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【ジャーナル】[Part3]こうち100人カイギ vol.11 前泊 雅人さん(交流型フリースペース【土佐のしゃべり場】代表)/松浦 春選さん(FAJ四国サロン(世話人))


2019年1月よりKochi Startup BASEにて始まった「こうち100人カイギ」。
高知の様々な分野で活動するゲストを、毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただいております。全部で100人になったら、終了なこの企画はついに折り返しに入りました。

今回は、2020年1月15日(水)に開催された、vol.11に登壇いただいた5名、1人1 人の話にフォーカスを当てています。

参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。


<こうち100人カイギ vol.10の登壇者>
5名それぞれの話をもっと深く知りたい方は、
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※お名前をクリックすると、その記事に飛べます。



岡林 雅士さん(Part 1掲載)

公文 順子さん(Part 2掲載)
竹内 慈永さん (Part 2掲載)

前泊 雅人さん (Part 3掲載)
松浦 春選さん (Part 3掲載)


4人目の登壇者は、交流型フリースペース【土佐のしゃべり場】代表の前泊 雅人さん。

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1993年徳島生まれ高知育ち。
18歳~19歳にかけてバイクで日本一周をした際、様々な人の価値観や生き方に触れた事がきっかけで、頭のネジが数本飛ぶ。日本一周後、イベント企画等の活動をしている中で出会ったNPO代表の方に影響を受け、地元高知で交流型フリースペースを始める。元、医者に診断されたレベルのコミュ障(SAD)

他人の価値観に触れて

初めに「写真も何もないので、思うことをどんどん話す感じでやっていきます」と告げ、経歴から話し始めました。
前泊さんは、20歳になる前にバイクで日本一周をしました。その旅の中で、いろんな人と出会い、話を聞き、人はそれぞれ考えていることが違うことを知りました。人は皆、自分とは全く違う人生を歩んでいる、というたくさんの異なる価値観に触れ、自分なりに視点や視野が広がった、と当時を振り返ります。その経験をきっかけに、いろんなことに興味を持ち、自ら首を突っ込むように。日本一周を終えた前泊さんは、愛媛で働くことになりましたが、その際に出会ったある場所がとても好きになりました。それは、あるNPOの代表の方がやっていた大学生と社会人を繋ぐカフェのような場所でした。


交流スペースを作ったきっかけ

その場所のコンセプトは、若い人と経験のある社会人が出会って価値観を共有する場所。コンセプト通り、いろんな人がたくさん集まり、良い雰囲気で運営されていましたが、残念ながらそこは閉店してしまいました。
しかし、その場所で繋がった人とはいまだに連絡を取り合うことも多く、場所が無くなっても関係は縁が切れない限り続いていく、ということを実感しました。
この経験から「自分も高知でやりたい」、そう思った前泊さんは、高知に帰省し、現在運営している『土佐のしゃべり場』を始めました。このお店は、愛媛で出会った場所のようにターゲットを決めている訳ではなく、いろんな人が集まって価値観の共有ができれば、と考えています。
高知にもいろんな人がたくさんいるので、そういう人たちが集まって、一緒に盛り上がっていけたら、と話しました。

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自分の幸せを第一に

自身の経歴を話した後、自身の人生観や思うことについて話し始めました。「人と人との交流の場を作って盛り上げたい」と思い、『土佐のしゃべり場』を始めましたが、自分だけの思いを話すと、「僕は他人のことは考えていません」という言葉が続きました。その背景には、いろんな人と出会って、話を聞く上でよく耳にした、人間関係の煩わしさが関係しています。
ですが、なぜ正反対となるようなことをやっているかというと、その行為は自分の人生の目標の一つだから、と言いました。自分が幸せになるにはどうしたらいいのか、このたった一つの問いだけを考えて、前泊さんは行動するようにしています。人の為に何かをすること、それで人が喜んでくれるのは、自分が気持ちいいこと。そう感じている感覚を、常に大切にしています。

場を作って感じたこと

人は皆、それぞれ活動していますが、目標は自分の幸せに繋がっていると言います。前泊さん自身の人生のテーマは、「感動を追い求めること」。
そのために、路上で音楽活動をしたり、パフォーマンスをしたりしています。最近は、人を応援するラップを即興で歌い、それに喜んでくれる人もいるそうです。人と話して楽しいと感じるのも、美味しいお茶を飲んで美味しいと思うのも、感動の一つ。路上で今行なっているパフォーマンスも感動を追い求めている行動の一つです。
その感動を大小関係なく、誰よりも味わいたい、そう言いました。自分の思い通りに行動して、間違ったら修正する。その行動一つ一つは、単純に自分が好きだからやっていることだ、と言葉は続きました。
昨年始めた『土佐のしゃべり場』にも、少しずつ人が来るようになり、楽しんでくれている人がいる、と実感する日々。「この場所があってよかった」という言葉ももらい、家でニヤニヤしている、と嬉しそうに心境を話しました。

追い求めるもの

「楽しいを共有できたら、一番幸せを感じる。」今、前泊さんが一番感動する瞬間は、誰かと何かを成し遂げることや、誰かと何かをしているときです。楽しい思い出は毎日あるけれど、時間がたったら忘れてしまう。
存在そのものを忘れる出来事もありますが、誰かと何かをやった時の出来事は、ぐっと心の中で印象に残る。それを求めていきたいから、こういうことをやっている、と自分の心情を表しました。
また、自分の中の優先順位を決めていて、その中で「若いときしかボクシングはできない、負けたら終わりにしよう」と思っていました。少しの間、ボクシングをやっていたものの、去年兵庫で負けたと笑う前泊さん。その優先順位を守り、ボクシングで負けたから次はこういう場を作ると決めていた、と『土佐のしゃべり場』ができた経緯を最後に話してくれました。

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5人目の登壇者は、FAJ四国サロン(世話人)の松浦 春選さん。

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高知生まれの高知育ち。
大学時代にWWWが生まれ、研究室のWebサーバー構築からインターネットとの関わりが始まる。地元IT企業に就職後はプロバイダ運営とシステム開発に従事し、荒れた現場で鬱も経験、寛解後は仲間とのものづくりを楽しめる自分になるため、アジャイル、ファシリテーション、パブリッククラウドなど多方面のコミュニティに参画し「外のモノサシ」を拡張中。

ITエンジニアがコミュニケーションスキルを磨くわけ

25年ほどITエンジニアとして活動している松浦さん。プログラマーとしてだけではなく、ネットワークやIT講習会の講師としても活躍しています。
昨年、ある企業が男子高校生を対象に行ったアンケートで、なりたい職業としてトップに挙がったのは『ITエンジニア』。世間一般のITエンジニア像というのは、エアコンの効いた部屋でパソコンを前に座り、キーボードを打ったら画面から音がして、1万ドルゲット!の様なイメージを持たれているのではないか、と笑いながら言いました。
松浦さんは、1980年からパソコンを触っていますが、ここ10年ほどで非常にスペックが進化していると実感しています。初めて触ったパソコンは当時30万円くらいで購入。対して、この日自身の腕につけていたウェアラブル端末は、3,000円程度ですが、当時使っていたパソコンに比べると100倍以上の性能になっています。
ITの進化が劇的に変わっている今、求められるITエンジニア像にも変化が起こっている。よって、コミュニケーションスキルをアップしようと思った、と話を続けます。

時代にあったエンジニア像を求めて

昔はコンピュータのソフトを作ると言ったら、必ず設計書がおりてきて、それに対して一人で黙々と作業をしていました。「短期間で、安く、バグなく、確実に」。この工程が滞りなく出来ていると『イケてるエンジニア』と言われたそうです。
しかし、ITのスペックが急激に進化したため、昔。人員をかけて行っていた大変な仕事は圧縮されることに。簡単に多くことができるようになったので、自身が働きだした頃に比べると、なんでもできるようになったと、現在の状況を話しました。一方、便利になった反面、「何がどうできるかわからない」と「答え」を出せないお客さんも増えました。
利害関係者を巻き込みながら、一緒に相談して、作って、確かめる。お客さんと相談しながら、かつプログラムがかける、それが今の時代の『イケてるエンジニア』像ではないかと考えています。


昭和と令和、考え方の違い

一緒に考えて、それをきちんと相手に伝える能力がないと、ITエンジニアとして生き残っていけない。
時代の変化とともに、そう感じた松浦さんは「コミュニケーションのスキルアップをしよう」と思うようになりました。
しかし、自分を含め昭和を生きた世代は、小学校で協働のために「伝える」という手段を一切学んでいません。松浦さんの考える昭和の「伝える」というイメージは、答えがすでにあって、先生が生徒に教えるという形。その中では、生徒間での相談もカンニングになるので駄目、先生に対して反論するのも駄目、ただ従順に一人作業をするものでした。これは、社会人になって一番初めに働いたスタイルと同じだと言います。
片や、松浦さんの思う令和の「伝える」というイメージは、同じ問いを持った人同士が、お互いじっくりと対話を重ね、ともに作業するというもの。チーム作業も同じで、お互いに目的に対して得意なものを持ち寄り、やりとりをします。
目的という狼煙を上げていると、また違う人が来て、チームが豊かになっていく。「みんなで得意なことを出し合ってやるというスタイルの方が、断然楽しい、だからコミュニケーションスキルを蓄えていきたい」と言いました。

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自分の得意分野で高知を盛り上げる

コミュニケーションスキルは、誰しも持っているわけではないので、練習が必要になってきます。しかし、練習をするなかで昭和の時代の人と、令和の時代の人とでは「伝える」方法が違うため、噛み合わないことに気づきました。それについて、どちらが悪いわけでもなく、どちらにも利点がある、と松浦さんは考えています。
昭和の「伝える」方法は、答えがある場合には速く効率よく進み、令和の「伝える」方法は、その物事を大事に進めていくことが出来ますが、効率は悪くなります。どちらが悪いわけでもなく、状況によって使い分けることが大事ではないかと、言いました。
また、最近女子高生に教えてもらった新しい言葉についても話してくれました。それは『大人リテラシー』という言葉。その言葉を松浦さんなりに解釈すると、令和のコミュニケーションをする人たちは、どんどん人と繋がっていこうとする反面、昭和のコミュニケーションをする人たちは、人を遠ざけようとしていることを表しているのではないだろうか、と感じています。

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仲間と楽しめる自分でありたい

最後は、自身の参加しているコミュニティについて。
コミュニケーションの練習をする場として使ってほしい『FAJ四国サロン』と、実際にそのスキルを使いたい人には、『関心軸コミュニティ』があると話します。コミュニケーションには色々な方法や型がありますが、このコミュニティは、それについて学ぶだけでなく実際に体感することが出来、チャレンジすることが出来る場です。
松浦さんは『FAJ四国サロン』の世話人をしていますが、一方的に教え・教わるのではなく、自分で試して学べる場にしたい、と思っています。加えて松浦さん自身、ものであったり、体験であったり、場であったり、「誰かと何か作り上げること」に重きを置いています。
「誰かと〇〇作りを楽しめる人でありたい」そう笑顔で話しました。


【総括】

自分の感覚を頼りに、自分が幸せになる為、その時必要なものを選択し、行動している前泊さん。世間体であったり、しがらみであったり、生きづらい今だからこそ、自身の思いのままに行動している前泊さんの姿に、自分はどうだろうと考えるきっかけを与えてもらったような気がします。
また、昭和と令和のコミュニケーションの違いを分析し、面白おかしく話してくれた松浦さんの話にもとても響くものがありました。
これからの時代を生きるために、違った考えを持つもの同士が向き合って話し、理解し合うことは重要なんの職業でも、どんな立場でも必要になってくるんだろうな、と考えさせられたように思います。

(レポート:畠中 詩織)

100人カイギとは 
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の"身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。

問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒781-0084 高知県高知市南御座6-10 高知 蔦屋書店3F
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/

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