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「ひとり親」という言葉の不思議

世界の標準は共同親権制ではあるけども,離婚時の取り決めとして,単独親権を指定することはある

親権のあり方と養育の実像には溝があって,親権は養育を決めない

養育は養育計画によって実行する

共同養育を実現するのは,養育計画によるという指摘が正しい

だが,日本特有の協議離婚は養育計画を欠落させるし,しかも,単独親権制が,養育計画の円滑な合意の妨げになっている

共同親権=連れ去り禁止は,養育計画の遂行に役立つというわけだ


連れ去り禁止という連れ去り行為の違法性を確立したところで,共同親権がなければ,貧困状態ゆえに治安が悪化した環境では,どんなに厳しく取り締まるルールがあったとしても,違法行為が抑止されないだろうと想像できるごとく,奪わなければ失うかもしれない状態では,どんな規範も無力なのである

だから,連れ去り禁止の実効力を満たすには,共同親権しかない

連れ去らなくても,親権を失わない

むしろ,親子断絶を強いれば,自身の親権を奪われるかもしれない

子の福祉を積極的に実現できる責任を果たす親=フレンドリーペアレントであれば,単独親権者になりうる(その方が結果として子にとって両親との関係を守ることになる)

そういう構造があってこそ,ようやく,連れ去りの違法性が通用する

現在の単独親権制が,子の拐取という構成要件に該当する行為の違法性を阻却する正当化根拠になってしまっているのである

単独親権が諸悪の根源という結論にたどりつく

単独親権の忌むべき点は,ひとり親という言葉を産んだことにもある


決して古い言葉ではない

母子家庭及び父子家庭という呼び方をしなければいけない時期もあったようだ

調べていくと,厚生労働省のページにたどりつく

諸々の研究結果が,法務省が担う共同親権研究と重なる

厚生労働省の取り組みを無視して,ゼロベースで研究しているというのだろうか

悲しくなる

細かい研究報告を参照することは別の機会にするとして,さて

ひとり親家庭は苛酷だろう

ヒトは父と母と二人の親がいて生命として誕生する

受精の瞬間にだけ要するのではなく,二人の親がいてこそ育つ構造になっており,どちらかの親が欠けたときのリスクは尋常ではない

親がどういう状況かについて,子は選べないから,リスクのある環境にあるならばその子を徹底的にサポートすべきことは当然である

そのことと,ひとり親家庭の支援が直ちに直結するかは謎である

ひとり親家庭で完結することが答えではないだろう

ふたりの親がいて生まれてくるのに,「ひとり親」を造ることが歪である

子は両親に養育されることを求めているのであり,その実証を重ねて,子どもの権利条約においても宣言しているのである

両親に養育責任がある

養育責任とは,お金を払えば済むというものではないのである

送金と養育は直結しない

愛情をもって育み成長を見守ること,それが叶ってこそ,子が長い人生を自立して生き抜くために必要な自尊心を大切に育てるということである

ひとり親家庭という言葉が怖いのは,そういう自尊心を育てるために重大な養育について,あたかも一方親を排斥し,サポートをしないことで,極めて深刻な子の福祉への侵害である

養育現場から排斥された親には,それを望むものと望まぬものがいるだろう

望まぬゆえに,排斥されることを歓迎し養育責任を逃れることを許してしまう意味で,無責任な親に優しいのが「ひとり親」の言葉の意味である

子どもにとっては迷惑の極みである

ふたりがいて生まれた命なのに,ひとりが簡単にいなくなる

大半の子ども,そして,最近は,知恵と勇気を得て離婚しても共同養育を実現してくれる親の子もいるから,ますます少数になっている文字通りの「ひとり親」の子を除き,多くの子は,両親からたくさんの愛情を注いでもらいながら健やかに育っていく

双方の祖父母や親族からも愛情に包まれることもあるだろう

ごく少数の「ひとり親」の子がそうした機会に恵まれないとしたらリスクそのものである

ただでさえか弱く未成熟期間の長いゆえに生きづらさを背負うことになりかねない

その結果としての,虐待死報道も止まることを知らない

ひとり親はリスクなのである

お気持ちの支援だけでは全くもって足りないほどに困窮している

子どもの平等を実現するには,まずもって,父母の婚姻状態はもちろん関係性に問わず,両親から養育責任を果たしてもらえる環境をすべての子に付与すること,それが社会の責任として求められているのである

両親が,子の養育にかかる費用を負担し(そもそも,貧困の連鎖を回避するために,社会が全面的に負担するべきという視点もあるが・・・),実働面においても愛情豊かに養育する

それが子を養育すること,子育てであり,具体的に実行するためには養育計画が重要であることになる

とても当たり前の話で,そもそも,どのような教育方針で子育てをするかプランを用意しておくことが大切である

意識高くお好みの教育機会を確保するための幼少期からの手厚い教育,お受験・・・幼いと親の面談があるが,両親が離婚しているかどうかは問わないということが明記されることがあると聞くが,それはすなわち,チェックポイントになる,という意味にもなるだろう

子どものために,夫婦不和でも父母としての円満をアピールして見事受験を突破するような話もあるという

保育園・幼稚園・・・選択肢があるようで,正解がわからないから悩む

小1の壁の罠,お稽古ごとの方針,かかる費用とのバランス

理想的な教育方針とそれにかかる費用の現実とのすり合わせ

もしも父母の意見が対立したら,離婚して解決(一方親の希望を貫く)になるばかりではないだろう

両親の足並みがそろってこそ,子の成長は飛躍しうる

父母の離婚が子のつまづきにならないことが望ましい

そのつまづきが,大人になっても尾を引くこともあるようなことは可能な限り避けたい

「ひとり親」という言葉は子どもにとって不要であるということがわかる

いかに,両親からの愛情を受け取れる多くの子に劣ることなく環境調整が満たされるかが肝心である

単独親権廃止はともかく「ひとり親」という言葉は駆逐されるべきだろう


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