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【ジャーナル】こうちアントレプレナーナイト 連続セミナー #5-バリキャリ女子を救う!高知の生産者と都会を繋ぐ、食ビジネスへの挑戦-


「こうちアントレプレナーナイト」は、高知県内で活躍する先輩起業家を招き、起業までの道のりや苦労話、起業するにあたっての心得など、実体験をもとに紹介してもらう、対話形式のセミナーです。
また、参加者が考えているアイデアがある場合は発表し、ゲストと参加者が一緒に、そのアイデアを磨き上げる参加型のプログラムとしても機能させていきます。

第5回目の講師は、浅野聡子さん(株式会社StoryCrew 代表取締役)。
『バリキャリ女子を救う!高知の生産者と都会を繋ぐ、食ビジネスへの挑戦』と題して、自身の原体験を基に起業を決意し、「私だからできること」で新たなビジネスを作りあげた、浅野さんの想いを聞かせていただきました。

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浅野聡子さん(株式会社StoryCrew 代表取締役)

北海道釧路市出身、日本縦断人生を爆走中のローカルキャリア女子。東京で自動車業界やブライダル業界向けのマーケティング、事業企画に携わったのち、夫の故郷である高知県へ移住。高知県地産外商公社に入社し、高知県食材の県外商流構築に携わる中でローカルの食の素晴らしさに感銘を受ける。
2016年3月に株式会社StoryCrew(ストーリークルー)を設立し、自分流の外商とローカルライフの実現も目指す。農産品・加工食品のリブランティング、営業販路戦略設計、カフェ運営プロデュース等を行い、2018年5月にバリキャリ向けのフードブランド「イナカデリコ」をリリース。都内オフィス向けに高知県食材を活用したサラダ、サンドイッチ、デリカッセンなどを展開。年間約20万食を販売する。


よそ者の自分ができること

北海道釧路市出身、社会人になるタイミングで上京した浅野さん。
中古車サービスと結婚式場のマーケティング事業を担当していました。価格訴求ではなく、価値訴求で購買促進をする仕事で、共通項は、一生に何回かしかしない、高額な買い物。
その後、東京で出会った現在の旦那さんが、Uターンするタイミングで仕事を辞めて高知に移住しました。

友達も仕事も車もない、ないものばかりで心細い高知での生活。よそ者の自分が高知にできることは何だろう、と思っていた矢先、地産外商公社の高知事務所のスタッフとして働くことに。
どうやったら、外から見た高知の付加価値を高く伝えていけるか。その時、今までのキャリアと高知でできることが重なり、ここだったら役に立てるかもしれない、と思ったそうです。
それから1年間、西、東、北へ、とありとあらゆる地域へ奔走しました。その中で痛感したことは、食・高知・生産者の課題・外商の難しさでした。こうした経験も影響し、自分なりに民間でやりたい、と思い退職し、2016年3月に起業。

高知県内のショップやカフェのプロデュース、農家さんの商品のリブランディングなど創業してから1年半で携わった事業は7つほど。地産外商と言っても、手法は様々。
色んな形の外商がある中で「自分の人生にとって、自分の大事な時間を使うべき事業はどれが一番なのか」と相当悩んだ、と振り返りました。


原体験がヒントになる

インターネットサイトの作成、卸会社、加工品の生産と販売、マルシェへの参加、シェフへ飛び込み営業など、「やってみないと分からない」と、様々なことに時間を費やしましたが、心底、心躍ることはありませんでした。
お金にならなかったり、なってもしっくりこなかったり、競合がいたり、自分じゃなくても誰かがやっていたり、そんな状況を目の当たりにして、心に嘘が付けなくなってもがく日々。
最終的に行きついたのが、ご自身の原体験でした。

それは、東京で働いていた頃のこと。
高層ビルでの仕事は、入り口から自分の席にたどり着くまで10分もかかりました。そんな状態なので、ご飯を食べに行こうとしても、エレベーターに乗ろうとしても行列は避けられません。
多忙な中、休み時間を30分取れれば良い方。出勤前にその日3食のご飯、飲み物、間食を2,000円ほど買い込むのが当たり前の生活を送っていました。

高知に来たときに、家の近くのスーパーに行くと、その日獲れた鮮度の良い素材が並んでいることに衝撃を受けます。
「私、8年間、何を食べてきたんだろう」初めて自分自身のこれまでを振り返り、恥ずかしい食生活をしていたことに気付きました。
「これって、私にしかできない何かのヒントかも」と、そのことが心に引っ掛かっていたと話します。

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現実は甘くない

北海道から上京して、がむしゃらに東京で働いて、縁があって高知に来て素晴らしい食材と出会って、生産者の課題や困りごとをちょっとだけ改善できそうな経験があって、と今までのことを思い返しました。

もしかしたら、このために高知に来たんじゃないか、と思うほどだったと当時の心情を語ります。
「地方から働く女性を元気にする」これが、自分の地産外商のスタイルじゃないか、と1年半もがき、浅野さんがたどり着いた答え。そして2018年の5月に『イナカデリコ』を立ち上げることになりました。

身体に良いものを出来るだけ高知の産品を使いながら、オフィスで手軽に食べられる状態に加工して販売するということ。『イナカデリコ』は、まさに過去の浅野さんが欲しかったものです。
最初のビジネスモデルは、無人冷蔵庫の良心市スタイル。
生産者から食材を仕入れ、東京の自社キッチンで作り、配達員が企業に配送することを構想していました。
しかし、実際にやってみると、売り上げは上がらないどころかロスが出てしまい、月間の赤字は140万円に。さらに雇用も安定しない、という想定外のことばかり。仮説で立てた、購買の頻度も価格帯も、これまでの経験値はあてになりませんでした。
そして健康志向と言っていても、高カロリーで糖質や脂質の高いものを食べる、という人の志向と行動の間に大きな溝があることも知りました。

無人販売は、コストが下げられる一方で、お客さんの顔が見えないが故に、いつ買ってくれているのか、翌日まで何が売れているのかが分からず、ニーズが見えないことが欠点でした。
冷蔵庫50台と月間100万円を超える赤字が頭をよぎり、この時期は夜も寝られなかったそうです。


苦渋の決断

サービスを始めて3か月後、事業方針を変えることにしました。
それまでは女性をターゲットにした、片手で食べられておしゃれなものを目指して作っていましたが、世の中のニーズに合わせ、ご飯ものを作ることにしました。
メニューを変えることに合わせて、調理器具も設備も一新。人材が安定しないので、誰が調理しても同じ味に仕上がるように自動調理へ切り替えました。

その中で「まだ心に引っ掛かっている苦渋の決断」も。それは、高知県産品のものを2割にしたこと。
赤字の大きな原因は、高知からの物流費。
その額は利益の10%にも及びます。地産外商をやりたい、とは言え、ロマンよりもまずは利益を生まない限りは、従業員に給料を支払えない上に、自分の出費も止まらない。
とは言え、このスタイルは今でもモヤモヤしていると話してくれました。

その半年後、テナント販売へ切り替え、現在は都内のビルに2店舗出店するまで成長。無人冷蔵庫で収益が出るイメージが無くなったので、全て売り出して営業をかけました。
テナントでは対面販売をしているので、お客さんの動きも見ることができ、とても大事なことだ、と感じています。オフィスは、いい意味でも悪い意味でも、お客さんを選べません。外からのお客さんがいないからこそ、中で誰を掴むか想定しなければならないのです。
そのため、8か月目には自社商品だけでなく、他社の色々なお弁当も仕入れて、売り始めました。


現実とのギャップを知る

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高知 蔦屋書店内に開設された高知県初の共創型スタートアップ支援施設です。新規事業創造セミナーや起業家育成プログラムのほか、ワークショップの開催、貸しスペースの提供等を行っています。また自分らしい生き方や働き方を実現できるきっかけづくりを目指した様々なプロジェクトを展開しています。