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法制審議会家族法制部会第7回議事録6~大石委員・池田委員・柿本委員・落合委員

合宿の余韻が覚めない

今回、面白写真を撮る(真面目な写真も撮ったよ)企画もあって、心霊写真撮ったよー、と座敷童風に撮られている息子(5歳)もご機嫌であった


さて、議事録を読み進めていこう!ウェビナーは12月14日
(noteの機能が新バージョンになっていて、リンクの張り方とかしやすくなってる~)

○大石委員 

ありがとうございます。千葉大学の大石です。
 すみません,私は法律の専門家ではないので,視点が違うかもしれないんですけれども,今話し合っている方向性は,大きくまとめると非監護親のバーゲニング・パワーが恐らく増すということだと思います。そういうことになるとすれば,養育費の確保などの強化をしっかりしていくということも,表裏一体のものとして進めていく必要があるんではないかと思います。
 それから,細かい点を詰めていくというお話を伺っているわけなんですけれども,契約理論では,あらゆる事態を書き尽くせるのかという問題があります。例えば,企業間で取引をするときに,あらゆる想定し得る事態を契約に書き尽くすことはできないと考えられています。そして,あらゆる事態を契約書に書き尽くせないとしても,双方がよい方向に協力できるようなインセンティブをそれぞれに与えるということは,実は大事だという考え方があります。ですので,子育てについても,恐らくありとあらゆる事態というのは,列挙し切れないのではないかなと思うので,もう少し大枠で考えていただいてもいいのかなと思います。
 それから,三つ目は,子の利益を誰が判断するのかという問題です。やはりこれも価値観に関わってしまうところがあって,例えば,子どもが大学へ行かないで,アメリカに行ってロックミュージシャンになる修行をしたいとか言い始めたときに,では,大学受験するのとしないのとどちらがよいのか,誰が決められるのだろうかというような話もあり得るかと思いますので,それについてどういうふうに皆様お考えなのかなと疑問としてあるということです。ありがとうございました。
○大村部会長 ありがとうございます。3点,今までの議論と少し違う観点から御指摘を頂いたかと思います。
 一つ目は,今回の検討している問題というのは,非監護親に一定程度バーゲニング・パワーを与えるということになるのではないか,そういう前提に立つとすると,養育費の方の強化とバランスを取る必要があるのではないか,こうした御指摘があったかと思います。これは,今議論しているものを,どう位置付けるのかということとも関わってくると思いますので,一概には言えないところもありますが,御指摘のようなことが考えるべき要素としてはあるだろうと思います。
 それから,全ての場合を想定することはできない,これは当然なのですけれども,最終的に,幾つかにまとめて書くとして,現在想定できる主な事柄については,ある程度まで詳しく考えた上で,一般化を図るべきではないかというのが,法律家の委員の御発言だったと理解をしております。その上で,それと関連しつつ,あるいはそのことと独立に考えた場合にも,うまく話がまとまるようなインセンティブを付与する制度を組み込んでおく必要があるのではないかという御指摘も頂きました。
 3番目に,子の利益の判断をどうするのかということで,これはいろいろな議論がこれまでにもなされているところだろうと思います。誰かが子の利益を客観的に判断することができるのか,あるいは,それは難しいことなので,子の利益を判断すべき人は誰かを定めて,その人の判断に委ねるという制度を作るのか,いろいろな考え方があると思いますけれども,そこは御指摘のように十分に考えなければいけないところだろうと思って伺いました。ありがとうございました。

○池田委員 

 先ほど赤石委員から,こういった双方責任という制度を導入したときに,一体誰が選択するのかという御意見があったことを受けてですけれども,私としては,一定のニーズはあるのかなと考えています。実際,私が担当したケースでも,進学に関して双方が関与していくような内容の取決めをして合意をしたということもございました。
 ただ,確かに,同居親が進んで,自分の今ある全ての権限を制限するような形で提案してくるというケースは少ないかもしれませんけれども,ただ,それについても,例えば進学について,先ほど武田さんのお話がありましたけれども,学費というふうな点と絡めて,学費を出してくれるということであれば協力をしてもらうよと,決定について関与してもらうのもいいよというふうなこともあるかもしれません。これは,大石委員の先ほどの御指摘,あるいは前回の御指摘でもあったところかと思いますけれども,そういったところとも関連して,この制度を作っていくということもあり得るのかなと思います。
 あと2点目としては,双方関与ということを考えたときの対象事項,16ページの①から⑥ですけれども,これは,全部についてそれぞれの当事者が双方で関与するニーズを感じているかというと,必ずしもそうでもないようなところも感じています。それぞれのケースで着目している点というのは,いろいろ区々に分かれるのではないかと思いますので,一定の選択ということが可能な制度というのが望ましいかなと思っています。
 あと3点目ですが,こういった双方の決定責任ということを考えたときに,私,以前に,長いプロセスがあるので,そこにどのような責任を負っていくのかという問題意識を述べたところでしたけれども,やはり別居親がしっかりとその決定に対して真っ当な意見を言えるためには,それなりにプロセス全体に何らかの関与がそれまでにある必要があるのではないかと。そういう意味では,平素の面会についても,一定の充実したものがあるということが必要ではないかなと考えています。
○大村部会長 ありがとうございます。3点御指摘いただきましたが,1点目は,このようなことを考えるに当たって,一定の需要はあるのではないかという御指摘で,2点目はそれと関わっておりましたが,全部が必要ということではないかもしれないので,選択が可能なような制度が望ましいのではないかということ。それから,3点目は,池田委員が前からおっしゃっている点ですが,決定に至るプロセスを考える必要があるのではないかという御指摘がありました。それとの関係で,先ほどの大石委員の御発言にもありましたけれども,養育費との絡み合いをどう考えるのか,面会交流との関係をどう考えるのかという問題も出てくるのではないかという御指摘を頂きました。

○柿本委員

柿本でございます。よろしくお願いいたします。
 武田さんには,御自身の経験をお話いただきありがとうございました。子どもを養育するということは,日々決断を迫られて生活をするということだと思っております。父母が子に関して決定責任を負うべき事項の分類についてでございますが,重要決定事項,日常的決定事項,随時決定事項とそれぞれ決定事項を洗い出して,決定責任主体毎に整理しておくことは,とても重要だと考えます。
 以上でございます。
○大村部会長 ありがとうございました。最後にまとめていただいたのではないかと思いますが,検討事項の洗い出しという作業は,この後の検討のために必要なのではないかという御意見として承りました。

○落合委員 

 どうもやはり,親と親の話が前に出てきているように思って,子どもの決定というか,子どもがもうちょっと見えるようにして論じたいなと思うんですね。
 情報を相手の親に知らせるのがちょっと手が掛かるということで,本当に関係が切れていたらそうでしょうね。子どもが,例えば,面会交流というわけでなくても,何かコミュニケーションができているとか,LINEでつながっているとか,何かそんなような状況があれば,だから,親同士がつながっていなくても,子どもが両方の親とつながっているような状況が普通にできていたら,特にわざわざ情報を与えなくても,双方決定というか,何か意見を言ってもらうということはできるのではないかと思うんですね。
 そういう良好なケースを想定するとすると,双方が関わらなくていいケースを,むしろしっかり決めておく方が大事なのではないかと思うぐらいで,ですから非常に,先ほどもお話のあった緊急の決定が必要な場合ですとか,両方では決められないケースというものの方が,むしろはっきりしてくるのではないかと思うんですね。もう少し多くのことについては,子どもが両方に相談できるみたいなことができたら,いいのではないかなと思うんです。もちろん,個別のケースありますので,両方の親にもよりますし,子どもとの関係にもよるんですけれども,子どもがいろいろな選択肢を持っているということが保障できたらいいように思います。
 それで,ただ,子どもの年齢との関係があると思うので,それもどこかで決めないといけませんよね。何歳以上の子どもについては,子どもの決定を第一としてというようなことにしておくということで,先ほど赤石さんのおっしゃった拒否権というの,本当にそんなのを発動されると面倒だなと思うんですけれども,拒否権は基本的にないとは設定できないでしょうか。どっちの親にも拒否権はない,少なくとも子どもが何歳以上であったら,親に拒否権なんかないんだと設定して,ただし,両方が意見は言えるというような,そういう作り方はできないんでしょうか。ちょっと法的に,それはどういうふうに作ったらいいのかがよく分からないので,ただ,双方決定というような言い方をするときついと思うんですけれども,両方に相談できて,両方の意見を使いながら,子どもが両方の親と交渉できるというような,そういう状況を作ってあげることがいいように思います。
 今申したことと全く別件なんですけれども,関係しているけれども別件なんですけれども,宗教の選択というのがありますけれども,これって,憲法違反にならないんですか。信教の自由が子どもにあるとすると,宗教の選択に親が関わるというのはいいんですかね。世界的には,ここの場面で宗教の選択というのも入ってくるというのは存じていますけれども,何かちょっと,先ほど親権の範囲に入るのかという話がありましたけれども,日本でもこれをここに入れておくのがいいのかどうかというのは,ちょっと疑問を持っております。だから,子どもの決定権との関わりでなんですけれども。
○大村部会長 ありがとうございます。大きく分けて二つ御指摘いただいたと思いますが,一つは子どもベースで考えていく必要があるということで,双方の親に相談できるという状況をできるだけ確保すべきだという御指摘と,それから,子どもの年齢に応じて自分で決められるということがあるだろうから,そのことを組み込む必要があるという御指摘を頂きました。拒否権という話もありましたけれども,双方が決定に関与するということが拒否権として作用する場合があるという御指摘が,先ほどから出ているので,そうなった場合にどうするのかということを考えていかなければいけないという御指摘も頂いたかと思います。
 もう一つは宗教の問題で,これは,先ほど窪田委員からも御指摘がありましたけれども,この問題自体をどのように位置付けるのかということは,やはり少し分けて考える必要があることなのかと思って伺いました。ありがとうございました。
 第3,第4につきましては,大体このぐらいでよろしいでしょうか。

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00088.html

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