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【レポート】こうち観光実践しゃべりば#11 ~観光×農業で、農村に光を! アグリツーリズムについて語り合おう~


第11回目のテーマ「農業・農村」

『こうち観光実践しゃべりば』は、観光に対する自身の活動や想いを語り合い、自分たちで気づき、認め合い、応援することで、高知の観光に緩やかなつながりを生み出す場です
講師の話を聞くのとは異なり、参加者同士で話し、見つめなおすことで、明日から使える、より実践的な学びを提供します。

今回のテーマは、農業に関係する施設・サービスを観光資源とする「アグリツーリズム」。農業や農村というと、時代遅れで衰退していっているイメージがあるかもしれません。しかし、観光という切り口で見ると、農村ならではの自然や普段味わうことのできない農業体験、またそこで生きる人々の暮らし、地域に根付く文化など、外から来た人には感動する(=観光商品となりうる)ポイントがたくさんあるのです。体験・交流型観光が注目されている今、小さな農村にもまだまだ大きなチャンスがあるといえます。それを踏まえて今回は、高知で農業・農村と観光とのコラボレーションを進めるために、自分たちにできることは何かを考え、語り合いました。

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なぜ今、アグリツーリズムなのか?
まずはアグリツーリズムについて簡単に概要説明を受け、高知県で取り組む意義について理解しました。
近年、日本ではインバウンド(訪日外国人旅行者)の増加が続いており、日本の観光を支える欠かせない存在となっています。しかし一方で、旅行中の消費額がこのごろ減少傾向にあることも分かってきています。それは、何度も日本を訪れるリピート客が増えてきたことで、東京・京都・大阪などの主要な観光地は周り終えてしまい、お金を落としにくくなっているため、また中国人の「爆買い」に見られるような日本製物品の購入も落ち着いてきているからです。
このような中、外国人が足を延ばし始めているのが、高知のような地方のまちです。『モノ消費』から『コト消費』へとトレンドが移る中で、地方ならではの体験・交流を求めてやってくる観光客の期待にどう応えていくのか?その答えの一つが、それぞれのまちに昔から根付いている農業や、そこから生み出される食、風景、文化、生活の存在する農村の魅力を、観光資源として提供していくということです。
参加者は説明の中で、「旅行者は何を求めて地方の農村に来るのだろうか」といったことを自分なりに考えながら聞いていました。

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観光客は何を求めて地方へ?
インプットの後、参加者同士で「都会の人や外国人は、何を求めて地方へ来るのだろう?」という疑問について議論しました。
自身の外国人観光客との交流経験から、「地域に自然に溶け込んで交流したがっている」という意見や、親の視点から「子どもを田舎に連れていき、日常ではできない土に触れる体験をさせたいのでは」という意見が出ていました。
また、「都会にはないゆっくりと流れる時間と選択肢の少なさを味わいたい」「別の人生を疑似体験できる」「原体験に出会ったり、ルーツを感じたりできる」といった意見も出ていました。
普段は地方に住んでいる側の参加者の方々ですが、観光客目線になって農村の価値を見直すことが出来ました。それとともに、農村が今提供しているサービスと、観光客のニーズとの間にギャップがないかどうかについても再検討していました。

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他地域から学び、高知を考える
後半のワークでは、先進地域の事例(大分県、徳島県、イタリア・トスカーナ州など)について勉強しながら、どういったところに成功のポイントがあるのかを考察しました。単に農村の素材だけをそのまま提供するのではなく、ニーズに当てはまるようデザインしたり、伝統文化に革新性を加えたりし、農業・農村の魅力をきちんと資源化していることが分かりました。特に、アグリツーリズムの先進地域として世界的に有名なトスカーナ州では、日本のように副業的ではなく、きちんと経営やサービスが考え抜かれている農家民泊や農家レストランを営む人が多いということが分かり、その姿勢に学んでいかねばと確認し合いました。
その後、高知県でできるアグリツーリズムについて議論しました。
「整備されたきれいな山と荒れている山を見比べてもらい、課題先進県として学びを提供するツーリズム」「あえて何もプログラムを提供せず、何もしない時間を自由に過ごしてもらうツーリズム」「美しい高知の景観を見せながら食事ができる農家レストラン」など、様々なアイデアが挙がり、場が盛り上がりました。
一方で、「そういったことに乗り気になる農家は少ないのでは」という、現場を知るからこその現実的な意見も挙がり、ビジネスの核となる資源はたくさんあっても、それをやる人がまだまだ高知に集積していないという課題も浮かび上がりました。


自分にできることを見つけよう
最後に、参加者それぞれが自分にできることを考え、共有しました。
「農家は収穫シーズンに特に人手が欲しいため、援農の仕組みづくりをしたい」といった農家の立場からの目標が挙がる一方で、「海外にいた経験を活かし、接客英語を人に教えたり英語の観光タクシーをやったりしたい」「情報通信に関わる職業を活かして、PRや観光情報の発信をしていきたい」といった、自分らしさを活かす目標も出てきて、しゃべりばは各方面の知恵や経験が結集している場なのだと、心強い印象を受けました。
また、実際に今、海外からの旅行者に向けたツアーを企画している参加者もいるので、今回の対話で得られた気づきをもとに、高知ならではの良さを魅せる企画にしていってもらえたらと思います。
また、「アクセスの悪さを言い訳にせず、やっていかねばと思った」「ニーズをしっかり検証することを改めて意識した」といった前向きな気づきや、「みんなで集まって一緒に何かをするのは楽しく、ワクワクする。来てよかった」「今後も多様な人と意見を交わしたい」といったピアな場で意見交換することの価値を感じたという感想が多く、多様な人が集まって議論することの面白さを味わっていただけたと思います。


※総括
今回も、対話の中で様々な意見が出てきて、高知県の観光振興・まちづくりに対する参加者の意欲の高さを感じました。皆さんが高知県の農村の持つ良さに気付いているようで、いろいろなアイデアや戦略が挙がったので、それをどうデザインし提供していくかをさらに深掘りする場も、今後また設けたいと思いました。
また、今回初参加の方の持っていたアイデアと、常連メンバーのやりたいこととのコラボレーションが早速実現しそうになっていました。しゃべりばを通していろいろな企画が生まれ、現実のものになっていくのがとても楽しみです。



(レポート:陶山智美 )

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