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サクセスナーチャリングとして、Wantedlyでやってきたことと今後について

こんにちは、ウォンテッドリーカスタマーサクセス・デジタル&コミュニティ(D&C)チームの古賀と申します。この記事は、cmkt Advent Calendar2019 (https://adventar.org/calendars/3871)の13日目の記事になります。

まず、簡単にウォンテッドリーと所属チームについて説明させてください。ウォンテッドリーが提供するサービスは大きくWantedly VisitWantedly Peopleに別れます。さらにWantedly Visitは2Cと2Bに別れますが、自分が所属するのは、このWantedly Visitの2B、つまり法人がクライアントになるサービスのカスタマーサクセスチーム(以下、CS)です。

そのCSでも、私はD&Cというチームに所属しています。WantedlyのCS組織は、9月に再編しており、そのときに新設されたのがD&Cで、データ活用やテック領域、コミュニティを行うチームになります。詳細は、以下の資料をご覧ください。

なので、前提、B2B2Cサービスの、2BのCSに関することなります。そのうえで、Wantedlyでカスタマーマーケティング、とくにサクセスナーチャリングについてどう考えて、実際に何を行ってきたかを、自分目線でまとめていきたいと思います。カスタマーマーケティングを行っていらっしゃる方に、少しでも役に立つものがあれば幸いです!

カスタマーマーケティング = サクセスナーチャリング + ファンマーケティング(の方法論)

まずはカスタマーマーケティングとは何か?ということを簡単に定義していきたいと思います。ただ、カスタマーマーケティングそのものは長橋さんが書いていらっしゃる記事にありますので、割愛します。この記事で書かれていることがすべてかなと思います!

ここでは、カスタマーマーケティングを自分なりにふたつに分類して、本記事で書きたいことを絞りたいと思います。

小見出しにも書いたように、カスタマーマーケティングはサクセスナーチャリングなるものと、ファンマーケティング(ないしはリファラルマーケティング)のふたつに大きく区分されると思っています。ちなみに、サクセスナーチャリングというのは自分が最近思いついた言葉です笑。

まずは、そのサクセスナーチャリングではなく、ファンマーケティングについて。とはいえ、このファンマーケティングも長橋さんが2回目の記事で書かれていますので、割愛します(直近ぶり2回目)。

今回の記事の主眼は、このファンマーケティングではありません。正直なところ、このファンマーケティングへの取り組みはそこまで力を入れられていない状況です。ファンマーケティングをスケールさせる方法として語られることの多いコミュニティもWantedlyは行なっていますが(Lab W,というかわいい名前で、個人的にめちゃ気に入っています)、いまのLabはサクセスナーチャリングの文脈で行なっています。のはず。

このファンマーケティングを可視化して、リファラルを意図的にスケールさせる仕組みを作っていくことは、まさに来年のテーマになるかなと思っています。来年腰据えて取り組んだ後に、何かしらのアウトプットをできればなと思います!

そこで、本記事ではサクセスナーチャリングについて焦点を当てていきたいと思います。

サクセスナーチャリングとは

カスタマーサクセスにとって、最も重要なことは顧客がサクセスすることです。そして、サクセスした顧客がさらにサクセスを重ねる事で、ファンになっていき、口コミで新規顧客が増える。これをスケールさせていくのがファンマーケティングです。

サクセスナーチャリングは、顧客のサクセスを育成すること、つまり、まだサクセスしていない顧客がサクセスするためのサポートを行うことです。

そのための実際の方法として、1対1のアプローチだけでなく、セミナーやコミュニティなどのロータッチ、ステップメールや成功事例などのテックタッチ・コンテンツがあります。

そして、まさにこのアプローチ方法が、個人的には、インサイドセールスにおけるリードナーチャリングに非常に通ずるものがあるなと感じています。セミナーやメルマガ、導入事例などのコンテンツ作成と配信など、上記のアプローチとほぼ同じですよね。

そこで、顧客がサクセスするためのサポートをハイタッチではなく、ロータッチやテックタッチで(つまり、よりスケーラブルな方法で)行うプロセスをサクセスナーチャリングと呼びたいと思います。サクセスを育成するという意味とインサイドセールスにおけるナーチャリング手法という意味の2重の意味合いを込めています。

図にすると以下の感じでしょうか。

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なお、オンボーディング(導入支援)やアダプション(活用支援)は、顧客の状態を定義し、その定義した状態にある顧客に対してハイタッチ含めどうアプローチするかとういうことを主眼においているのに対し、サクセスナーチャリングは顧客がサクセスしていく過程において、よりスケーラブルな方法でどうサポートしていくとういう方法論に主眼をおいているところに違いがあると思っています。
またファンマーケティングも、導入→活用→継続→ファン化→口コミ→新規クライアント流入という流れの「口コミ→新規クライアント流入」を指す部分だと思います。なので、厳密には、方法論と語るサクセスナーチャリングと足し算にならないと思うのですが、ファンマーケティングが方法論としてハイタッチがありうるかは、少し想像がついていません笑。そこで、結論、足し算にして、カスタマーマーケティングを定義しました。今後、この定義もアップデートしていくと思います。

では、サクセスナーチャリングが何を示すのかを説明できたので、自分がウォンテッドリーで何をやってきたのかを振り返っていきたいと思います!

まずは「サクセス」を定義する

本来、クライアントのサクセスは、それこそ各クライアントによって違うもので定義することはできません。しかし、最終ゴールであるサクセスを定義しないことには「スケーラビリティ」を手にすることができないと思っています。サクセスを定義してはじめて、そのサクセスに至るカスタマージャーニーを描くことができ、その中でもサクセスしているクライアントが通過しているチェックポイントみたいなものが見えてきます。

この場合のサクセスは、いまある情報のもとで定義できる範囲で大丈夫だと思います。その代わり、四半期や半期に1回見直していく。それも、チームでしっかり時間をとってやっていくことがいいんじゃないかなと思います。Wantedlyでも、1日使ってサクセスの定義とカスタマージャーニーを見直したりしています。

サクセスを定義して、ジャーニーをひいたあとは、各ポイントでどんなサポートがベスト・ベターなのかを決めていきます。そうすると「このようなクライアントには自主学習コンテンツを用意した方がいいよね」とかがわかってきます。さらに「ここはそもそもタッチできていないから、なにかサポートを用意した方がいいかも」というな新たなタッチポイントや「ここの課題感は共通でありそうだから、1対1で伝えるよりも別の方法で伝えたほうがいいかも」という共通項なども見えてきます。

このようにサクセス・カスタマージャーニーを引き、共通の課題感・新たなタッチポイントを発見することができれば、次はそのためのサポートを用意していくことになります。

専門領域を決めて取り組む

サクセスナーチャリングのサポートを設計していくにあたって、Wantedlyでは以下のように区分して、それぞれに担当メンバーを置いて取り組みました。

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オンボーディング後の新たなタッチポイントの創出をするにあたって、そのタッチの振り返りを日々行うためにヘルススコアの設計を、テックタッチを行うためのコンテンツ作成やメールナーチャリングを、セミナーやコミュニティの内容設計を、それぞれが担当しました。詳細は、ぜひこちらの記事をご覧ください。各担当者が語っています。

また、この時期は、CSで先進的な取り組みをされている企業さんに各メンバーがヒアリングさせていただいたり、クローズドな勉強会をさせていただいたりしました。これが、ほんとに勉強になり大変助かりました…!ご協力いただけましたみなさま、ありがとうございました!!

なお、この動きを行ったメンバーとは別にCSMがいたので、クライアント数の増加とともにメンバーが増えてきたフェーズになると、サクセスナーチャリングをガッと進めていく段階なのかなと、経験則的に感じます。

自分は、テックタッチ領域を担当していたので、以下では実際に行ったプロセスを書いていきます。

核となるコンテンツを設計する

今年の6月末にクライアント向けに「Learn&Support」(以下、ランサポ)というコンテンツを展開しました。これは「いつでも立ち戻れる場所」をつくるためです。

自分でどんどん学習して運用するクライアントにとっても、少しづつ運用するクライアントにとっても、このコンテンツを見れば、何をどうすればいいかが分かるようにしたいと思っています。

そこで、先程のサクセスとカスタマージャーニーをもとに、クライアントの状況を大きく3つに区分して、それぞれでコンテンツを設計したうえで、ひとつのページにまとめました。

いわゆる成功事例も、このランサポのひとつのコンテンツとして設計しております。というのも、一般的には成功事例には①他社事例から成功イメージや運用イメージを持ってもらうという目的のほかに②運用上の大切な姿勢や具体的な運用のヒントを見つけるという目的があると思っており、②の場合の成功事例は、一定運用してきてる場合に効果を発揮しやすいコンテンツになると思うからです。ゆえに、成功事例はセクションとして1番最後に置いています。その他のセクションのコンテンツでは、成功事例がベスト、とは感じていません。

なお、この成功事例については、詳細はまた別の機会で書くとして、以下の2点を意識して作成しました。

- 導入事例とは区別する
- 運用担当者個人のストーリーに焦点をあてる

さらに、昨日新たに公開した事例では「Wantedly経由で入社されたメンバー」のインタビューを載せています。B2B2CのマッチングサービスであるWantedly Visitだからこそ、エンドユーザーに、クライアントがなぜ魅力的に映っていたのかを語ってもらうのは非常に素敵なことだと思っています。運用担当者も、入社されたメンバーもハッピーな世界にしたいと、改めて感じるものになりました。

また、もうひとつ核となるコンテンツとして、ヘルプページがあると思います。ヘルプページもランサポを公開する前に見直しました。課題が顕在化した場合に、1番最初にタッチするであろうヘルプページは、しっかりその課題に応えるものでないと、いわゆる顧客努力を大きくしてしまいチャーンにつながると考えています。

そこで、以下のように大きく流れを区分して、量×質からインパクトがでかそうなところから見直しを行いました(いまはすべて完了しており、細かいPDCAを回しています)。

ヘルプページへのアクセスを容易にする

該当のヘルプページまでのアクセスを容易にする

該当のヘルプページを見て課題が解決される

解決しない場合に代替手段がとれる

「該当のヘルプページを見て課題が解決される」のなかで、動画も取り入れました。ポジティブな意見もいただいており、やってよかった施策だと思っていますが、動画は維持コストがけっこう高いなと感じています(特にUIの変更が多い場合はなおさら!)

点ではなく、線のコミュニケーションを目指して

コンテンツも揃い、セミナーやハイタッチも内容が磨かれてくると、各タッチ・コミュニケーションを、より有機的に結びつける必要が出てきます。加えて、プロダクト上で行わているコミュニケーションもあります。

そこで、Wantedlyから発信されるコミュニケーションをプロダクト含めて全体で俯瞰して整理しています、こちら現在進行系です。

そのなかでも、メールによるコミュニケーションでは、デザインの一新など直近大きな改善を行い、vol.3くらいになっています。この改善により、運用期間やヘルススコア・それ以外のクライアント状況などでさらにパーソナライズして送れるようになりました。

とはいえ、ここはまだまだ取り組むべきことが多いので、今後またアウトプットできればと思います。

今後について

サクセスナーチャリングについて、Wantedlyでいままでやってきたこと・いまやっていることを書いてきました。そこで、最後に今後やっていきたいことを書いて締めにしたいと思います。

今後、力をいれたいなと思うところは以下の3点です。
(※あくまでも個人で思っているところです)

- プロダクト連携の深化(PMM的な業務の拡大)
- アップセル・クロスセルの最大化(仕組みは整ってきたので、その最大化と効率化)
- ファンマーケティングの可視化、仕組み化

なので、ちょうどそういったテーマに取り組んでいるよー!もしくは取り組むよー!という方いらっしゃいましたら、せひ勉強会などさせてください!

またカスタマーサクセス含めビジネスチームも採用しておりますので、ちょっと気になったかもという方、ぜひ遊びにいらしてください。

クライアントの成功を通して「シゴトでココロオドルヒトを増やしたい」ひと、特にお待ちしております!