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親のKY力が、子供の”自主性”を育てる!

Kodomo Edu International School 代表の上田佳美です。
Kodomo Eduは、レッジョ・アプローチにインスパイアを受けた中目黒拠点のインターナショナル・スクールです。

保護者の方からよく質問を受けるのが、「どうやって小学校を選んだら良いですか?」という相談。子供の自主性を育ててくれる環境を重視したい保護者が、本当に近年増えているように思います。「今ある仕事の6割はなくなる」とか、「AIが人間の知能を超えるシンギュラリティが来る」などと言われる中で、未来を生きる子供達にとって必要なのは、「自分の好きを見つけて探求する力」です。というのも、”人に言われたことができる”力だけでは、これからの未来を生き抜けないから。AIに使われる人間ではなく、AIを活用して課題を解決していける人間になっていかなくてはいけません。それには自分事で取り組める力、自主性が不可欠です。

そうゆう背景から、「子どもの自主性」が大事にされるわけですが、ではどんな環境が「子どもの自主性」を育んでくれるでしょうか?

もちろん自由に何でもさせてくれる環境がいいわけでもないし(そんな小学校はありませんが)、はたまた管理型の学校では子どもの自主性を育めません。

大事なのは「学校の文化」

そこで判断基準になってくるのが「学校の文化」。保護者の方には、学校見学や在校生の話を聞いて、学校の文化をよく知ることが大切です、と伝えています。「学校の文化」というのは、ただの教育方針でもなく、先生達など学校側だけで作るものではありません。そこに関わる全ての人、つまり、保護者と生徒達も含めてみんなで作り上げていくものです。それは一晩でできるものでもなく、学校に関わる人達が時間をかけて積み上げていくのです。

私たちがレッジョ・アプローチのスクールを運営する上でも、学校の文化をどう育んでいくか常に意識しています。子どもの"自主性"や"責任感"などは、1時間ごとのクラスの中だけでは育めません。1日の生活を通して習慣づけをすることで身につくものです。

だから私たちの学校では、朝登園してスクールのドアを開けた瞬間から子ども達の学びが始まっていると捉えます。上履きを履いたりリュックを自分のバスケットに入れるなどの朝の準備から始まり、アクティビティーを選ぶ作業から全て子ども達自身に主体的にやってもらうことで、自主性を育んでいます。

また、それだけではなく、私たちは保護者の意見にもよく耳を傾けます。定期的に行っている保護者会では、トピックを決めて、保護者の方達とざっくばらんに話し合う時間を設けます。大事なのは共通目的でつながりあえること。そして、それを互いに認識して、同じ目的に向かって協力できることです。私達学校スタッフと保護者は、「子ども達にとってベストな環境を作る」という共通目的の中で話し合っていくので、建設的な話し合いを行い、みんなで学校の文化づくりに貢献しています。

私たちの学校では、「こうしなきゃいけない」というルールに縛られていないからこそ、保護者も生徒も主体的に関わってくれます。子ども達がどうしたいのかを大事にする意識を共有しているので、子ども達には自分でしっかり考えて話す時間と機会を十分に与えている点も、子ども達の自主性を育んでくれていると思います。

「みんな同じじゃないとだめ?」保護者の不安が子供の可能性を閉じてしまう

でも、このように保護者も巻き込んで文化を作るほど、柔軟な運営ができる学校は少ないと思います。

そこで、是非みなさんに学校選びで判断基準の一つになるのが、その学校の中で「同調圧力」があるかどうか。ちょっと強い言葉に聞こえるかもしれませんが、要は「学校の方針を信じて疑わず、生徒も保護者はそれに従うもの」と考えている人が多いかどうかです。なぜそれが大事かというと、学校全体にある「同調圧力」は、概して子ども同士の関係にも伝染するからです。

私の娘の通う小学校は、子どもの自主性を大切にし、授業も先生と子ども達との話し合いで進められていきます。様々な議題について、「どう思う?」「君はどう考える?」という先生の質問に対して、子ども達が思い思いの意見を言います。一つの正しい答えがないからこそ、人それぞれ考えが違うことも学びます。

そんな学校の文化だからか、先日今年度最初の水泳の授業があるという事で、娘に新しい水着を買いました。娘が選んだのは、長袖に長ズボンの水着。一般的な競泳水着をイメージしていた私は、「本当にこれで良いの?」と聞くと、「だってカッコいいじゃん。これが良い。」と言うので購入し、娘は水泳の授業に持っていきました。

学校から帰って来た娘に「水泳の授業どうだった?」と聞くと、「めっちゃ楽しかった!」と。

「他にも長袖・長スボンの水着着ていた子はいたの?」

「いないよ。」

「みんなあなたの水着を見て何か言わなかったの?」

「え?何も言ってないよ。何で?」

きっと、「お前だけ長袖ー、変なの!」とか、「長袖の水着なんかダメなんだよ(だって誰も着てないよ)。」と言われるのでは?と勝手に想像していた私にとっては、拍子抜けの娘の反応でした。

購入時は「違っているものを着せていいのか」と迷いましたが、あえて周囲の空気を読まずに娘にそのまま選ばせて、自分で対処してもらう機会にしました。親のKY(空気読まない)力で、彼女の自主性を活かすことができたと思います。

きっと彼女が自分で選んだ水着に自信を持てたのも「人の価値観はそれぞれ違うもの」ということが学べる学校文化の中にいたからこそ、成り立った出来事だと感じました。こうやって違いを認め合う学校だから、娘の学校の保護者の方達も、必ず同じでなくてはいけないという先入観がなく、家庭教育の方針や家庭のあり方の違いなど、尊重してくれています。

違いを認め合う環境が、子どもの主体性も伸ばしてくれる

このような違いを認め合う環境の方が、一つの価値基準で決められてしまった学校文化よりも、子ども達は伸び伸びと自分の好きなこと・好きなものを選んで伸ばしていけるように思います。

伝統のある学校ほど、どうしても学校の方針に従う、先生の言う事をしっかり聞いてそれに倣う、という風潮が多いので、暗黙の了解としての同調圧力がある傾向が多いかもしれません。実際、そのほうが大人数の子どもたちをまとめるには、都合がいいのですよね。いわゆる規律が守れるわけです。

「出る杭は打たれる」かのような学校環境は、子どもから「純粋な自分の意見を伝えよう」という勇気を奪ってしまいます

学校の数だけ様々な文化がありますが、それが学校側または保護者間で、「同調圧力」として押し付けられていないかだけ、もう一度見直してみるのが良いのではないでしょうか。そして、おかしいと思ったら親もあえて空気を読まないKYのふりで、子供を信じてあげたり、子供の背中を押してあげられると、自主性がいきる機会になりますよね。

違ってもいい、それを学校も教師も保護者も友達同士も認めあえる学校を、探してみてはどうでしょうか。

上田 佳美

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