【断章】連作のタイトルについて

短歌連作のタイトルがいくらでも思いつく、というときが過去にはあったような気もするし、そんなことは一度もなかったんだという気もする。

短歌が連作になろうとするのは、作品とは原則として本文・タイトル・作者名という三者に囲まれて確保される空間のことであり、短歌は連作にならないとタイトルを持つことができないからだろう。



誌上歌集の章題は自分でも気に入ってるけど、あれは連作タイトルではなく章題だから思いついた(思いつくことを自分に許すことができた)文字列たちだったと思う。

ぐっとくる(美しい・無力な・それ以外何もしようとしない)文字列の保存場所として短歌の連作タイトルにかなうものはそうないと思うけど、そのことを証明するものが堂園昌彦さんの歌集くらいしかいまだ存在しないままなのはなぜか。

「ぐっとくる(美しい・無力な・それ以外何もしようとしない)文字列」と相性がいいのは連作タイトルであり、短歌そのものではない(ので、そういう文字列を置きたい人は短歌に挫折するか、「矯正」されて短歌っぽくなってしまう)からかもしれない。

連作を主語的または上句的な感覚で束ねるのではなく、述語的または下句的な感覚で束ねていることが現れているタイトルの付け方があり、そういう連作タイトル(滅多に見かけないが)を好ましく思う。

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