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こうち観光実践しゃべりば#17 ~地元応援!高知のマイクロツーリズムを考えよう~


第17回目のテーマ「マイクロツーリズム」

『こうち観光実践しゃべりば』は、観光に対する自身の活動や想いを語り合い、自分たちで気づき、認め合い、応援することで、高知の観光に緩やかなつながりを生み出す場です
講師の話を聞くのとは異なり、参加者同士で話し、見つめなおすことで、明日から使える、より実践的な学びを提供します。

今回は、新型コロナウイルスの感染拡大防止に配慮した観光形態として注目されている“マイクロツーリズム(域内旅行)”をテーマに、観光による地域経済の活性化や地域の魅力再発見を目指す、withコロナ期の旅行のあり方を、高知県での実践に置き換えて議論しました。



マイクロツーリズムを知ろう

チェックインでお互いのことを知った後、マイクロツーリズムとはどんな観光なのか、高知県と全国の事例から学んでいきました。
まずは、NHKラジオで全国放送された『高知県仁淀川地域におけるマイクロツーリズムのモニターツアー』についての番組を全員で聴き、高知でどんな取り組みが行われ始めているかを知りました。内容からは、地元に長く住んでいるシニアの女性たちが、仁淀川の自然体験や食を満喫している様子が伺え、たとえ近くに住んでいても意外と地域の人は地元の魅力を知らないことや、コンパクトな商圏での観光商品でもしっかりと喜ばれるものが作れることなどを理解していました。

続いて、マイクロツーリズムの概要や全国的な動きについて学びました。「マイクロツーリズム」という言葉は、全国でホテル等を運営する星野リゾート代表・星野氏が提唱したもので、自宅から30分~1時間の自家用車で行ける範囲の、普段あまり行ったことのない場所での観光を指します。そこには、自粛疲れを抱えた人々の旅行ニーズに合わせた、地域を跨がないサービスが提供できることや、地元を深く知るきっかけ作り、感染拡大を防止しながら地域経済を両立する観光形態の樹立といったメリットがあり、withコロナ期における新たな観光形態として注目が高まっています。
高知県民は車の所持率が高いですが、県が東西に長いことや地域の観光資源を「当たり前」と感じてあまり近場には行かないこともあり、意外と地元の観光をしたことがないという人が多いことが予想されます。だからこそ、1~2時間足を延ばしてプチ旅行気分を味わったり、地元の良さを見直し、応援したりする観光は、高知と相性の良い観光形態となる可能性があります。学んだ内容を踏まえ、実際に高知でマイクロツーリズムを実践するならどんなことが出来そうかを、後半で考えることにしました。

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身近にどんなニーズがある?

インプットの後、参加者自身が感じていることをベースに、高知県ではどんなマイクロツーリズムが展開できそうかアイディアを出し合ってみました。
新たな体験や「映え」を求めている若年層、体力に自信がなくても安全・安心な旅を楽しみたい老年層など年代別に分けて考えたり、逆に若者とお年寄りをマッチングさせるような旅行形態を考えたりと、参加者は様々な立場を想定してアイディアを出していました。

親子連れを想定した案では、「親と子とでは体験活動に求めるニーズが異なる」という気づきから、子どもは普段できないような体験をし、親は親同士コミュニケーションを取れるようなプログラムがあればいいね、という話になりました。

また、自分自身の経験から、こんな観光があったらという意見も多く浮かびました。「家の近くに知らなかった良いお店・企業がたくさんあって驚くことがあった」「近所の山に登ってみると、ここが高知かと思うくらい景色が素晴らしく、とても感動した」など、地元の魅力を再発見したという参加者の方々は、マイナーだけれど魅力的な地元の場所・企業・人を満喫できるようなツアーを考えて提案していました。別の参加者は、「場所というより人を目的として、“あの人に会いに行くための観光”をすることが多い」というご自身の経験から、地元にいる一芸に秀でた人や面白い人を“観光スポット”として訪ねる観光も面白そうだと発表していました。

別の角度からは、コロナウイルスの感染拡大に伴い、地域での監視の目が強くなっていることが指摘され、こんな状況下で行きたいと思える地域は「よそからの来訪を地元の人が許容している地域」ではないかという意見も出ました。よって、観光客を呼びたいのなら、住民の生の声を聴き地域で合意した上で、許容していることを発信したり、来訪の際のルールを示したりすることも大切だと話し合いました。

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自分で観光プランを作ってみよう

互いに話し合って考えが深まったところで、自分自身が企画としてやってみたい観光プランを考えてみました。
高知の中心地からすぐ行ける距離にありながら、非常に良い水質が保たれている鏡川にフォーカスを当てた参加者は、美味しい水が生んだ酒や食べ物、美しい風景を引き立てる遊覧船などを盛り込んだツアーを提案し、好評を得ていました。
地元企業の魅力を最近知ったという参加者は、異業種の仕事を見に行くツアーを企画し、他業種の抱える課題解決や地域のつながりを強めるきっかけにもしたいと話していました。「間を取り持ち、コーディネートする人がいたらよりうまくいきそう」というフィードバックももらっていました。
また、ご自身の仕事や趣味に関連して、材料集めから体験するバーベキューのプランを提案した参加者もいました。例えば、廃材となっていた木材をもらいに行って薪割りをしたり、農家さんの手伝いに行って農産物をもらいに行ったりして材料を集め、最後にみんなでバーベキューをするというものです。プログラムを通して、苦労してごはんを食べる感動体験をしつつ、地元で働いている人たちの応援につながったり、社会課題や生きる力を学ぶきっかけになったりするというアイディアに、他の参加者も「今までプログラム化していなかっただけに、観光商品として出来上がったら楽しそう」と盛り上がっていました。
参加者一人一人が、自分の経験や議論を経ての気づきを活かしながら、自分のやりたい様々なプランを考えることができました。

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チェックアウト

最後に、参加者それぞれがこれからしていきたいことや感想を述べました。
「自分に抜けていた発想や異なる目線からの意見を聞けて、目からウロコだった」「自分のアイデアを聞いてもらえて嬉しかった」など、議論を通じて自分自身の考えが深まったという感想や、「人にも“マイクロツーリズム”という言葉を教えたい」「やろうとしているプランを、仲間と共に実現していきたい」など今後について前向きな目標が語られており、充実した時間となったことが伺えました。


※総括
久しぶりのオフラインでの開催ということもあって、議論が大変盛り上がり、皆さん楽しまれていたようでした。高知でできるマイクロツーリズムの面白いアイディアがたくさん飛び出し、参加者の活動にも親和性のあるプランばかりだったので、今後どのような形で実現するのかとても楽しみです。ぜひ、しゃべりば参加者の方々と協力して実現していただけたらと思います。
参加者の感想から、同じ志を持った仲間と集まって“しゃべる”ということが、それぞれの活動の刺激や励みになるのだということを改めて感じました。観光業は依然厳しい局面に立たされていますが、身近にいる仲間とのつながりを活用しつつ、高知で今できることを少しずつでも取り組んでいけたらと思いました。


(レポート:陶山 智美)


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