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法制審議会家族法制部会第6回会議議事録6~落合委員・赤石委員

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○落合委員 

落合です。戒能先生からの御発言に対してなのですけれども,戒能先生の取組については非常に尊敬申し上げているのですが,今日おっしゃっている,今までもおっしゃっている,DVは例外ではないというのは,やはり私は受け入れられませんね,家族社会学者として。全ての夫婦間にはDVがあるということですか,例外ではないというのは。ここにいる全ての人たちはDVの加害者か被害者ですか,あるいは全ての親密な関係にはDVはあるということですか。それはすごく強い言明で,家族社会学者としては,やはり現実味がないと思うのです。それから,そういうDVがあるから一方の親の関わりを絶つということだと,父親の育児参加とか言っている今の風潮ですね,それは賛成している人が多いと思いますけれども,それも危険だと思われますか,普通の夫婦関係とか親子関係でですね。それは,いろいろうまくいっているケースも一杯あるわけですし,やはりバランスを欠くと思うのです。実務とか実践をやっている方たちは問題のある例を多く見ているのだと思いますけれども,しかし,それが一般であると言ってしまうと,やはり全体としてバランスを欠くと思いまして,どういう立場からこの審議会が議論しているのか,世間の人から少し疑問を持たれるのではないかと思うのですけれども。DVの問題とかが軽いことだとか,少ないと言っているわけではないのですけれども,それは例外ではありませんという言い方はものすごく強い言明なので,私はやはり学者として,それは言えません。
○大村部会長 ありがとうございました。表現の問題もあろうかと思いますけれども,戒能委員にお答えいただいてもいいのですが,私の理解したところでは,それがマージナルな現象であって,周辺的な問題として位置付ければよいというような性質のものではないという御主張なのだろうと思います。全てのカップルの間にDVがあるという御主張をされているわけではないと受け止めておりますけれども,そういう御趣旨ですね。
○戒能委員 そのとおりです。
○大村部会長 ただ,落合委員のおっしゃることも分かって,例外ではないということになったときに,ではどのくらいあるのかという認識については,例外ではないという言葉が出ただけですと,なかなか皆さん一致しないところがあります。その辺りは,戒能委員もおっしゃっているようにデータがなかなかそろわないところがありますけれども,おっしゃっているのは,皆さんが思っているよりもマージナルな現象でないと受け止めていただきたいという御趣旨だと思いました。
 またDVについて議論するときに,戒能委員あるいは落合委員の意見を更に伺いたいと思いますが,差し当たり赤石委員の手が挙がっているほか,窪田委員,原田委員,大石委員と立て続けに手が挙がりました。赤石委員には先ほど,続けて御発言を伺うと申し上げましたので,御発言を伺いますが,あとの方については休憩を挟ませていただいて,その後に御意見を伺いたいと思います。戒能委員ももし何か御発言があれば,休憩の後でお願いをしたいと思います。

○赤石委員 

しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。発言のチャンスをありがとうございます。先ほど細矢委員,御説明ありがとうございました。今,フラットな立場から中立的に関わろうとしているという御説明があって,確かに裁判所での対応が少しずつ変わってきているということは聞くところでございます。一方,5年前あるいは7,8年前に面会交流など,養育費とかで調停をされた方の本当に苦しんだ体験を聞いていて,そういう意図ではなかったという家裁の実務がどうしても原則面会交流となってしまった,そこの何か,法律を1個変えたことによってものすごい影響があるということの教訓を得られるのかなと思っておりまして,その間,離婚調停など裁判をされた方たちのアフターフォローは,やはり裁判所はできていないわけでございます。その間に,決まったことによって後で殺人事件なども行われていたことであったわけなので,その辺りというのは一体どう考えたらいいのだろうかというのは思ったところでございます。
 だから,趣旨として掲げていくことと,それが実施されていくときのギャップというのを,私はものすごく川下にいるわけでございますので,感じたわけで,ですから,一つの法律を動かすということは,先ほど戒能先生も例外のお話がありましたけれども,一つのものを動かすということは,全ての方に適用されるのであれば,一番端っこにいる方たちの人権も考えないといけないということでございます。
 もう一つ,細矢委員の御発言で,これだけ手間暇を掛けた実務をやろうとされているのだということを改めて感じました。そうであるならば,今の調査官の方たちの人員ですとか,何度も実務で聴き取っていこうとされているということでは,今の裁判所の体制で果たして可能なのだろうか,やはりこの辺りが,実は法律をどう変えるかということと同じぐらい大事なのは,裁判所の体制をどう充実させていくかというところにあるのかもしれないなというふうなことを,お話を聞いていて思った次第でございます。その点も非常に重要な点,要するに法律の条文を変えただけでは実現しない子どもの利益というのをどう実現していくのかも一緒に考えざるを得ないかなと思います。
 11ページのところなのですけれども,協議離婚にある程度のかせを付けていくという方向性については,私はある程度は慎重なのですけれども,先ほどいろいろな委員から御意見があったように,養育費と面会交流は少しやはり分けて考えるべきですし,特に債務名義化というようなことに関しては,しっかり分けるべきではないかと思います。最初のヒアリングでもあり,ここでも9ページで,お子さんがやはり取決めをかっちりされたときにはなかなかうまく適応できないのだというようなお話もありました。それから,監護親,非監護親の事情というのも非常に変化します,ということがございます。それから,親ガイダンスにも関わるのかもしれないのですけれども,やはり取決めをするときの,別居されていることが多いのですけれども,ひとり親の経済的な,あるいは生活の実情が非常に日本は深刻です。これは,ひとり親の相対的貧困率が半分であるとすれば,別居時のひとり親と思われる方たちは多分80%ぐらいは貧困でしょう。非常に困難を多重的に抱えております。ここに厚労省的な福祉も届いていない,このことを解決しないと多分,協議離婚でどう決めていくとか,そういうことの議論になっていかないのですよということが,どうも法的な取決めの中で忘れ去られそうなので,少し言及しておきたいと思います。
 この間,児童扶養手当の現況届時のいろいろな窓口でのハラスメントについての調査を,傷付く窓口ということで発表させていただきました。厚労省にもお届けしたのですけれども,実際には家の近くに前夫がいるだけで事実婚と認定されるですとか,そういう聴き取りをされておりますのが実情です。ですから,今の厚労省の運用だと,面会交流を認めている運用にも少しなっていないのかなと私は思っております。そういった別居時の対応ですとかそういったことをやはり社会全体で変えていかないと,民法,家族法の枠では変えられないものがあるなというのが私の印象でございます。
○大村部会長 ありがとうございます。たくさんの御指摘を頂きましたが,最後におっしゃっていただいた,家族法を変えることによっては変えることができない問題があるという点,これは確かにそうなのだろうと思いますが,家族法上の制度にしても,それを動かすための条件を考える必要があるのではないかという御指摘も頂いたかと思います。これは,先ほど沖野委員ですとか大石委員も触れておられたところなのではないかと思います。課題に即して言うと,課題の②や④については,養育費の問題と面会交流の問題をやはり分けて考える必要があるのではないかという御指摘を頂いたと理解をいたしました。
 先ほど申しましたように,まだ窪田委員,原田委員,大石委員と手が挙がっておりますけれども,始まりまして1時間半以上たちましたので,ここで10分休憩させていただきまして,その後,再開したいと思います。現在15時9分ですので,15時20分まで休憩いたします。
 では,休憩いたします。


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