方が高い。だから、たとえ前の助言とは違ったとしても、より良い助言として聞けばいい。最終判断をするのは、「あなたの仕事」だ。

逆に、ひとつひとつあなたの研究に注文を付ける指導教員を、イメージしてみたらどうだろう? いったい「誰が」研究をしているのか、わからなくなってしまうのではないだろうか。

「あなたの研究」をしているのは「あなた」だ。指導教員ではない。あなたはあなたの研究に誇りを持つ。あなたは助言を受ける権利を持っている。だけど、命令されることはない。助言を受けても最終判断はあなたの仕事だ。

あなたの研究を覚えていない指導教員は、その意味で、けっこういい教員かもしれないよ。

■ブログ記事終わり■

「院ゼミコラム」というのは、これから大学院生として研究をしていこうという人に向けて書いた連載コラムです。私の「院ゼミコラム」の記事にまとめられています。興味があればどうぞお読みください。

ともあれ、「教授はゼミ生たちの研究のことを覚えていない」ということが広く知られるのはいいことだと思います。さすがにゼミ生の研究テーマくらいは覚えていますが、モデルや仮説やデータ分析や考察の進み具合を逐一覚えている先生はほとんどいないでしょう。

ですから、相談してくる方としては、自分の研究全体を把握しておいて、必要となれば数分で説明できるように用意しておくことが必要です。研究ノート(ラボノート)を作っておいて、そこに順次資料や分析結果を貼り付けておくのもいいでしょう。「これはどうなんだっけ?」と聞かれたとき、即座にそのデータが出てくるのはお互いに気持ちの良いものです。そうして信頼関係が作られていくのだと思います。

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