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法制審議会家族法制部会第6回会議議事録1

待ってたよ 

議事録読み再開しまーす

法制審議会家族法制部会第6回会議 議事録


第1 日 時  令和3年8月31日(火) 自 午後1時31分
                     至 午後5時27分 
第2 場 所  法務省大会議室
第3 議 題
 1 面会交流に関する論点の検討
 2 離婚後の子の養育への父母の関与の在り方に関する論点の検討
第4 議 事  (次のとおり)
議        事
○大村部会長 それでは,予定をしておりました時刻になりましたので,法制審議会家族法制部会の第6回会議を開会いたします。
  本日は御多忙の中,御出席を頂きまして誠にありがとうございます。
  本日も前回までと同様,ウェブ会議の方法を併用した開催となりますけれども,どうぞよろしくお願いを申し上げます。
  それから,前回の会議以降のメンバーの変更といたしまして,厚生労働省の上井室長,外務省の石井首席事務官竹中首席事務官,法務省の神吉課付がそれぞれ関係官に任命されております。竹中関係官は欠席と伺っておりますけれども,出席されている方々から簡単に自己紹介を御願いしたいと思います。
  順番としては,上井関係官,石井関係官,神吉関係官の順番でお願いできればと思いますが,上井関係官,お願いできますか。

○上井関係官

 厚生労働省の母子家庭等自立支援室長で上井と申します。よろしくお願いいたします。
○大村部会長 よろしくお願いいたします。
  石井関係官,お願いいたします。

○石井関係官 

8月2日付で外務省人権人道課の主席事務官に着任いたしました,石井と申します。これからよろしくお願いします。
○大村部会長 よろしくお願いいたします。
  最後になりますが,神吉関係官,お願いいたします。

○神吉関係官

 法務省大臣官房国際課で課付をしております神吉と申します。本日から関係官として出席させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○大村部会長 どうぞよろしくお願いをいたします。
  それでは,次に,本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。事務当局の方から説明をお願いいたします。

○北村幹事 

事務局でございます。お手元の資料について御確認いただきたいと思います。
 部会資料3,部会資料6,そして参考資料6と記載されているものを御用意させていただいております。まず,部会資料3は,これまで御議論いただいていた検討資料でございます。また,部会資料6につきましては,本日の後半に御議論いただく際の検討資料として,新たに事務局が作成したものになります。その内容につきましては,御議論いただく直前に改めて御説明させていただきたいと思います。参考資料6,右上の方に赤く参考資料6と書いてあるものですけれども,こちらは公益社団法人商事法務研究会主催の家族法研究会において検討資料として使用されたものになります。本部会における直接の検討対象とするものではありませんけれども,今回の部会資料6の中で引用しておりますから,参考資料として配布させていただきました。部会資料3と参考資料6につきましては,既に法務省あるいは商事法務研究会のホームページで公開済みのものでございます。そして,今回の部会資料6につきましても公開することを予定しております。
  資料の説明は以上になります。
  なお,今回もウェブ会議を併用してございますので,御発言に当たっては冒頭でお名前をお名のりいただきますようお願いいたします。
○大村部会長 ありがとうございます。資料を御確認いただければと思います。
  それでは早速,本日の審議に入りたいと思います。
  前回会議で確認をいたしましたとおり,本日はまず,前回の積み残しになっておりました面会交流に関する点,具体的には部会資料3の第3から第5までのうち面会交流についての論点についての御議論をしていただき,その後に,部会資料6に基づきまして,離婚後の子の養育への父母の関与の在り方に関する論点についての御議論をしていただく,この二つを予定しております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  そこで,まず,面会交流に関する論点の検討ということになります。部会資料3につきまして,意見をお寄せいただければと思います。部会資料3,先ほど第3から第5までと申し上げましたけれども,大きく分けますと,第3,第4の父母間における取決めに関する論点と,それから,第5の裁判手続に関する論点に分けられるかと思いますので,まずはこの第3,第4につきまして御意見を頂き,そして,その後で,第5に関する意見交換に進みたいと思います。
  部会資料3の第3,第4につきまして御意見を頂戴したいと思います。ウェブ参加の方が今日,多くなっておりますけれども,会場の方も併せて,御発言される方は挙手を頂ければと思います。

○大石委員 

千葉大学の大石です。発言の機会を頂きましてありがとうございます。私は第5回の会議で,相関関係と因果関係についてという資料を提出いたしましたので,その趣旨につきまして少し補足させていただければと存じます。
  この資料を提出した発端は,外部の会議におきまして,家族法に詳しい法律家の方が,「面会交流を促進すると養育費が確保しやすくなるというエビデンスがある」と発言されているのを聞きまして驚いたという経緯がございます。その発言の基となっている労働政策研究・研修機構の調査報告書には,私も一研究者として参加しておりましたのですけれども,その報告書で出されている養育費と面会交流のグラフからは,相関関係は読み取れますが因果関係を読み取ることはできないと考えます。にもかかわらず,これがエビデンスとして広がっているということに懸念を抱きまして,資料を提出した次第です。
  私が提出した資料では,小学生の通塾率と学業成績の関係について,図を例にお示ししております。例えば,塾に通っている子どもの学業成績がいいという傾向が見いだされているとしても,そのことは塾に行ったから成績が上がったという因果関係が存在する証拠とはいえません。高学歴・高所得の親ほど子どもの教育に熱心で,塾に行かせる前から家庭教育を熱心に行っていたり,様々な習い事をさせていたりするから,子どもの成績が良くて,そうした親は中学受験志向が強いので塾に行かせる,つまり,塾通いと子どもの成績は見せかけの関係で,背後には親の学歴や所得という重要な隠れ要因が存在するわけです。
  面会交流と養育費についても同じことが考えられます。面会交流が順調に行われているようなケースでは,父母の所得や学歴が高く,そうした父母だから養育費支払も順調に行っているということが考えられます。何よりも問題なのは,一時点の調査データで因果関係を証明することは非常に難しいということです。本来は,別れたカップルと子どもを追跡する調査を実施し,本当に面会交流を増やしたら養育費支払率が上がるのかどうか,それを確認しなければなりません。もしかしたら逆に,養育費支払を進めることで面会交流が増えるという関係が見いだされるかもしれません。しかし,私の知る限り,代表性のあるデータでそうした研究は行われておりません。ですので,近年はエビデンスベースドポリシーメイキング,つまり証拠に基づく政策形成が重視される傾向にありますけれども,統計の使い方に十分な注意をいたしませんと,誤った政策形成につながるおそれがあると思いましたので,今日,お時間を頂いて発言させていただいたという次第です。ありがとうございます。
○大村部会長 大石委員,どうもありがとうございました。データの取扱いにつきまして,一般的な御注意を頂いたものと受け止めましたけれども,また具体的な場面でデータが援用された議論等になるということもあろうかと思います,そのときにもまた個別の御注意をいただければと思います。

○武田委員

 親子ネット,武田でございます。本日も皆様,ありがとうございます。この資料3についての発言ではなく,前回,第5回会議で比較法の先生方から各国の家族法制の御紹介をいただきました。その中で,やはり少し時間の関係もありまして,私もそうなのですけれども,質問ができなかったということが私以外の先生方にもあろうかと思います。可能であれば,書面ベースで質問を提出させていただいて,可能な範囲でお答えいただける先生方からお答えを別途頂きたいという要望でございます。
○大村部会長 どうもありがとうございました。ヒアリングの際に申し上げましたけれども,質問の時間が限られているということで,皆さんの質問の数なども制限をさせていただき,十分に質問できなかった点については後で何とか対処していただくということも考えたいといったことを申し上げたかもしれません。事務当局の方で御対応いただけるかということを,まず伺いたいと思います。ただ,御対応いただけるとして,相手のあることですので,可能な限りでということになろうかと思いますけれども,いかがですか。
○北村幹事 事務局でございます。今頂きました御要望につきましては,ヒアリングをさせていただいた先生の御意向もありますけれども,改めて委員,幹事の方に御連絡をさせていただいて,いつまでに御質問いただければ,ヒアリングをしていただいた先生方の方に事務局の方で取りまとめてお送りさせていただいて,可能な範囲でお答えくださいというお願いをさせていただきたいと思います。
○武田委員 ありがとうございます。
○大村部会長 今の点につきましては,後で事務局の方で期日を設定していただくことにして,武田委員以外の委員,幹事におかれましても,何かありましたら,質問をお寄せいただければと思います。ただ,繰り返しになりますけれども,相手方のあることですので,いつまでにどの程度の答えを頂けるかということにつきましては事務当局の方にお任せするということで,処理をさせていただければと思います。

○原田委員

 今回の資料の第3のところから,現状とか取決めの実情について,現状のところが少し最初に分析されているので,実務に携わっている者として,ここに書かれていることについて若干,実情あるいは感じたことを述べさせていただきたいと思います。
 まず,9ページの面会交流のところで,面会交流に対する取決めが父母間に権利義務関係を生じさせるのみであり,子に関して直接的に何らの法的な義務を課すものではないことは当然であると書かれていて,確かに法的な義務を課すものではないかもしれませんけれども,現実には,一緒に住んでいる親に義務が生じて,それに応じなければ間接強制などが行われるという現状では,同居親からも,あるいは子どものプレッシャーからも,子どもに事実上の義務を課しているという状況に現実にはなっているということを是非御理解いただきたいと思います。
 それから,その先の,審判によって面会交流が命じられるなど,面会交流の実施が子の利益にかなうと認められる場合には,という点についても,現状,これから今の状況がそのまま続くという認識ではいけないのかもしれませんけれども,基本的に原則,面会交流を実施してきたという家庭裁判所の在り方からすると,これが子の福祉にかなうとは思えないケースが非常に多いということも御理解いただきたいと思います。
 それから,10ページで統計が出ておりますけれども,これを見ますと,養育費は決めても払われないというのが多いのに対して,面会交流は決めなくても行われているという実態が浮かんでくるのではないかと思います。もちろんその割合が圧倒的に多いとは言いませんけれども,面会交流の実施と取決めの率を比べた場合に,養育費と面会交流には大きな差がありますし,特に面会交流については母子家庭と父子家庭の間に非常に大きな差があると,つまり,お母さんは会いに来ているけれども,お父さんは会いに来ていないというような実態が見えるのではないかと思います。
 私どもが面会交流を決める際に感じることは,確かに監護親が嫌がるというケースもありますけれども,非監護親の方が特に求めない,あるいは再婚をしてもう会いに来ない,そのようなケースもたくさんありまして,取決めがない,あるいは面会交流が実施されていないということが監護親側の問題なのか,あるいは非監護親側の問題なのか,あるいは子どもの問題なのかということについても慎重な検討が必要で,これはこの前,赤石委員が提出されましたアメリカの論文などを見ますと,実際にそのように実施してきたケースで,子どもの立場から見ると必ずしも福祉にかなわない場合もあるということが見えてくるのではないかと思います。
 それを前提に,この11の課題のところについての意見を述べさせていただくと,まず,①のガイダンスの実施の問題ですけれども,厚労省の統計を見ますと,参考資料の2-1を見ていただくと,知らなかったという方はかなり少なくて,Q37以下にそのように見ておりまして,どのような人にどのようなガイダンスをするかということの検討が必要なのではないかと。今,家庭裁判所で面会交流の調停などの場合,あるいは離婚で親権が争われるような場合に,この面会交流に関するガイダンスのようなビデオを見るように言われるのですけれども,これは非常に理解のある親御さんのケースでありまして,本当に葛藤が高いケースにこれが参考になるのかなとは思っております。
 それから,②の協議離婚の見直しの問題については,ここにもありますように,DV事案で離婚が遅れることによって貧困が増すとか,あるいは支配,被支配関係から逃れられないというようなおそれは強く懸念しております。貧困の問題では,やはり今,別居だけでは児童扶養手当が支払われないという問題があります。これは,もちろん不正受給とかそういう問題があるのかもしれませんけれども,やはりこのような状態が続くと非常に,特に母子家庭の貧困は促進されると思います。諸外国では,母子家庭とか父子家庭というのではなく,子どもを育てている親に対して支援が行われるという立て付けになっていると思うのですけれども,そういうような形にしていただければもう少し検討の余地があるのではないかと思います。
 それから,④については,養育費についてもこの前いろいろ意見が出ましたけれども,面会交流について,裁判所の関与,あるいは専門家の関与全くなしに自動的に債務名義にして,しかも強制執行ができるというのは,かなり危険ではないかと考えております。
 長くなりましたが,以上です。
○大村部会長 ありがとうございます。面会交流につきまして,実務上の経験,それから,資料についての理解の仕方を踏まえて,11ページの課題につきまして,具体的な御意見を頂きました。

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