見出し画像

子の氏の変更は、家裁の許可が必要です

意外に当たり前すぎるようで、周知徹底されて欲しいルールがある

子の氏の変更に関して


第791条

  1. 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。

  2. 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。

  3. 子が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる。

  4. 前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から1年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。

基本の氏のルールも確認しよう

夫婦の氏

第750条

夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻のを称する。

子の氏

第790条

  1. 嫡出である子は、父母の氏を称する。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。

  2. 嫡出でない子は、母の氏を称する。

婚姻している父母の子は嫡出子となって、夫婦同氏規定によって、父母と同じ氏になる

それゆえ、婚姻中は、父又は母と氏が異なるということが基本は起きない(父母が養子縁組によって氏が変更した場合の手当は別にある)

婚姻が継続する限り(離婚するまでは)親子同姓が約束されているというのが民法のルールだ

そのはずが・・・

離婚事件を扱う中で、たまに見聞きするのが、離婚前の通称使用による勝手な子の氏の変更である

これは、親権侵害でもあると思う

氏名は個人が尊重される基礎とも語られる

子どもだって、氏名に対してアイデンティティを形成するわけで、氏名の変更を慎重に行うことこそが、個人の尊重であるのに、どうもその要請が後退しているように見えることが見受けられる

夫婦別姓議論があって、たしかに私は、夫婦別姓の当事者という面もあるし(絶対改姓したくない)、法改正の行く末を見守っているけども、それよりも、、すでに頻発している、法の潜脱ともいえる、勝手な子の氏の変更に対して、世間はよく議論すべきだと思う

たしかに、正式な子の氏の変更が行われるわけではない
戸籍上の子の氏の変更が行われるわけではないけども、行政などが、一方の言い分だけを聞いて、子どもの通う学校での通称使用などを安易に認めてしまうことがあるわけだ

もっとひどいケースだと、親のルーツと関係のない氏を通称使用させられる子どもの話も聞いたことがある

幼いながらに、どういう理由なら正当化されるのか不明ではあるが、通称使用での生活を強いられるあまり、アイデンティティ形成にゆらぎを感じるような、そういう反応が起きるといった影響さえあるという

あ~なたのお 名 前 は ?

・・・という歌もあるくらいだけど、だいたい3歳くらいになれば、フルネームが言えるようになるだろうか

これが、怯んでしまう子がいるというのである

まさか、である

我が家は、2:2:1の家族別姓だし、きょうだいもひとりひとり氏が違うし、親子別姓だけど

法律を駆使して、いつでもママと同じ氏にすることができるよ、と言っても、3歳にはフルネームを名乗るようになってアイデンティティを確立している子どもは、改姓を望まない

いくらママ大好きっ子であっても、自分の氏名で育ってきた中でのアイデンティティの尊重はまた別である

こんな理不尽がまかり通っている中で、少しケースは異なるものの、子の氏の変更が行われないようにするための離婚訴訟において主張を尽くした実例もあったのだけど、裁判所が油断しているのは、この規定があるからだ

前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から1年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。

民法791条4項

成人年齢が引き下げられたので、成人式(20歳)のとき、というタイミングでは遅いかもしれないが、ぜひよく知られて欲しいと思う

基本的には、氏の変更は、家庭裁判所の許可が必要だが、親の改姓に伴い、子の氏の変更をさせられた子の救済手段として、民法791条4項で、成年に達した時から1年以内であれば、届け出だけで、復氏することが可能である

これは是非知って欲しい

親が子に伝えておきたい民法のルールだと思う



親子に優しい世界に向かって,日々発信しています☆ サポートいただけると励みになります!!いただいたサポートは,恩送りとして,さらに強化した知恵と工夫のお届けに役立たせていただきます!