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【レポート】こうち100人カイギvol.8 ~移住先は高知!新たな生き方、始めました~


地域で働く100人をきっかけに、まちの在り方や価値を再発見し、ゆるく人を繋げる「100人カイギ」がKochi Startup BASEを拠点として2019年1月よりスタートしています。

ルールは1つ。「ゲストが100名に達したら解散する」。

高知で活躍するゲストを毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただきます。

今回は、2019年月9月18日に開催されたこうち100人カイギvol.8の様子をレポートします。

高知県内外、多様な分野で活動する5名の方々をお呼びし、それぞれが自分自身の生き方や働き方について話題提供を行い、参加者とともにネットワーキングを行いました。


各者各様の想い
登壇者1

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岡本明才さん ((株)ライフ・カラーズ社員・写真家)
1971年生まれ、高知市出身。親の駆け落ちで幼少期に高知を離れ神奈川県で生活していたが、高校中退で親から独立し一人暮らしを始めるが生活が破綻してしまい、泣く泣く高知に帰郷する。30代にインドに行くより人生が変わる有名な沢田マンションに入居してから本当に人生が激変し毎日が文化祭の生活が始まる。沢田マンションでは多くの移住者の受け入れ交流を深める現在は、不動産会社ライフ・カラーズに勤務し移住者の相談や商業施設コレンスの管理人・GalleryE主宰・菜園場商店街活性化事業などを行なっている。

1人目の登壇者は、奇妙な建築として有名な『沢田マンション』や、菜園場商店街北の複合施設『コレンス』をおもな活動場所として、人々の交流や地域活性化につながる様々な取り組みをしている岡本 明才さん。
幼い頃に離れた高知へ大人になって戻ってきた岡本さんは、ゴミ回収からかまぼこ製造、とび職、カメラマンまで、多種多様な仕事を経験してこられたそう。周りが知らない人ばかりだったからこそ、コミュ障だった自分の殻を打ち破って喋る努力ができたといいます。「下手でも土佐弁をどんどん使う」など、移住者が高知県になじむためのコツも、ご自身の経験をもとに教えてくれました。

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楽しいと思うことをやる
岡本さんの人生の転換点は15-16年前。『沢田マンション(以下沢マン)』という、セルフビルドの奇妙な集合住宅に引っ越した時です。HP上で面白い挑戦を生配信するなど、ユニークな活動をしていた住民との出会いを経て、気づけば自分自身も沢マンのイベント運営に関わっていたといいます。
ゼリー神輿やアートイベントなど、自分が楽しいと思うことをしていく中で、「沢マンのような場所があれば、人が集まり交流が生まれる」ということに気付いた岡本さん。現在はマンションを出て、菜園場商店街で廃墟になっていた建物をリノベーションした複合施設を運営しています。テナントさんと一緒に、菜園場商店街一体となって地域を盛り上げていこうと、現在の活動、これからの展望についてを話してくれました。


登壇者2

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柿谷 奈穂子さん (日本茶インストラクター・リーダー)
東京都出身。20代半ばに京都に移住した際、日本茶の魅力に惹かれ、
その後日本茶インストラクターを取得。資格取得後は、「株式会社一保堂茶舗」で販売の傍ら、宇治茶道場「匠の館」でインストラクターとしての活動を行い、結婚を機に須崎市へ移住。津野山農業協同組合にてお茶の販売や普及活動を行い、津野山ビールを企画。現在はフリーランスの日本茶インストラクターとして土佐茶のPRに取り組む。近年はお茶をテーマにしたイベント『ツノチャ・マルシェ』を企画運営している。

2人目の登壇者は、日本茶インストラクター・リーダーとして土佐茶普及のための活動をしている柿谷 奈穂子さん。
「私から出てくるのはお茶の話ばかり。」と微笑みながら、高知で“お茶”を仕事にするまでの経緯や、土佐茶の現状、これからの展望とそれにかける思いなどお話しいただきました。

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土佐茶をみんなで残したい、楽しみたい
日本茶好きな旦那さんとの出会いがきっかけで、日本茶インストラクターの資格をとり、結婚と同時に須崎市へと移住した柿谷さん。移住してまず、車で30分も走れば茶畑に行くことができるという産地の近さ、そして土佐茶に関わる人たちのあたたかさに感動したといいます。お茶が好きだと話しているうちに仕事に繋がり、JA津野山で土佐茶の普及活動をすることになりました。しかし、産地に近づいたことで今まで気づかなかった課題も見えてきました。高知はお茶を生産はしているのに緑茶消費量は全国最下位と、圏内で飲んでくれる人が少ないこと。生産者が毎年辞めていっていること。この状況を変えるため、柿谷さんはお茶のビアカクテルを開発したり、『ツノチャマルシェ』というイベントを運営したりと、現在にわたり幅広く活動しています。
「自分が感動した景色・産品を、地元の方と一緒に残していきたい。みんなでお茶を楽しみたい。」柿谷さんは最後にそう締めくくってくださいました。


登壇者3

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河井 舞さん (旅するリンパドレナージセラピスト)
1985年生まれ。静岡県浜松市出身。独身。鍼灸マッサージの専門学校卒業後、婦人科癌の後遺症である「リンパ浮腫」のセラピストとして神奈川県で就職。2009年 母の地元である高知に家族で移住。翌年、高知県で唯一のリンパ浮腫専門マッサージ院を開院。現在は「旅する医療リンパドレナージセラピスト」として、1人でも多くのリンパ浮腫難民を救い上げるため、高知、東京、大阪、愛知、長崎など中心に活動中。

3人目の登壇者は、旅するリンパドレナージセラピストの河井 舞(かわい まい)さん。
がんの後遺症として出現するリンパ浮腫のセラピストとして活動しています。父のリンパ癌をきっかけに病気の存在を知り、この道に進むことを決意したという河井さんは、少しでも多くの方にこの病気を知ってもらえるようにと、北へ南へと旅するように全国に渡って施術、治療をおこなっています。

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リンパ浮腫を知ってほしい
まだまだ認知度の低い病気・リンパ浮腫。しかし、ずっと患者さんと向き合ってきた河井さんは、その現状を重く受け止め、一人でも多くの人の改善に向けて活動しています。
身近なものを例に病気の悪質さを語る河井さんが、この日履いていた治療用ストッキングは、なんと一足32,400円。何足も揃えたうえで、リンパマッサージに、手術に、かかる費用を考えると、患者さんの負担が推し量られます。しかし、このようにストッキングを着用しているだけでは一見わからないので、健常者と同じように扱われるのがこの病気の辛いところだと話してくれました。
リンパ浮腫はがんそのものが治っていても、その後に出現する後遺症なので、病院の先生も放置してしまうことが多い中、苦しむ患者さんのために、河井さんは日々奔走しています。
最後に、高知に移住した時の苦しみについても話してくださいました。高知には知り合いがおらず、3年間くらいは好きになれなかったそうです。今でも出会いに対して億劫で、深い友達がいないのが悩みだそう。「同じような方の力になりたい」という率直な声に、参加者も勇気づけられていたようでした。


登壇者4

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川村 淳さん (や農園 一生平社員)
1979年生まれ、高知県高知市出身。高校卒業後、福岡県の大学に進学し、4回生の時には1年間、語学を学ぶ為にアメリカに留学。帰国後福岡の大学を卒業し、愛媛の建設会社に入社、香川県に配属。約9年間の勤務の後、新規就農者として夫婦で平成25年から農業を開始。現在、オーガニック(有機栽培)農家として主に春野町でお米と野菜を栽培。販売先としては土佐の日曜市をはじめとし、木曜市に出店。平成29年の8月に飲食店『おにぎりや農園』を開店。令和元年7月から蔦屋書店オーガニックエコマルシェにも出店。現在に至る。『自然と共に』をもっとうに現在、『おにぎりや農園』スタッフ6.5名、『や農園』2.5名で運営できる農業を目指して現在も模索中。


4人目の登壇者は、春野町でオーガニックのお米と野菜を栽培し、飲食店も営業している川村 淳さん。「環境のことについて勉強がしたい」という奥さんの言葉がきっかけで、環境に優しい農業をしよう、とこの道に踏み込みました。農業は儲からないという現状や、不自然な流通構造に疑問を呈し、自分たちのやり方で農業や自然に対する思いを発信していこうとする川村さんの姿に、参加者は感銘を受けていました。

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生産者と消費者をつなぐ形作り
有機農業者育成機関である『有機のがっこう 土佐自然塾』に通って勉強したのち、矢野さんはまず、2年間はひたすら土づくりをしました。手探りでの栽培で、始めはうまくいかないことばかり。しかし、できた野菜は小さいながらも味は良く、土が出来てからはどんどん獲れるようになっていきました。
売り方は、農家と消費者がつながることが一番早いと考え、土佐の街路市・日曜市への出店に踏み出すことに。日曜市に出店することで、いろんな人と出会えて、情報ももらうことができ、消費者と生産者の繋がりが見えてきたそうです。そのうち、獲れすぎるほどお米が出来るようになり、その活用を考えた時、「おにぎり屋さんをやろう」と思い付いた川村さん。「有機野菜をもっと食べてもらいたい」という想いも込めて、『おにぎりや農園』というお店をオープン。
今の目標は、より生産者と消費者が繋がれる形作りをするということ。これからも頑張って野菜を作っていかなければ、と話してくれました。


登壇者5

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須江 勇介さん (有限会社With代表)
1983年生まれ。愛知県名古屋市出身。幼少期は東京都、中高生時代は高知県で育つ。韓国への留学、東京都でのエンジニアを経て、2005年に高知に帰郷し、現在代表を務めているWithを設立。妻と子供2人、犬3匹、猫2匹と土佐山で暮らしている。デジタルマーケティングのプランニング領域、事業開発と若手の育成を中心に活動。趣味は、アウトドアと家族旅行。暇さえあればどこかに出かけている。


5人目の登壇者は、有限会社With代表の須江 勇介さん。
名古屋で生まれ、小学校までは東京、中高は高知、大学は韓国、と各地を転々としてきた須江さんですが、高知に帰郷して創業し、自然の豊かな田舎で心豊かな生活を送ろうと、現在は土佐山で暮らしています。当初は韓国に戻りたい気持ちで創業したそうですが、お客さんも増えて責任も出てきて、気づけば高知に来て14年経つとのこと。
とはいえ、高知にとどまらず色々な場所へも旅をしています。「やりたい仕事をしながら、住みたい場所に住めたり、行きたい場所に簡単に行けたりする時代」と語る須江さん。異なる常識や文化に触れることで柔軟な発想が生まれることを教えてくださいました。

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常識を、棄てる
須江さんの仕事はデジタルマーケティングといい、高知県内のお客さんのウェブサイトや集客用の動画、プロモーションムービーの作成などを行う仕事です。
あるとき、スーパーマーケットとのやりとりで気付いたのが、食品の廃棄問題。須江さんはこの問題を何とかしようと、フードロスをなくす活動を行なっています。キャッチコピーは、『捨てる常識を、棄てる』。『もぐにぃ』というプロジェクトキャラクターを作り、子どもたちに楽しくフードロスのことを伝えています。
また、別のビジョンとして掲げているのが、高知への移住者や高知に残ってくれる学生を増やすこと。その一つの方法として、「デュアルライフ」という、複数の生活拠点を持つ生き方があります。住みやすい場所に住んで、稼げる場所で稼ぐ、というこれからの移住の在り方に、参加者も関心を示していました。
「革命は辺境から起こる」という信念のもと、革命を起こせる仕事がしたいと、最後に語ってくださいました。


移住コンシェルジュのお話
今回は5人のゲストのほかに、高知県移住促進人材確保センターから、移住の相談を承っている移住コンシェルジュの方が来てくれました。
窓口を通して高知県に移住した人は、934組 1,325人だそうで、窓口を通さず移住する人も含めるともっといるのでは、とのこと。
Iターン、Uターンなど、どんな相談でもOKで、県外の友達や県外で知り合った人が高知に来たいという場合も活用してほしいと話していました。
高知の魅力は何といっても“人”。移住した、していない関係なく、おもしろい人が集まる場所が高知だという話に、参加者も頷いていました。


ネットワーキング
登壇者と参加者の垣根を超え、思いでつながるネットワーキングの時間。この時間は、ゆるい繋がりを生むという100人カイギの中でも、大切にしている時間のひとつです。
参加者と登壇者が自由に動きながら、質問や自分自身の思いなどを語りあいました。これまでにない新たなつながりを作る場になりました。

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総括
今回は「移住」をテーマに、高知に移り住んだ5人のゲストの生き方から、たくさんの学びを得ることができました。移住先で出会った景色や人、そしてそれらを取り巻く課題やワクワク感から、何かを見つけ出し行動するゲストの方々からは、とてもフレッシュなやる気を感じ、思わず応援したくなりました。参加者もその前向きな姿勢を見て、自分の生き方、あるいは自分の周囲で頑張っている人のサポートについて考えるきっかけになったのではないかと思います。
ネットワーキングの時間にはたくさんの会話があり、短時間の中でしたが交流の輪が広がっていました。新たなつながりができたことは、登壇者・参加者双方にとって大きな励みになったのではないかと思います。

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(レポート:陶山智美 )

▼こうち100人カイギvol. 9はこちらから。


100人カイギとは
100人カイギは、一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の“身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動です。2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。

お問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒781-0084 高知県高知市南御座90-1 高知蔦屋書店3F
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/

皆様からいただいたサポートは、今後の活動・運営に使用させていただきます。