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学校への「IT機器導入」、7つの観点を整理する

小寺・西田の金曜ランチビュッフェ 25号(2015年3月6日発行)より

先週以降、以下のような記事がSNS上でかなりの回数シェアされてきた。

・佐賀県立高パソコン授業の惨状(上) ― トラブル続出で授業は停滞
http://hunter-investigate.jp/news/2015/02/23-saga-pc.html

・佐賀県立高パソコン授業の惨状(下) ― 事業失敗 ツケは生徒に
http://hunter-investigate.jp/news/2015/02/24-saga-pc.html

・佐賀県教委 高校授業用パソコンの「教科書」削除を指示 1年のライセンス契約
http://hunter-investigate.jp/news/2015/02/ict26-25.html

今回のニュースクリップでも採り上げているが、少々センセーショナルに過ぎる部分があり、評価は難しい記事でもある。一方で、こうした記事が広がる理由は、「教育現場へのIT機器導入」について、しっかりとした認識が出来がっていないからでは……とも感じる。

本メルマガ、そして前身であるMAGonでの「西田宗千佳のRandom Analysis」を継続してご購読いただけている方ならば、各地・各学校でのIT機器(主にタブレット)の導入について、いくつもの事例をご紹介しつつ、様々な観点で情報をお伝えしてきたことをご存じかと思う。そこでは、筆者なりの「現場への導入はどうあるべきか」というイメージがあった。

今回は、そうした話を一度総括したいと思う。その上で、個々の事例がどうこうということよりも、「どういう議論があり」「どういう条件を大切にすべきか」という意見を述べてみたい。

これはあくまでたたき台であり、本コラムで示す内容が正しい、と主張するつもりはない。しかし、現状で、多くの人にとって「観点」が示されていない現状では、まずそれを整理することが重要、と考える。みなさんも、本コラムで示す条件について、ご自身の意見を考えてみていただけると幸いだ。

なお、参考資料として、大阪市教育センターがまとめている『学校教育ICT活用事業「中間報告」』を示しておく。大阪市は2013年から8校で、OSなどを分けて複数のタブレットを実践導入した上で経過をまとめている。その中では、OS名などは名指ししていないものの、実際に起きた課題や改善点をベースに、わかりやすく条件がまとめられている。筆者の目から見ても、たたき台として、妥当な内容かと思う。

・大阪市教育センター 学校教育ICT活用事業「中間報告」
http://www.ocec.jp/center/index.cfm/35,12495,176,315,html

ただし、本報告と大阪市での導入からは、また別の問題点が生まれてきているのだが、その点はのちほど議論することとしたい。

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