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法制審議会家族法制部会第7回議事録8~赤石委員・原田委員・石綿幹事・久保野幹事・赤石委員・菅原委員

ウェビナーの前だけど、手作り法制審にゲスト登壇します!

今の議事録も読みつつ、70年前の議論も考えていこう~
さあ続き

○赤石委員

 ありがとうございます。
 第5のところで,この緩やかな規律,中間的な規律,強い規律ということなんですけれども,諸外国で共同養育ですとか,いろいろな御発表があったかと思うんですが,意外に,事後報告のようなことで①的な国も多いのかなと思っているんですが,その辺り,少し諸外国の実情を教えていただけると,現実的にどの程度できるのかということも見えてくると思いますので,今日ではなくても結構なんですけれども,少し現実的なものを見せていただけたら有り難いです。本当に,③の強い規律でやりますと,かなり現実的には難しいんだろうなと思っております。
○大村部会長 ありがとうございました。①から③まで,19ページの規律,これだけではないのかもしれませんけれども,諸外国で決定に双方が関与するという場合には,どのようなものが使われているのかということですね,今までに外国法について出ている資料などで分かる限度で,取りまとめてみることが可能でしたら,事務局の方で御検討いただきたいと思います。ここでは無理だと思いますので,また後で調べていただければと思います。

○原田委員 

弁護士の原田です。
 関与のところについては,私も先ほど申しましたし,池田委員がおっしゃったようなことに賛成です。
 あと,21ページの関与の具体的な態様に関する規律を設けた場合に,その規律に違反した場合の効果に対する規律の問題ですが,これは,どういう内容を考えるのか,要するに,それに違反した場合の意思表示の効果の問題を考えるのか,あるいは,これは資料7のところの,子の意思に反した決定をした場合に,損害賠償のようなことを考えるのかというところが疑問があります。もし後者の場合ですと,誰が誰の権利を侵害したことになるのかということになって,親権の権利性という,その復活につながるのではないかという懸念があります。この辺りは,慎重に考えるべきではないかと思っております。
 それと,必要ないかもしれませんけれども,先ほど武田委員がおっしゃった意見でいうと,やはり見ている場面が全然違うのかなというのを,改めて実感しました。私は,DVや虐待のことを考えるべきということをよく申しておりますけれども,その場合に,私どもが経験しているDVの加害者と言われるような人たちは,本当に子どもに会いたいということだけを言っているとか,あるいは親であるということを否定されたことを悲しんでいるということだけではない,という感じを持っておりまして,見ている場面が全然違うんだなということを,改めて実感いたしました。
○大村部会長 ありがとうございました。先ほど来の池田委員,武田委員の御発言についてコメントをしていただくとともに,別の問題として,21ページの課題の最後に出てきます,規律違反の効果というのがどういうことなのか,この効果をどのように考えるかということは,親権の性質論と結び付いてくるので,慎重に検討する必要があるのではないかという御意見を頂きました。
  ほかに,この第5につきまして御発言ございますでしょうか。

○石綿幹事

 石綿です。関連して指摘させていただければと思います。
 19ページでどの規律ということについては,今の段階では自分の意見は固まっていないのですが,武田委員,原田委員がおっしゃったように,様々な家族の実態を伺いながら,次の段階で考えていきたいと思っております。
 その上で,③の強い規律のところに提案されている,当事者が合意できない場合に,裁判所が関与をしていくという方向性は,是非議論ができればと思っております。この点につきまして,ここからは少し外れるかもしれませんが,本来,父母の婚姻中も共同して決定をするということが原則になっているかと思いますが,そこで共同決定ができない,父母の意見の不一致がある場合について,現行法では明確な手当てがされていないのではないか,法の欠缺であるという指摘が学界では多くなされているかと思います。前回原田委員が,この双方責任の問題というのは,父母の婚姻中にも関係するのかという問題提起をなされていたかと思いますが,この機会に,この問題に関連して婚姻中に父母の意見が一致しない場合の対応方法ということ,裁判所の関与も含めた対応方法ということが議論できれば,より子どもにとってよいのではないかと思って,一言意見させていただきます。
○大村部会長 ありがとうございました。共同関与,双方責任ということで,強い規律を行うということで,裁判所の関与ということを考えていきたいという御意見を頂きましたけれども,それは,現行法の婚姻中の共同親権の場合の決定についても同じ問題が生ずるので,併せて考えていくとよいのではないかという御指摘を頂きました。

○久保野幹事

 ありがとうございます,久保野でございます。
 2点ございますけれども,1点目は,今直近に出ました御指摘に関連して,父母が共同で関与し決定していく場合に,意見が一致しない場合の裁判所の関与の仕方につきましては,未成年後見人を複数選任可能にしたときに,同様の問題が生じ得たはずであり,また教科書などで複数の未成年後見人の間で身上監護について問題が生じた場合の手当てについて,家庭裁判所の判断の対象になるといったようなことも,どのぐらい事件数があるかは分かりませんけれども,議論されているように思いますので,それらの議論も参照に値するのかなと思いましたというのが1点目です。
 もう一つが,ちょっと問題としては戻ってしまうかもしれないんですけれども,議論の仕方として,当然の前提にはなっているとは思いつつも,やや気になりますのが,日本法の場合,片方が法的には決定権限をおよそ持たないという選択肢しか用意されていないということを,どう考えるかということが,ここでの問題であり,原則として双方責任にするのが子の利益になるということを,望ましい社会として見ていくかといったようなことを論じているわけではないというところ,どちらが原則かということというよりは,選択肢として認めなくてよいのかというところだというところは,何か改めて確認したいという感想を持ちました。
 それと関連しまして,主として,赤石委員に対する御教授のお願いになるんですけれども,双方責任というものを選択したい父母が想定できるのかという点に関しまして,研究会のときでしたか,この会議の中でもおっしゃったかもしれませんけれども,協力してできる父母というのは,法的に双方責任といった選択肢を用意しておかずとも,うまくいくというような御指摘をなさったことがあったように思いまして,そのようなケースにおいて,今日話題に出ましたような学校との関係で情報を得たいといったようなことを,どのような形で行っているのかといったこと,そして,父母の関係がいつもよいとは限らないというようなことを考えましたときに,学校ですとか,医療機関もあるかもしれませんが,第三者との関係で,公示の話も今日,話題に出ましたけれども,どのように行っているのか,問題は生じないのかということを,もし可能でしたら,今日ないし追って,御教示いただけましたら有り難いなと思いました。
○大村部会長 ありがとうございます。3点お話があったかと思います。
 1点目は,複数の未成年後見人の場合というのも,先ほどの婚姻中の共同親権の場合と併せて考える必要があるのではないかという御指摘,2点目が議論の仕方に関連することですけれども,現在は,離婚後は親権の行使が一方によって行われ,他方は全く関与できないという法制になっているので,このことの問題性をどう考えるのかというのが,議論の仕方としてふさわしいのではないかという指摘を頂きました。3点目は,事実上,協力できるカップルというのがあるだろう,そういうものがあって,それはそれでいいではないかという御指摘が,赤石委員からあったけれども,そのような場合にも何かトラブルが生ずるということはないのかという御質問が,学校,医療機関といった第三者との関係での場面と,それから,協力していたカップルの間で不和が生じた場面を挙げて,どいうことになるのだろうかという御質問がありました。
 赤石委員,今お答えいただいても結構ですし,また別の機会にお答えいただいても結構ですけれども。何かありましたら,お願いできればと思いますが。


○赤石委員

赤石です。久保野幹事,ありがとうございます。
 いろいろなイベントでお見受けはしているんですが,もう少し詳しく,お答えするにはちょっと今日ではない方がいいかなと思うので,次回お答えできたらと思います。ありがとうございます,御質問。
○大村部会長 ありがとうございます。双方が協力して関与してやっていくためには,どういうことが必要なのかということを考える上で,赤石委員の御意見や御経験が有益なんではないかという観点から久保野幹事は御質問されたのではないかと思いますが,またお考えいただいて,別の機会にお答えを頂ければということで,今日のところは引き取らせていただきたいと思います。


○菅原委員 

ありがとうございます。1点だけお願いします。
 次の資料7の方の子どもの意見というところにも関わってくるかなと思うんですけれども,14ページの方では,双方責任に関して,事後的に変更することができるようにする規律というのが明記されているのですが,同じように16ページの重要事項の内容や先ほど議論になった規律の3段階に対する子どもの意見というのも,また発達に応じていろいろ変わってくると思いますので,この重要事項の規律や内容についても,事後に変更可能となるような立て付けにしていただいて,子どもの意見というものが,いろいろな段階で入りやすいようになるといいなと思います。今後の検討に含めていただけると有り難いと思いました。
○大村部会長 ありがとうございます。子どもの意見が反映される場面というのが複数あるだろうということで,今回の問題についても,資料に指摘されている場面以外の場面も考えられるのではないかという御指摘だったかと思います。委員自身から御指摘ありましたが,また後の論点とも関わってまいりますので,またそちらでも御議論を頂ければと思います。
 この第5まで含めて,何かほかに御発見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは,資料6については御意見を頂いたということにさせていただきまして,7に入ろうと思いますが,大分時間がたちましたので,10分休憩して再開したいと思います。今,15時56分なので,ちょっと半端ですが,16時5分から再開ということにさせていただきます。
  休憩いたします。

          (休     憩)

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