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法制審議会家族法制部会第18回会議議事録7~池田委員・水野委員・久保野幹事・石綿幹事・赤石委員・青竹幹事

子育て罰完全形態が発覚する

合宿の振り返り、技術的反省は尽きないのだけど

議事録を読んでいこう!

○池田委員


 弁護士の池田でございます。私からは意見を1点、修正提案を2点、申し上げたいと思います。
 まず、意見ですが、第1の1(1)について賛成いたします。これまで、親子関係に関する基本的な規律という枠組みを設けたのですが、その中に親が子を育てるというコアな部分が入っていないということについて、何か据わりの悪さというものを感じておりましたので、こういう規律を入れていただけるということに賛成いたします。
 修正提案の1点目ですが、同じく第1の1(3)についてです。これについては、前回でしたかの部会で、子どもの意見の取扱いについて注書を本文にしていただきたいということを申し上げて、(3)という形で入れていただいたことについて、積極的に評価しています。ただ、その中身の(3)の2行目のところで、「意見を考慮するよう努めるものとする」とする考え方というところについては、「意見を尊重するものとする」考え方としていただくのがよいのではないかと思っています。
 もし尊重するという表現をした場合に、難しいことを子どもに決定させるですとか、あるいはその決定の責任を子どもに負わせるようなことにならないかという誤解が生じかねないということであれば、そこは回避をしなければいけないわけですが、他方で他の民法の規定を見ますと、民法858条で、後見人は被後見人の意思を尊重するという規定がされております。被後見人は精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況にある者と定義されていますので、本人が決定するということが困難な場合が多いわけですけれども、それでも尊重という表現が使われているわけです。そうしますと、この民法の中で尊重と書いても、それは必ずしも本人に決めさせるという意味合いが含まれてはいないのではないか、それが既に明確化されているのではないかと思います。また、他の規定でこうやって「尊重」とされているときに、子どもの意見については「尊重」ではなく「考慮」という表現にすると、親子間における子どもの意見については一段下がったような取扱いになるのではないかという危惧もございます。このように考えますと、子どもの場合も「意見を尊重する」、あるいは民法858条の規定に倣って、「意思を尊重する」という表現でパブリック・コメントに付すのがよいのではないかと思っております。
 ただ、ほかの法律に少し目を向けますと、子ども基本法3条4号というところ、最近成立した法律ですけれども、そこでは全ての子どもについて、その年齢及び発達の程度に応じてその意見が尊重されるとしつつも、続けて、その最善の利益が優先して考慮されることとなっています。また、児童福祉法2条1項でも、児童の年齢及び発達の程度に応じてその意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されると規定されています。このような規定も参考にいたしますと、子の意見の尊重についても、最善の利益が優先して考慮されるということを断り書きするということも考えられるかなと思います。以上が修正提案の1点目です。
 第3の1に移りまして、修正提案の2点目ですが、6ページですね、第3の1の甲案のところなのですが、これは前回の資料と比較しまして、この受講を義務化することと要件化することを区別せずに、要件化するかどうかというところで甲案と乙案で分けたということだと理解しております。ただ、要件化しないでも、離婚するに際してはこういうことを受講しなければいけないのだという義務といいますか、訓示規定といいますか、そういうものを置くということは可能なのかなと思いますので、やはり義務化と要件化は分けるのが正確なのではないかと思います。そういう意味では、部会資料16-1がそのようになっていたかと思いますので、その義務化と要件化というものを区別した書き方というのが適当なのではないかと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。最初に御意見を頂きましたけれども、それを除きまして、具体的な御提案を二つ頂いております。第1の1の3のところで、考慮というのを尊重に改めるべきではないかという御意見を頂きました。ただ、それに対する御懸念もあるだろうということで、最善の利益との関係について言及するといった御提案を頂いております。民法に既にその用例があるではないかというお話もありました。成年被後見人の場合には尊重すると書いてあっても、常に文字通りに尊重されると思われる可能性は余りないのだろうと思いますが、子どもの場合にはそう考えられる可能性があるかもしれないという感じもいたします。ですから、用語としてはあり得る用語なのだろうと思いますけれども、その辺が御懸念の出ているところかと思います。これをどのような扱いにするのか、何か注記をするのか、あるいは補足説明で受け止めるのかということについて、事務当局の方で検討させていただくということでよろしいでしょうか。

判決では、子どもは発達段階だから、当否を判断できないらしいのだけど?


○水野委員


 すみません、この問題になりましたら、つい発言をしてしまいます。水野でございます。私はこの点を非常に危惧しておりまして、考慮という言葉でさえ、かなりどきどきしております。やはりこの問題は何より子どもに絶対に尋ねてはいけないことだと思います。被後見人の意思の尊重の場合には本来、被後見人が問題なく自己決定すること、たとえば施設に入るかというようなこと、健全であれば自己決定すべきことを尋ねるわけですが、この場合は違います。子どもに父と母のどちらを選ぶかということを尋ねてしまいますと、そのこと自体が非常に残酷な質問になってしまうと思います。子どもが自分から、もうともかくお父ちゃんが怖いのだ、みたいなことを一生懸命言っているのでしたら、それを配慮することはもちろんあると思うのですけれども、それでも君がそう言うから、と本人に言ってはいけないと思います。もし尊重というような言葉で書きますと、子どもに尋ねてしまったり、決定の責任を負わせてしまうのではないかと危惧いたします。私は、それはとても酷ですし、明示的にそれを言わせること自体がこの場合には非常にストレスが掛かる、子どもにしてはいけないことだと思いますので、ぎりぎり考慮という表現だろうと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。
○池田委員 反論するというわけではないのですが、1点だけ。ここの場面設定なのですが、どちらか親権者を決めるとかというときの場面が入ってき得るところではあるかもしれませんけれども、もっと全般的な、子どもの養育全般において子どもの意見をどう扱うのかという場面設定かなと思いますので、非常に酷な場面ばかりではないかなとは思っています。
○大村部会長 ありがとうございます。両論あるところですので、そのことも踏まえて、検討をさせていただきたいと思います。
 それから、第3の1、6ページだったでしょうか、要件化するという形で書かれているけれども、要件化せずに義務とするという考え方もあるのではないかという御指摘だったかと思います。これも、どこでどのように受け止めるのかということについては、事務当局の方で御検討いただければと思います。

残酷な質問だから、基本はママもパパも好き、にしとくってことでいいじゃんってなる


○久保野幹事

 

ありがとうございます。幹事の久保野です。内容ではなく、細かい表現の点です。1ページの第1の1の(注2)です。ここで、父母の後に、子と同居していない父母も含むと書いてあるのですけれども、これは以前には、意見や心情を把握するための方策について検討すべきであるという内容で(注)が付いていまして、それが、把握するのに、同居していない親が把握できるように、その方策についてという記述だったところ、今回は、できる限り把握しなければならないと変わっていまして、把握については、特に同居していない親がより課題としては大きいということだとは思うのですけれども、(1)から(3)までの義務等と並べて、このようにしなければならないと書く中では、括弧がない方がよろしいのかなとも思いました。括弧があるからといって、ほかのものには子と同居していない父母が含まれないと誤解を招くことはないと思いますので、是非削除した方がよいとまでは思いませんけれども、一応少し気になりましたので、指摘をさせていただきました。御検討いただければと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。1ページの第1の1の(注2)の表現について具体的な御指摘を頂きましたので、少し検討をしていただくということにしたいと思います。
 そのほか、この第4までにつきまして、いかがでしょうか。

議論が後退していた?!

○石綿幹事

 幹事の石綿です。私も非常に細かい点なのですけれども、1点指摘させていただきます。第2の3(3)の、監護者の定めがない場合の親権行使で、先ほど赤石委員から分かりにくいという御指摘もあったかと思います。ここの親権の後に、例えば、親権((2)の場合と異なり身上監護も含む)といったように、何か注記を入れていただいて、(2)のいっている親権と(3)でいっている親権が違うということを明示していただくと分かりやすいかなと思いました。
○大村部会長 ありがとうございます。先ほどの赤石委員の御感触を具体的に受けた形での御提案を頂きましたので、少し御検討を頂きたいと思います。

カオス


○赤石委員

 

ありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。先ほど言い忘れて、少し混乱していて、申し訳ありません。
 まず、8ページ、3のところでございます。父又は母と子の面会その他の交流その他の子の監護についてというのが4行目にあるのですが、ここは別居中のことを書いておりますので、一般的に婚姻費用、また面会その他の交流などと全て列記するか、なしにして、子の監護について必要な事項にするか。面会だけ特記されていたので、少し違和感がございますので、どちらかに整理すべきかなと思いますが、いかがでしょうか。
 それから、9ページ、先ほど武田委員がおっしゃったところ、このような行為は不当な連れ去りであるとして当該別居からうんぬん、DVや虐待からの避難が含まれるとしてというふうに修文したらというお考えだったのですが、私はこのままでいいかなと思っておりまして、もし直すのであれば、不当な連れ去りが含まれるとして、というふうにやはりなってしまうので、ここは両方ということかなと思います。
 それから、私どもが調査した中で、やはり面会交流に対する困り事というのがひとり親の方からたくさん出ました。700件出たのです。その中には、全く悪意はないのかもしれないのですが、例えば、野外の何か連れていって、お父さんが、まあ大丈夫かなと思ったのだと思うのですけれども、仕事に行ってしまったと、それで、そこで溺死しそうになったとか、飲酒運転した車にお子さんを乗せてしまったですとか、1歳の子を1泊旅行ですごい所に連れていこうとしたですとか、いろいろな心配事がだっと書かれていたのです。それを面会交流のここの(注2)の条件に何か入れておいた方が安心・安全を守れると思うのですが、すごく悩んでいて、どう書いたらいいのだろうと思っていたのですが、安全・安心の面会交流を実施することの可否、暴力とかでなくても、いろいろな、子どもが本当に戻ってきてくれるのかも心配なお母さんがたくさんいる、ひとり親の方がいると思うので、安心・安全な面会交流を配慮するとかそういう、配慮できる、あるいは交流の相手となる親からの暴力、危険の有無などを含むというふうに、この括弧の中に何か、悪意ないけれども安心・安全を守るということが書かれるといいなと、これを養育とか監護とかいう言葉だと、またすごく大ざっぱになってしまうので、何か書いていただけるといいなと思いました。
○大村部会長 ありがとうございます。赤石委員からは、8ページの3の4行目の表現について御検討いただきたいということで、ここがどういう趣旨でこうなっているのかということも含めて、検討していただきたいと思います。それから、9ページの(注1)、(注2)は先ほどから御議論があるところでもあります。(注1)について、武田委員の御意見と違う御意見があったということですので、それも勘案して考えていただくということになろうかと思います。また、(注2)の④の括弧書きの中をもう少し膨らませて、暴力以外のものも入るような表現を考えていただきたいということだったかと思います。表現が少し難しいかもしれませんけれども、検討いただくということかと思います。

飲酒運転はいかんよね

○青竹幹事

 

私の方からは、分かりやすさという観点から二つだけ御指摘したいことがあります。
 1点目は3ページの3のところで、監護者の定めの要否のA案とB案で、離婚後に父母双方を親権者と定めるに当たって必ず監護者の定めをするかしないかというところの二つの案について、(1)の段階だと、監護者が何かが分かりませんので、意見を述べにくいように思います。ところが(注1)を見ても監護者が何かについては書いていなくて、(2)以降、事務当局からも説明がありましたように、(2)のところで今回、詳しく説明しているということなのですけれども、少し分かりにくく感じております。(2)の表題が、ここで監護者は何ができるかを示すという表題になっておらず、(2)は監護者が指定されている場合の親権行使とされているので、親権行使の内容について書かれていると受け止めてしまい、それで、監護者が何かについて、ここだけだと分からないような印象を持ってしまいます。(2)を、あるいは少しそのことが分かるようにしていただくといいかと思いました。監護者が指定されている場合の、監護者の意義についてとか、監護者について、ここを見れば分かりるというふうにするといいように思いましたので、御検討いただければと思います。
 それからもう1点、7ページの、先ほど一般先取特権のところも分かりにくいという御指摘があって、検討していただけるということでした。補足説明で説明するという手もあるかと思うのですけれども、やはり中間試案そのものを一読して全く分からないより、イメージが分かるようにした方が意見を募りやすいのではないかと考えます。それで、一般先取特権のところは、7ページの5行目辺りのところで、債権者が債務者の総財産について一般先取特権を有し、他の債権者に優先して監護費用を確保することができるといった、そんな一言があるといいように思いました。補足説明でもよいかもしれませんが、やはりこちらの中間試案でもイメージが分かる方が意見を募りやすいかと思いましたので、御検討いただければと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。青竹幹事からは、3ページの3の監護者ということの中身が分かりにくいということで、(2)の表題の変更も含めて御指摘を頂きました。それから、7ページの一般先取特権について、説明を加えた方がいいのではないかという御指摘も頂いております。

わかりにくさが噴出


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