【天下繚乱】サンプル紹介⑭ まつろわぬ鬼
「これが鬼の力や! せいぜい味わって地獄へ落ちな!」
キミは死んだ。
もうずっと昔のことだった気もするし、ほんの数日前だった気もする。ともかく妖異の刃にかかって、キミは命を落としたのだ。
イヤだ、とキミは願った。何をしても、どんなことをしても、何に成り果ててもキミは妖異を許せなかった。血涙を流し、血肉を喰らい、キミは地獄の底から文字通り這い出してきた――鬼となって。
もはやキミには人としての安息はない。その血を啜り、太陽の光を逃れ、吉原のいつわりの輝きの中で生きていくことしかできない。そこは{R:苦界/くがい}なのだ――人に取っても鬼にとっても。だがとにかく餌食には困らない――。
それでもキミが生き続けるのは、妖異を滅ぼすためだ。そのために自らが妖異になろうと構うことはない。“村雨丸”を手にしてすべての妖異を滅するまで、キミの戦いは終わらない。
“まつろわぬ鬼”は、地獄へと落ちながら、怨念によって現世へと蘇った悪鬼――すなわち妖異だ。
日光を恐れ、人の血肉を喰らわねば生きて行けぬ定めを持ちながら、それでも叶えたい願いがあるが故に、あなたはこの世界にしがみついている。光と闇の境界線、黄昏を歩んで行きたいのなら、これはあなたのためのサンプルキャラクターだ。
“まつろわぬ鬼”はいささか極端なデータを持っている。毒や闇の力はほとんど受け付けず、巨大な斧を無造作に振り回して相手を叩き潰すことができる。人では絶対についていけない、いや鬼や神霊すらあなたには追随できないだろう――なにしろ、鬼なのだから。
だが、鬼であるが故にその肉体は〈光〉属性や〈神〉属性に弱く、その特技は【MP】ではなくみずからの気、すなわち【HP】を削ることで発動する。そして失った【HP】を取り戻すためには、あなたは“喰らう”必要があるのだ――。
データとしての“まつろわぬ鬼”はハイリスク・ハイリターンなパワーファイターだ。味方の攻撃を支援することもできるし、不死身の肉体で彼らの盾になることもできる。死者を二度殺すことはできないのだ。
●クラス解説~鬼(おに)~
鬼は種族クラスである。
古来より日本では異界より来たるものすべてを鬼と呼ぶ。怨霊、山神、武士、それらは皆“オニ”と呼ばれてきた。
だが、英傑たちの世界で“鬼”と言った場合、それらはより狭い意味合いを持っている。
すなわち、強大な怨念の力によって現世へと蘇った亡者たちである。蘭学で言うレブナント、リターナーに相当する。
彼らの多くは閻羅王たちが支配する“魔界”に囚われた者だ。閻羅王は悪しき魂、怨念と悲痛に満ちた魂を魔界に引きずりこみ、もてあそぶことでその力を得るのである。
そうした亡者の中で、魔界より脱走することに成功したのが鬼である。魔界から現世には魂を奪うための隠された道がいくつも存在しており、そこを通ることで、現世に戻ることができるのだ。
鬼は一見すると人間同様の肉体を持っているが、その肉体は陰気を再構成して作り上げた、妖怪に近いものである。(力を露わにすると角などの異形が姿をあらわす)
陰気の生命であるため、日光に弱い。また、気を世界と循環させることができず、人血を啜る、あるいは呼気を吸うことでのみ生存できる。
鬼は人間を超える絶大な力を持っており、物理攻撃にも特殊攻撃にも秀でているが、その分己を保持する気、生命力を維持するのが難しい。
このような脱走者たちは現世に隠れ潜み、生者の血肉を喰らいながら日々を送っている。閻羅王の支配下にこそないが妖異の一族であることは疑いなく、その魂は黒く淀んでいる。鬼神衆たちはこうした鬼たちを“黄泉還り”と呼んで不倶戴天の敵としている。
第二に、死の瞬間にあまりにも強烈な怨念を抱いたが故に、鬼と化して現世と自ら舞い戻った者である。こうした鬼は“修羅”とも呼ばれ、三百余州に祟りをなすとして畏れられている。修羅もまた、人の世界に住むことはできず、人を喰らって生き延びる他ない。
そして、悪鬼と呼ばれる鬼たちがいる。彼らは閻羅王の覚えめでたき、あるいは閻羅王に尻尾を振った黄泉還りだ。悪鬼はまさに悪鬼羅刹であり、妖異の力を存分に振るうことができる。
●鬼の生態
鬼たちは日光を忌み嫌い、夜の中に生きる。そして、再度の死を極度に恐れる。次の死は閻羅王に支配され、もう二度とみずからの生きる目的を果たせないと悟っているからである。
それ故に、鬼たちは人間たちを裏から操りながら、自らの妄執を果たそうとするものがほとんどである。
●次回予告
次回は『天下繚乱』をプレイするために具体的に何が必要なのかを紹介していこう!
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