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【ジャーナル】こうちマイプロジェクト道場 2期#3~自分事で取り組むことのできる社会課題を見つけ出す~


「こうちマイプロジェクト道場」は、一人ひとりが自分のライフヒストリーと紐づいた自分自身が本当にやりたいこと(will)に向き合い、仲間と共にその第一歩を踏み出し、そこでの気づきを対話を通じて深め、さらにアクションを重ねながら、起業や事業創造、プロジェクト実践を進めていく連続講座です。

講座では、自分らしい生き方で全国各地で挑戦を続けているゲストを迎え、彼らのストーリーを共有しながら、参加者一人ひとりの想いを掘り起こしていきました。


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<講師>大西 正泰 氏(一般社団法人ソシオデザイン代表)

1970年徳島県生まれ。野球で甲子園を沸かした池田高校のある池田町出身。教育学及び経営学修士。小中高大学の教員、製薬会社役員、コンサルタント、シェアカフェ、シェアバー、ゲストハウスと異なる職種を経験。幸福度数の高い街づくりをテーマに、ポスト資本主義での地域再生をライフワークとしている。現在は葉っぱビジネスやゼロ・ウェイスト運動で有名な徳島県上勝町をフィールドにし、2011年以降、40を超える事業者を創出している起業風土をベースにした、リノベ・サードプレイス・起業家育成の3点セットでの街づくり手法を全国で講演している。
2018年中小企業庁「創業機運醸成賞」受賞。香川大学非常勤講師など。


地方創生に対する“もやもや”を語ろう

葉っぱビジネスやゼロ・ウェイスト運動など、これまでにない地域づくりで全国から注目されている、徳島県上勝町。その小さなまちを拠点に、地域再生コンサルタントとして活動しておられるのが、今回の講師・大西正泰さんです。

現在に至るまで様々な職種を経て、田舎と都会両方の生活も味わったという、経験・実績ともに豊富な大西さんですが、「僕に興味を持たなくてもいいんですよ」と気さくに笑いかけます。

今回はご自身のライフヒストリーや成功体験についてではなく、大西さんがまちづくりや地方創生の仕事に携わる中で感じている“もやもや”(現状に対する疑問・危惧)をいくつか挙げ、参加者との意見交換を交えながら地域課題を考えてみる、という形式で進められました。


人口が増えないのに、何の競争をしているの?

大西さんがまず語りだしたのは、今流行りの2拠点生活について。
大西さん自身も現在、上勝町(田舎)と徳島市(地方の街)を行き来する2拠点生活を送っており、さらに東京などの都会にもよく行かれると話します。

しかし、いろいろなまちで生活をして感じるのは、「2拠点生活も飽きる」ということ。田舎と都会を行き来する“根無し草”だと、地域に帰ってきたときのホーム感が薄れるといい、やはり一つの地域に腰を据えて取り組みをしたほうがシンプルかも、と言葉が続きました。

また、これに関連して大西さんが感じている不安が、地域活性化のカギとされる“関係人口の呼び込み”です。「外からいかに人を呼び込むか」に躍起になっている各地域の現状を見て、「地方が商品化している」と語ります。
日本全体が人口減少している中で人の取り合いをしても、競争市場になり、地域同士が損し合うだけだ、と懸念しています。


そこまでして、地域を残す価値はあるのか?

さらに、同じくどこの地域も懸命に取り組んでいる移住促進についても、大西さんは疑問を呈します。
それは、移住者がたくさん増え、元からいる住民の割合がだんだん少なくなっても、それは果たして元の地域と同じと言えるのか、ということです。

関係人口や移住が進んだ先に、どんな地域の未来が待っているのか…。
それを良く考えたり、地域住民間で話し合ったりしないまま、地方創生が進められているという“もやもや”を大西さんはずっと抱えている、と打ち明けてくれました。

都会側の視点に立っても、地方創生など理解に苦しむという人がいてもおかしくありません。現状として、自分たちの納めた税金を遣って、1000人ちょっとの小さな町に、数十億円という補助金をつぎ込んで何とか維持しているような状態であり、そうして努力したところで、将来的にはその町はなくなってしまう可能性が高いのです。

「地域の人の愛着」や「文化の多様性を残す」といった“それっぽい理屈”を言わなければ、地方創生の取り組みは簡単に論破されてしまうといいます。「そこまでして地域を残す価値はどこにあるのか」を考えていかなければならないということを、大西さんは参加者に説いていました。

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地方創生とは異なる地域の未来もある

ここで大きく視点を変え、「地方創生をあえて無理にしない」という未来を思い描くことに。
「地域は元気になる」というポジティブな未来しか思い描いてはいけない、という風潮が至る所で感じられますが、日本全体の人口が減っているのならすべてのまちを残すのが難しいのが現実。
それなら、地域の「良い閉じ方」を考えたほうがいいのではないか、という発想です。

そのように、そっと閉じた地域が日本に出来始める近未来を仮定し、「人口0人の“もと集落”があったら、あなたなら何をしますか?」ということも全員で考えました。
アメリカでは、企業が経営する自治体がすでにあるそうで、日本でも古くから宗教という共通の軸で結束し形成された都市はたくさんあるという話が挙がりました。

昔人々が必死に奪い合っていた土地や資源が、むしろあり余っている今の日本。一つの村をまるまる買い取って運営し、事業や研究村にすることも不可能ではないという驚くべき事実が見えてきました。
地域をあえて活性化しない未来、国や地方自治体という主体にとらわれずうまく“使っていく”未来というものもあることを教えてくれました。


人口減でも楽しく生きられる地域・日本を目指して

自分の地域とは何か。なぜ地域を残していくのか。
地域を残すために頑張った先には、どんな未来が待っているのか。
日本が今まさに抱えている大きな課題を、様々な角度から考える機会を作ってくださった大西さん。

自身もまだ“もやもや”しながら日々地域に向き合っていますが、最後にこんなことを語ってくれました。
「人口8,000万人になっても楽しく生きられる日本、800人でも楽しく生きられる田舎をそれぞれデザインしていかなければならない。」

人口減少が免れられない未来、先行きを予想できない未来を生きていく私たちですが、周りがどうなっても「自分は」どう楽しんで生きていくのか、その生き方をするために周りの環境をどう捉え、再構築していくのか、という問いかけを参加者の胸に刻んでくださいました。

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フリートーク
キーノートの後は、大西さんの話を聞いて感じたことや、参加者が感じている“もやもや”についてなど、自由に共有し全員で考えました。
参加者の多くが、まさに地域活性化に取り組もうとしている方々だったので、大西さんの話に衝撃を受けたり、自分のしていることを考え直すきっかけになっていたりしたようでした。

「これからどんな地域が生き残っていくだろう」という問いに対しては、「地域に残る自然や文化、芸術に“遊び”の題材としての価値を持たせる」「逆に、山奥の誰もいなくなった集落を0から創り直して、すべて最先端技術で運営する新しいまちにする」など斬新な考えが飛び出していました。

対話の中で「この先地域はどう生き残り、私たちはどう生きていきたいのか」を、様々な角度からじっくりと考える時間になりました。

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チェックアウト
最後に、参加者一人一人が今日感じたこと・考えたことを発表しました。「地域を存続させていくことの限界を感じつつも、頑張ってしまいたくなる」「自分は“地域の明るい未来を作らねば”という責任感を勝手に背負い込みすぎていたかもしれない」といった感想が出ていました。

大西さんのお話を受けて、地域や自分の活動に対する新たな目線での課題意識が生まれ、悩んだ参加者も多かったようですが、一人一人が自分なりの考えを伝えていた姿が印象的でした。

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総括
自身の成功体験ではなく、活動している中で感じた地域活性化に対する“もやもや”を取り上げた大西さんのお話は、見て見ぬふりをしてしまいがちな地域の本質的な課題をするどく捉えており、地域の将来や自分の生き方について深く考えさせられる内容でした。
その後のフリートークでは、参加者が考えたことや参加者自身の“もやもや”についても共有する時間があり、対話を通して地域の課題がより具体的に見えてきました。

「地域に対して何かしたい」という想いを持つ参加者が多い本講座において、根本的な地域課題を直視せざるを得なかった今回は多少頭を痛める内容だったかもしれませんが、悩みながらも自分なりの地域でのありかたを模索している参加者の姿を見て、課題や自分自身を見つめ直すよいきっかけとなったことがわかりました。
今回考えた内容をプロジェクトに反映させていってもらえたらと思います。


(レポート:陶山智美)


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高知 蔦屋書店内に開設された高知県初の共創型スタートアップ支援施設です。新規事業創造セミナーや起業家育成プログラムのほか、ワークショップの開催、貸しスペースの提供等を行っています。また自分らしい生き方や働き方を実現できるきっかけづくりを目指した様々なプロジェクトを展開しています。

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