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【レポート】こうちマイプロジェクト道場2期#2 ~自分自身の問題を掘り下げる~


連続講座のこうちマイプロジェクト道場2期。
2回目では、『後継ぎとしての覚悟一家族の絆を生む家づくりを目指して』をテーマに有限会社溝渕建設代表取締役 溝渕加寿彦さんにお話いただきました。


2019年11月26日、「こうちマイプロジェクト道場2期」がKochi Startup BASE®︎(以下KSB)にて開催されました。このイベントは、一人ひとりが自分のライフヒストリーと紐づいた自分自身が本当にやりたいこと(will)に向き合い、仲間と共にその第一歩を踏み出し、そこでの気づきを対話を通じて深め、さらにアクションを重ねながら、起業や事業創造、プロジェクト実践を進めていく連続講座です。

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<ゲスト講師>溝渕 加寿彦 氏(有限会社溝渕建設 代表取締役)

高校生の頃、大工になることを決心。高校卒業後、すぐにお父さんに弟子入り。現在はお父さんが50年くらい前に始めた会社を引継ぎ、新築、増改築、リフォーム、耐震工事、設計などをおこなっている。ハウスメーカーの家が多くなってきているなか、木造建築での期の良さを活かす見せ方や木の強さを最大限に活かす設計にこだわり、高知の風土にあった家造りに取り組む。建築年数が古くなっても、家族の絆や思い、愛着のわく家づくりを目指している。また今後、高知のDIY人口を増やす活動を行っていきたいと考えている。


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チェックイン
今回は男性1名、女性3名の計6名の参加。まず、モデレータより本日の講座について説明がありその後、それぞれ簡単な自己紹介を行いました。
チェックイン早々、ゲスト講師の気さくな人柄が全体に伝わり、場は和やかな雰囲気で進みました。

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溝渕氏のキーノート
『後継ぎとしての覚悟一家族の絆を生む家づくりを目指して』
チェックインが終わり、まず初めに溝渕さんの自己紹介からキーノートが始まりました。自身の紹介では、身近で親しみやすいエピソードが多く、笑い声が絶えませんでした。

その後、大工になったきっかけ、今までの取り組みや自身の想い、これからやっていきたいことなどを話してくれました。

大工の道を志すきっかけになったのは、若い頃、夜遅く帰宅した際に父親が夜遅くまで仕事をしている姿。その姿を見て「すごいやん。親父」と感じました。
子どもの頃からスポーツも得意で、何でもできると自負していた溝渕さんですが、大工仕事だけは一筋縄でいきませんでした。当時、父親から教わる伝統工法に魅力を感じられなかったこともあり、壁にぶつかる日々。もともと父親との折り合いが悪かったこともあり、半ば喧嘩別れのような形で一度、大工の道を挫折する形に。

その後、スノーボードやウェイクボードでプロを目指しながら遊んで暮らそうかと思っていたころ、仲間に仕事を紹介されます。それが大工の仕事でした。悩んだ末に、遊ぶにもお金がいるから、という理由で大工の仕事を引き受けることに。その職場では、メインの仕事を任されるまでになり、6年ほど続けた、と話します。
しかし、その場所で仕事をする中でも、違和感を感じるようになります。
「家は高価なもので大事に使い、後世に遺すもの。壊れたら信頼できる大工さんに直してもらうもの。」という溝渕さんの想いと、世間のニーズとの間にはズレがありました。改めて、父親から教わったことや伝統工法がどんなに素晴らしいことだったか実感することになります。そして、その想いから父親の営む『溝渕建設』に戻る決意をしました。

ちょうどその頃、バブルが崩壊し世の中の移り変わりも激しくなっていました。周りで働く活きの良かった「おんちゃん職人」たちも元気がなくなり、弱音を吐くように。そんな姿を見た溝渕さんは「親父がやっていたことがかっこいいと思って帰ってきたのに。こりゃいかん。」と、弱気になっていたおんちゃん職人たちを「職人やったらがははと笑え。胸はっていこう。」と励ましました。
そこから大工という仕事の認知度やポジション、後継者不足、など様々な問題と向き合い、その都度諦めずアクションを起こしていきました。
地域に潜り込み、若手の職人さんたちと地域のお年寄りから子どもまでが職人さんを身近に感じ、楽しめるイベントを企画した結果、メディアにも取り上げられ大成功。認知度があがり、さらに依頼が増えました。

最後に「後継ぎとしての覚悟というのは今まで職人が磨き上げた技の跡をたどり、後世に継承していくメッセンジャーの役割。一家族の絆を生む家づくりを目指してというのは自分たちの住む家を自分たちでリノベーションしていく。それで暮らしに豊かさを生み出す家。そしてそこにサポーターとしているのが俺の棟梁としての在り方。」と自身の話を締めくくりました。

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気づきの共有/意見交換
キーノートのあとは、参加者で気づきの共有をしました。溝渕氏のキーノートを聞いて自分が響いたことを切り口に意見交換が行われました。

今回の参加者は学生・医療関係者・設計士など多種多様な方々。様々な切り口の視点でお話がされ、それを聞きながら他の参加者からは感嘆の声があがりました。

土佐弁で終始お話されるスタイルはまるで「近所のお兄さん」のよう。時折、見える職人さんの顔とのギャップに参加者も魅了されていました。

また講師の地域での取り組みなどを動画で紹介していただき「おもしろそう」「やってみたい」と前向きな意見が聞かれました。

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チェックアウト
チェックアウトでは、各自が「これから挑戦したいこと」について発表していきました。

「モノづくり」に興味がある参加者が多く、様々なアイディアが出ていました。またそれぞれのアイディアに共感が生まれ、新たなチャレンジが誕生しそうな予感も。最後までお話は尽きず、終了後も質問が飛び交っていました。



総括
今回は、私自身も興味がある分野「モノづくり」に携わっている方のお話。
日頃から「モノを作る」方をとても尊敬しているのですが、今回の講座のようにお人柄を知ることでその気持ちがもっと深いものになるのだな、と感じました。
土佐弁で終始お話されるスタイルはまるで「近所のお兄さん」のよう。時折、見える職人さんの顔とのギャップに参加者も魅了されていました。
「職人さん」の哲学や美学にふれ、とても貴重な講座となったのではないかと思います。



(レポート:時久あすか )


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