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鬼笑隊は日本を殺す

 永田町、首相公邸。

『ほら、終わったよ』
 合成眼球を介して送られていた突入映像がEMP手榴弾によって途絶えてから五分。邸宅から姿を現した老婆は空を凝望しながら生首を掲げ、冷然と報告した。

「対象の殺処分を確認。回収地点に向かってください」
 偵察衛星によって生首の解析照合を済ませたオペレーターが指示を出す。

『了解。みんな、撤収だよ』
『この電子云々って装備は糞の役にも立たないね』
『音声通信と同じ電子防護が要るよ』
『四式自動小銃が恋しい』

 談笑する老婆たちの様子を作戦司令室で見守っていたブルーム支局長は震慄した。
 あれだけ多くのSPと総理大臣… いや彼らに化けた “ギタイ” をたった五人で! しかも強化装腕とはいえ素手で…。

 祖父が語っていた伝説は本当だった。

“鬼女は笑いながら首を掻く”
 百年前の大戦で我が国の兵士が恐れ遁走したという日本の女性兵群、鬼笑隊。

 孫の私が彼女らと共闘すると聞いたら天国の祖父は笑えないだろう。

【続く】


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