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【神話の現場】 #5 日本版「アダム」が最後に過ごした場所は緻密に計算された場所にあった

20年近く、ブラブラと全国の一の宮を中心に神社めぐりをしています。そこで出会した古事記&日本書紀で描かれている出来事の現場、つまり「神話の現場」について書いています。同じく神社・神話好きの方からも情報いただけたらうれしいです!

前回に引き続き、日本の誕生に関わる「国生み神話」について書きたいと思います。

国生み神話の主人公は日本版「アダムとイブ」の伊弉諾命(イザナギノミコト)と伊邪那美命(イザナミノミコト)です。日本列島をおつくりになったあとはどうなったのか?波乱万丈の人生をみていきましょう。

国を生み、神を生む

初めて二人が結ばれるときに、伊邪那美命の方から「あら♡いい男!」と伊弉諾命に声をかけてしまったため、元気な子どもが生まれませんでしたが、その後、仕切り直しをして、伊弉諾命から声をかけて結ばれてからは、順調に進みます。

淡路島、四国、隠岐、九州、壱岐、対馬、佐渡と生まれ、最後に本州が生まれました。(生まれた順番がとても興味深いですね...) 古代日本、大八島国の完成です。

島に続き、二人は神さまをお生みになります。石の神、土の神、海の神、風の神、山の神、穀物の神、と次々と生み、最後に火の神をお生みになりました。なんということでしょう、伊邪那美命は大変な偉業を成し遂げました。一人産むのにビビってた私とは大違いです。しかし、ボロボロの身体(私の妄想)に最後の火の神の出産で致命傷を負います。産道をやけどしてしまい、伊邪那美命は亡くなってしまうのです。

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途方にくれる伊弉諾命

最愛の妻をなくしてしまった伊弉諾命は失意のどん底です。妻に会いたい気持ちは募るばかり。ついに、死者の世界、黄泉(よみ)の国に会いに行くことを決意します。

黄泉の国にいき、伊邪那美命をみつけます。「会いたかった!一緒に帰ろう。まだ共にやることがあるではないか」と声をかけます。伊邪那美命もせっかく迎えにきてくれた伊弉諾命と帰ろうとします。「許可をもらってきますのでお待ちください。その間、決してこちらをのぞいてはなりませんよ」と伊邪那美命はいい、伊弉諾命は待つことにします。

しかし、いくら経っても戻ってきません。「おかしいなぁ。何かあったのかも?」と思い、様子を見に行くことにしました。暗闇のなか探し回っていると、目に飛び込んできたのはウジ虫に全身を蝕まれている伊邪那美命の姿です。ショックのあまり「ぎえー!」と声をあげてしまいます。(ここは私の脚色)

伊邪那美命は憤慨!鬼になった!

「のぞいてはならないと言ったのに、約束を破ったわね!」(怒)伊邪那美命は恥ずかしい姿をみられて怒りMAXです。伊弉諾命は恐れおののき、逃げ出します。

待てぇ〜!」といって伊邪那美命は黄泉の国にすむ鬼女の大軍を追わせます。伊弉諾命は持ち物を投げたり、剣を振り回したりして、必死で逃げます。最後は伊邪那美命も黄泉の国の出口まで追ってくるのですが、伊弉諾命はギリギリのところで大きな岩で入り口を塞ぐことに成功します。

息子との決裂

「黄泉の国はなんと汚い国だったか...」命からがら帰還した伊弉諾命は川でみそぎをします。このときに着ていた服や、きれいにした身体のあちこちから神さまが生まれました。この中にはあの天照大神や素戔嗚命(すさのおのみこと)もいます。

素戔嗚はお母さんに会いに黄泉の国へ行きたいと泣き続け、果てには伊弉諾命によって高天原から追放されてしまいます。

最初に産んだ淡路島で隠居

と、波乱万丈な人生を送った伊弉諾ですが天照大神に国を託し、リタイアすることにしました。淡路島の多賀に「幽宮」(かくりのみや)をたて、静かな余生を送ることにしました。そこが今回の神話の現場です。淡路国一の宮「伊弉諾神宮」。敷地内には伊弉諾命の御陵があるそうです。訪れると、清らかで平安な空気に包まれる神社さんです。

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日本の父である伊弉諾命の大きな愛(と勝手に感じられるもの)に私はビビビときました。まさに聖地と感じられる場所。いただいたお札は家の神棚からそっと私たち家族を見守っているように感じます。機会があればぜひとも参拝いただきたいオススメの神社です。

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「陽のみちしるべ」

伊弉諾神宮は緻密に計算された場所にあることも、知られています。神社には「陽のみちしるべ」という石碑があり、それをみると伊弉諾神宮を中心に春分、夏至、秋分、冬至の日の出、日の入りの方角に重要な神社が配置されていることがわかります。

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誰かがなんらかの計算をした結果としか考えられませんが、いずれにしても淡路島やこの周辺は古代日本では重要な場所だったのに違いありません。伊弉諾さんはこのあたりの豪族だったというお話しもあるそうです!地域を豊かにし、そこから日本全体を豊かにすることにきっと貢献された方なのでしょう。

前回と今回で、淡路島の神話の現場をご紹介しました。神社好きにはたまらない島だと知っていただけましたでしょうか?





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