『πの神秘』
寒中見舞い申しあげる。
Re;櫻湯にて檸檬珈琲を片手に窓際で読書していると、家人が高橋睦郎の「手紙」をふわりと朗読してくれた。その手紙もよかったが、その時にたまたま手にしていたのが写真の本になる。というわけで、新年一冊目は『#πの神秘』にしたい。
ご存知の通り、πとは約三で事足りる。しかし、二十世紀末の時点ですでに五百億桁以上が日本人研究者によって明らかにされているから、量子コンピューター時代の今、無限大に近き桁が視られるのではないだろうか。兎にも角にも岡潔をはじめ、概して数学者というものはたしかな言の葉も数の傍らに置くものだが、とりわけπ近くにいた者たちは色香がある。おそらく無限を追っているからであろう。
さてその無限だけれども、例えば、一から無限大までを永遠に足した和がマイナス十二分の一になると云われている。もちろん実数の世界だけで視ればただの計算間違いになるが、複素数も含めればやはりマイナス十二分の一におさまるというのだ。
無一物中、無尽蔵。
このような感覚がここ数年は必須になってくるであろう。眼前の儚きものを無限にして遊ぶのである。
本年もどうぞよろしく。
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