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【ジャーナル】こうちマイプロジェクト道場 1期#3 ~一歩を踏み出し、仲間と支え合う~


「こうちマイプロジェクト道場」は、一人ひとりが自分のライフヒストリーと紐づいた自分自身が本当にやりたいこと(will)に向き合い、仲間と共にその第一歩を踏み出し、そこでの気づきを対話を通じて深め、さらにアクションを重ねながら、起業や事業創造、プロジェクト実践を進めていく連続講座です。

今回は、自分らしい生き方で全国各地で挑戦を続けているゲストを迎え、彼らのストーリーを共有しながら、参加者一人ひとりの想いを掘り起こしていきました。

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<ゲスト講師>財前 英司さん
(関西大学梅田キャンパス スタートアップ支援マネージャー/スタートアップカフェ大阪 チーフコーディネーター/一般社団法人ベンチャー型事業承継 顧問)

2012年、関西大学から出資を受けて、調達システムの構築、代行、販売を中心とした事業会社を設立。2016年、関西大学梅田キャンパス設立のプロジェクトメンバーとなり、事業構想から立ち上げを行う。
現在は関西における起業文化醸成、裾野の拡大を目指し、STARTUP CAFE OSAKAのチーフコーディネーターとして、年間300回以上の起業イベントの企画、プロデュースを行いつつ、起業プログラムの開発、起業相談にも対応している。

やると決めることが一番大事

「なにをふられても答えると、大阪では有名です」と笑いを誘い、話し始めた財前さん。
関西大学梅田キャンパス内にある起業家育成・支援機関『STARTUP CAFE OSAKA』のコーディネーターとしてほぼ毎日、起業イベントの企画や起業相談などに携わっています。
そんな財前さんが「起業したいけどどうすればいいですか?」という質問に対し、まず答えたのは「やると決めること」。

起業を学ぶ、自分のキャリアを学ぶ、というのは、今の時代ネットや本でいくらでも可能であり、知識量はもう関係なくなってきています。
そんな中で大切なのは、「最終的にそれをどう受け止めて解釈して行動していくのか」ということ。そのために、得たものから自分なりに考えて可視化する感性が重要であると、財前さんは語ります。


ピアで刺激し合える環境づくり 

2016年10月に開設された『STARTUP CAFE OSAKA』。運営に携わって3年が経ちます。今まで50名余りが起業しており、それ以外にもイベントや相談を通して、たくさんの起業したい人たちを見てきました。
その中で財前さんが実感していることは、「知識だけでは起業に至らない」ということ。だからこそ財前さんは、ピア(仲間内)での刺激が生まれるような環境づくりを意識しているそうです。

例えば、マーケティングをずっと勉強してきた人と、ボードゲームが好きでずっとやってきた人とが出会って生まれたのが、マーケティングを学べるボードゲーム。
全く別々の領域にいた2人の知が結合することでできたこのゲームは、今色々な企業で社員研修に使われ始めています。新たな仲間同士でつながることで、新たな可能性が生まれているそうです。
新しいことをやっていこうとするときには、重要なものが3つあると財前さんは話します。
それは『コミュニケーションがとれる場』、『同じ目的もった人同士のコミュニティ』、『外部とのつながり(コラボレーション)といったもの』。それらを大事にしたいという想いで、現在『STARTUP CAFE OSAKA』を運営しています。


あの頃の夢をもう一度 ー大学で働くという選択

財前さんは、どういった経緯でこの仕事をされているのでしょうか。
学生時代にさかのぼって、ライフヒストリーを話してくれました。
大学までずっとバスケをしていて、自分の考えを話したり、リーダーシップをとったりすることが得意だったという財前さん。
就職氷河期で激しい競争を勝ち抜くことが好まれた時代でしたが、部活動で培った体育会系の人格が評価され、順当に企業から内定をもらうことができました。

しかしある日、部活に練習に来た大学勤務のOBから、思わぬ誘いを受けます。
―「お前、大学残らへんか?」
就職も決まっており、大学で働くなんて考えてもみませんでした。
しかし、一度断ったものの、頭をよぎったのは、「先生になりたい」という中学時代の夢。
かつては自分に向いていないと諦めた夢でしたが、大学の業務をしながら部活の指導をするという道が見えた時、「やってみたい!」という気持ちが抑えられなくなり、内定を蹴って大学で働くことにしました。

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既存の価値観でなく、新しいものを

大学職員として財務の仕事をし、終わったらバスケ部の指導をする、そんな充実した日々を過ごしていたある日のこと。大学の要請で白羽の矢が立ち、会計士の資格取得に特化した大学院に行くことになりました。
しかし、会計士の勉強は面白くなかったといいます。大学に応援され、何とか通い続けましたが、病気になってしまい結局、大学院を辞めました。
大変な出来事でしたが、大病を経験して、それまでの考えが変わったといいます。

このまま会計士になり、「大学がいかに勝ち残っていくか」といった王道のところで戦うのはダメだ。
既存の領域や価値観ではなく、今までにない新しいものを作らなければ。

そう思って、大学の新たな収入源を生み出す方法を模索していたところ、大学に出資してもらう事業会社を作ったらいいのではと閃いた財前さん。
意を決して稟議書を提出し、2012年、大学から3,000万円の出資を受けて会社を立ち上げたのでした。


挑戦してみたい!動き出すSTARTUP CAFE

財前さんが大学内に作った会社は、バラバラに買っていた資材や物品を集約し、スケールメリットを使って安く卸すというシステムで動き出しました。
周りから無理だと言われたり、大学を辞めて会社の経営に専念しようと辞表を書いていたりもしたそうですが、3年間で2億円を大学に寄付できるほどに事業はうまく回っていました。

一定の成果も出し、次のやりたいことに取り掛かろうとしていたタイミングで、大学から声が掛かります。
「梅田 にこういうハコ(STARTUP CAFÉ)ができるから、大学戻ってきて中身を考えろ」。
嫌だと主張した財前さんでしたが、あえなく強制送還されてしまいます。
当初は不満もありましたが、何のために自分がいるのかを考えると、自然と「大学を 良くしたい、挑戦してみたい」という想いが湧いてきました。
そうして、全くの白紙の状態だったスペースを、事業構想からコンセプトまで決めて、今に至ります 。


STARTUP CAFEの目指す未来

立ち上げ時、どんな未来を作っていきたいかシナリオプランニングした財前さんは、「変化の速いこれからの時代、学生のキャリアは二転三転するだろう。そしてその中で起業という選択肢も生まれてくるだろう」と考えました。
クローズドな学習環境として機能してきた大学に、外部とつながり多様な知・価値観と出会う機会を創出することで、学生が「探索」できるように、と『STARTUP CAFE』を運営しています。
CAFEの始動から3年が過ぎ、これまで探索してきたものをどうまとめて新しい価値を生み出すかが、今後やるべきことだと語ります。

最後に、起業に対する考えを教えていただきました。
起業支援をしている財前さんですが、必ずしも起業を勧めてはいない、と言います。なぜなら、起業はあくまで手段だから。
本当に大事なのは、自分がどうなりたいか、何がしたいか(目的)をはっきりさせることだ、というのが財前さんの考えです。
その上で、自分の強みがどういったニーズに対応できるか探ったり、ストーリーを語ったり書いたりして可視化できるようにしておくと良い、と話してくださいました。

「あなたのやりたいことが一番大事。自分の人生を自分で生きていって」
財前さんの励ましの言葉に、参加者は勇気づけられていました。

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LEGO® SERIOUS PLAY®を使ったワーク/チェックアウト
次に、チェックアウトを兼ねて、LEGO®SERIOUS PLAY®を使った自己表現のワークを行いました。「今、一番自分をワクワクさせるもの」「自分のプロジェクト」などのテーマに沿って、LEGO®を自由に組み立て、自分の中にある言語化されていない想いをアウトプットしていきました。

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参加者は、最初はLEGO®の扱いに少し戸惑いながらも、言葉でなく直感的な感性を意識的に表現することで、新たな気づきを得ていました。また、他の参加者の発表に耳を傾けることで、仲間の想いを知ることができたり、自分にはない発想を学び取ったりできました。マイプロジェクトを見つけるきっかけづくりになったのではないかと思います。


総括
財前さんのお話から、知識よりも自分の感性や仲間とのつながりが新しい価値を生み出すこと、そして何より「やってみたい!」という気持ちが大事であることを学ぶことが出来ました。その後のLEGO®のワークを通して、「自分の想い」に対する参加者の理解が深まったと思います。
今回の講座を通して、「やってみたい!」を可視化し、アクションに移していくための良いインプット・アウトプットが出来ました。

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(レポート:陶山智美)



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