koenwalk

還暦過ぎて早三年、週数日の会社勤め。心にうつりゆくよしなしごとは多岐にわたりますがすぐ…

koenwalk

還暦過ぎて早三年、週数日の会社勤め。心にうつりゆくよしなしごとは多岐にわたりますがすぐに忘れてしまいます。そうしたことを書いていきたい。たいしたことなかったサラリーマンのこと、本当にやりたいこと、社会への関心……それにつけても70年代、80年代のロック好き、DAWを少々嗜みます。

最近の記事

小説 「哲学する現在」 第一話 時はもう無駄に出来ない

「私の雇用契約なんですが、来月、三月いっぱいで満了します。今の状況ですと、インドの件で休日も出社していますし、別件で、株主間契約の改定や、B社からは請負契約についての検討依頼ももう直ぐ来ます。私としては延長していただきたいと考えているんですが……」  部内の定例打合せの後で、部長と課長を呼び止めそこまで言ったところで、部長は「それで?」とばかりに首をかしげて藤村を見やった。 「……ご検討ください」  この会社、三十五年務めたA社を退職し、三年前から週三日、嘱託として働い

    • 普通の人々

       今年は高峰秀子の生誕百年、ゴールデンウィークに東京タワーで開催されていた展覧会を見てきた。五歳で映画に初出演し、五十五歳で引退、その間三百本以上の映画に出演したという。「二十四の瞳」や「浮雲」が特に名高い。個人的には、「妻の心」や「張込み」が好い。昭和を代表する大女優であるが、デビューからずっと、自らの意思によらず周りに振り回され、不本意な半生であったようだ。それはご本人のエッセイ、「わたしの渡世日記」に詳しい。高峰秀子は、他にも多くのエッセイを書いており、その外連味のない

    小説 「哲学する現在」 第一話 時はもう無駄に出来ない