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【レポート】こうち観光実践しゃべりば#14 ~社寺観光のこれからを語り合おう~

第14回目のテーマ「社寺観光」

『こうち観光実践しゃべりば』は、観光に対する自身の活動や想いを語り合い、自分たちで気づき、認め合い、応援することで、高知の観光に緩やかなつながりを生み出す場です。
講師の話を聞くのとは異なり、参加者同士で話し、見つめなおすことで、明日から使える、より実践的な学びを提供します。

今回のテーマは、社寺観光。
地方の神社仏閣の存続が、人口減少や若者の宗教離れに伴い危ぶまれる一方で、御朱印集めやパワースポット巡り、外国人旅行者の観光スポットなど、社寺の新たなあり方が観光の側面から見え始めています。

今回のしゃべりばでは、観光という切り口から高知県の社寺を軸とした地域活性化について語り合い、地域の魅力や活力を生み出すための自分にできる第一歩を考えていきました。

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地域の現状と社寺観光の可能性

チェックインの後、地域における社寺の現状と、観光業とのコラボによる可能性について確認しました。
かつては地域コミュニティの核として機能していた神社仏閣ですが、地方の人口減少や若者を中心とした宗教離れから弱体化が進み、跡継ぎ不足、神事・祭事の継承困難、伝統技術の喪失など、その存続を揺るがす様々な問題が起こっています。

すでに「空き寺」も増えてきており、25年後には全国の4割の寺院が閉鎖されるといった予測や、低収入で運営されている神社が多く存在することを示したデータなどが上がっています。

そんな中で、近年社寺を訪れ始めた人たちもいます。
それは、「日本らしさ」を求めて旅する外国人旅行者や、パワースポット巡り・御朱印集めが好きな女性たち、巡礼、写経、座禅などの体験をしてみたい若者たちです。

こうした観光的な性質を持つ地域外からの社寺訪問は、社寺に限らず地域全体のにぎわい創出や経済循環、また文化の継承にもつながる大きな可能性を秘めています。

今回はこの「社寺観光」に着目し、高知県の社寺を軸とした地域活性化について、観光という切り口で考えることを目標に進めていきました。
参加者は社寺が置かれた現状を受け止め、自分の地域の社寺や観光に関する課題を思い浮かべながら話を聞いていました。

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他地域の事例を見てみよう

次に、先進的に社寺観光を行っている他地域の事例を見ていきました。
もともとは参拝者のための宿泊場所である『宿坊』を、観光客も気軽に宿泊できるよう整え、同時に座禅、写経、滝行、ヨガなどの体験サービスも提供する寺院が全国に増えてきています。

また、そうした寺院の情報を集めたポータルサイトもできており、積極的な情報発信が行われつつあります。

事例のひとつである熊野古道では、「自然や文化を楽しみながら自分の足で歩く」という体験に、最もマッチしたニーズを持つ欧米豪の個人旅行者をターゲットに、インバウンド向けのリブランディングが行われています。

着地型旅行代理店による各種サービスの提供や、外国人向けWebサイト・ガイドブック等の制作、バス時刻表・広域観光マップの整備などのほか、地域住民を対象とした外国人受け入れワークショップの開催によって地域の受け入れ態勢を強化したり、巡礼の聖地・サンティアゴとコラボした共通巡礼手帳により、他地域間との連携を図ったり、といった様々な工夫がなされ、観光客が急増しているそう。

参加者からも、インスタ映えと絡めた神社のプロモーションや企業が公開しているお祭りカレンダーの存在など、それぞれが持っている社寺観光の事例を共有してもらい、勉強し合いました。

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高知の社寺観光を考えてみよう

インプットを終えた後、実際に高知県で社寺観光を進めていくとしたら、どこでどんなことが出来そうかを考えてみました。

参加者は高知市、須崎市、香美市、南国市、大川村、また東京からと、様々な地域からお越しだったので、社寺観光を自分の周りや地域に置き換えて、どう活かしていくかを具体的に話し合うことができました。

自分の地域の資源を他の人から教えてもらったり、良い反応をもらったりする中で、「自分の地域で当たり前と思っていたことがこんな風に評価してもらえるんだ」と驚く参加者の姿もありました。

また、「情報が整っておらず発信もできていないので、認知度が低く価値が十分に伝わっていない。もったいない」という課題意識や、「苔、古神道、庭園、修行体験など、特に外国人には刺さるポイントがたくさんある」というアイデアの種など、様々な意見が挙がり、議論が弾みました。

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自分にできることを見つけよう

最後に、参加者それぞれが自分にできることを考え、共有しました。

‐自分の地域の社寺情報をすぐにでもまとめる。また、宿坊として使えそうな建物にもあたってみる。

-社寺自体だけでなく、インスタ映えスポットや周辺の観光名所などの資源とも絡めたPRを行いたい。

-社寺や祭りの情報を調査・集約・発信したい。
絵本やマンガなど、より面白く伝える方法も模索したい。

- 高知の「塩の道」と比較するために、熊野古道に再び行ってみたい。また、地元の伝統芸能の価値を改めて知ったので、「やらんといかん!」という気持ちになった。

など、すぐにでも始めたいという勢いと共に発表している参加者の姿が印象的でした。

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※総括
様々な出身地域、またそれぞれの活動領域を活かし、お互いに持っている知識を共有し合いながら、観光振興で悩んでいる参加者にアドバイスしたり、情報を教えたりということが活発に行われていたのが印象的でした。高知県民ですら知らないディープな地域文化なども掘り下げられ、参加者は興味津々といった様子で聞き合っていました。

社寺の情報が見える化していないなどの問題が浮かんできた一方で、見落としていた地域の社寺が持つ観光資源を見つけたという方もいて、自分事にするワークでは前向きな気づき・目標がたくさん飛び出していました。

しゃべりば終了後には早速、参加者同士での勉強会や情報交換会も始まっていて、仲間を作りながら勢いを持って自分の目標に取り組んでいく参加者の姿に、主催側としても気が引き締まる思いでした。

(レポート:陶山 智美)

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