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【レポート】こうち100人カイギvol.9 ~NPOで働く方々~


地域で働く100人をきっかけに、まちの在り方や価値を再発見し、ゆるく人を繋げる「100人カイギ」がKochi Startup BASEを拠点として2019年1月よりスタートしています。ルールは1つ。「ゲストが100名に達したら解散する」。高知で活躍するゲストを毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただきます。

今回は、2019年10月9日に開催されたこうち100人カイギvol.9の様子をレポートします。

高知県内外、多様な分野で活動する5名の方々をお呼びし、それぞれが自分自身の生き方や働き方について話題提供を行い、参加者とともにネットワーキングを行いました。

各者各様の想い


登壇者1

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市野 和美さん(NPO法人 Global Education Lab 高知 代表理事)
鳥取県生まれ、高知育ち。
フィットネスインストラクターを高知・関西で30年以上、4月までヨガインストラクターとして活動。8年前4歳の息子が英語に興味を持ったのをきっかけに英語子育てサークルを結成。facebook・LINEグループには170名が登録中。3年前から子どものための英会話教室、昨年9月より一緒にイベントをした先生達と一緒に「Global Education Lab 高知」を設立。「ローカルからグローバルへ。子ども達に世界に羽ばたく力を。」を目標にNPO法人として活動中。実は英語は未だに苦手。

1人目の登壇者は『Global Education Lab 高知(以下GEL)』代表の市野和美さん。実は英語はまだ苦手という市野さん。転機となったのは、息子さんの「英語を話せたら格好いい?」という一言でした。
その一言をきっかけに英語の子育てサークルを立ち上げ、昨年9月からはNPOとしてより広い範囲で英語での学びの活動を行っています。GELでの活動を通して、市野さんやその周りの人々の行動、気持ちの変化について丁寧にお話しくださいました。

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GEOを通して広がる世界
子育てサークルを立ち上げた時に出会った2人の仲間のおかげで、今のGELがあると語る市野さん。一人は、お子さんが留学で高知に来た際に出会い、意気投合した大親友の女性。もう一人は、子育てサークルで英語の会を行いたいと思った時に出会ったALTの男性、フィリップ先生です。フィリップ先生とは、言葉が通じず、トラブルになることもありましたが、共に過ごすことで言葉の壁があっても、お互いを理解することは出来ると気づきました。この二人がいなければ、こんなに活動が続くことはなかったと市野さんは語ります。
昨年の9月からNPO法人として活動するGEL。法人格を持つことで働きやすく、信頼も得やすいというメリットだけでなく、関わってくれる外国人の就労環境を考えたい、という市野さんの思いもNPOとして活動することを選んだ理由だといいます。子どもたちだけではなく、講師のやりがいも考えることで、結果として子供たちにも良い影響が生まれています。


登壇者2

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大石 真司さん(NPO法人 オーガニックスタイルこうち理事)
高知県長岡郡本山町生まれの62歳、子ども4人、孫6人。
甲南大学経営学部卒業後、住宅メーカー、飲食業、会館支配人、高知市議会議員などを経て平成16年から幼稚園の事務局長として勤務、平成23年には理事、25年には常務理事、令和元年6月に退任し、現在昨年10月に設立しましたNPO法人オーガニックスタイルこうちの理事としてオーガニックスタイルキッチンと地域子育て支援センターママンの運営をしています。10年ビジョンは高知県のこども園・保育園・小中学校の給食をオーガニックすること。

2人目の登壇者はオーガニックを通して食育を進める大石真司さん。
高知 蔦屋書店3階にある、『子育て支援センターママン』や、併設された『オーガニックスタイルキッチン』を運営する、オーガニックスタイルこうち。その代表を務める大石さんは、子供たちとまっすぐ向き合っていく中で見えてきた、教育と食育の関係性や、それに対する自身の想いを語ってくださいました。

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親子が安心できる食へ
以前、幼稚園の園長を務めていた大石さん。2年連続で園児数が減少し、存続の危機に瀕していました。
その時に出会ったのが、荒れた中学校を給食で改善した事例。それに感動した大石さんは、「中学生ができるのであれは、乳幼児の頃から絶対にやるべきだ。」と思い立ち、地元素材を使ってなるべく安心できるものを使った、自園調理の給食を始めました。
また、蔦屋書店内の子育て支援センター設立に取り組む中で、不特定多数の人々が来る場所で食育推進がしたいと考えた大石さんは、平成30年にNPOを設立し、『オーガニックスタイルキッチン』を併設しました。「子どもと、食の環境を守るためにオーガニック給食を広めていきたい」「NPO活動の方もこの動きに一番に力を入れてやって行きたい」と、自身の想いとこれからの活動を力強く語ってくださいました。


登壇者3

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尾崎 昭仁さん(認定NPO法人 NPO高知市民会議
1991年生まれ、高知市出身。
学生時代より市民活動に携わり、卒業後NPO法人に入職。8年目。管理を行う市民活動サポートセンターで市民活動団体等の支援を行う傍ら、人材育成事業「とさっ子タウン」の事務局を務める。高知市こどもまちづくり基金事業「こうちこどもファンド」などの委員も務める。プライベートでは、他のNPOでのボランティア活動や仲間と高知の情報を発信するWEBメディアの運営などを行なっている。

3人目の登壇者は、『とさっこタウン』や『こうちこどもファンド』に関わる尾崎昭仁さん。
学生時代からNPOに関わってきた尾崎さんは、現在『NPO高知市民会議』に勤めています。市民活動サポートセンターの指定管理を受けて運営しており、NPOを支援するためのNPOという立ち位置で活動をされています。二つのパンフレットを見せながら、NPOのリアルを赤裸々に話してくださいました。

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8年働いて気づいたこと
高校時代から、「高知で何かしたい」とざっくりと考えてはいたものの、もともとNPOで働きたいというわけではなかったと話す尾崎さん。
NPOに関わるきっかけは、高校時代ボランティアで運営にも関わった『とさっこタウン』。様々な企業や大学生、行政などと関わるのがとても楽しい時間だったと当時を振り返ります。ここで出会った大学生のように、NPO団体で活動をしてみたいと、進学し大学時代にはスタッフとして関わることに。しかし、様々な経験をしながらあっという間に卒業を迎えるものの、就職はせずアルバイトをすることに。「自分はこんなところでこんなことをやっていていいのか。」と迷い始めたころ、NPO高知市民会議の職員枠に空きが出宝来ないか、と誘われ就職することになりました。
就職してから8年間、楽しく過ごしているという尾崎さん。仕事は増えていくが、年収は変わらない事に悩むこともあるそう。ですが、他の人がどのように働いているのかも聞いてみたいと、積極的にNPOとしての働き方を模索されているようでした。


登壇者4

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河田 将吾さん(NPO法人 四国青年NGO HOPE 副理事長)
1995年生まれ。24歳。香川県出身。
高校生の時「人は生涯を通してどのように人格を形成していくのか」に強い関心を持っていることに気づく。その疑問を探るため、ワカモノの人材育成に携わる「NPO法人 四国青年NGO HOPE」の活動へ参画。「これからの社会で活躍する人材が育つには、ワカモノにどういった成長の動機付けが有効なのか?」というテーマを掲げて、毎年300名以上の大学生や若手社会人と交流を取りながら、自身が与えられる動機付けを探っている。今年6月より副理事長に着任。ワカモノに成長の機会を与えること、ワカモノが成長していく姿を見守ること、そして自分が成長していくことが好き。

4人目の登壇者は、ワカモノの人材育成に関わる河田将吾さん。
『四国青年NGO HOPE』の副理事長を務める河田さんは、イベントなどを通して、大学生などのワカモノの成長に積極的に関与し、サポートを続けています。NPOの活動の中でかかわってきたワカモノの数はなんと1500人~2000人。その経験から見えてきた近年のワカモノの傾向や、活動にかける熱い思いを丁寧に語ってくださいました。

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成長する楽しさを伝えたい
河田さんがNPOに所属するきっかけとなったのは、高校生の時。自分や相手の考え方、性格の違いといったことに興味を持ち始め、NPOに入ることで自身の興味を追求しようと考えたそうです。現在所属する団体では、2泊3日の合宿のなかで、課題に対しての問題解決を、参加した学生自らが考えるプログラム等を行っていて、ワカモノが社会参画意識を高めてもらうことを目的にしています。
活動を行うなかで河田さんは、とにかく待つことを大切にしているといいます。どんなにピンチの時でも、動き出すまで待つ。そのために辛抱することもありますが、そうすることで、モチベーションを生み出せると考えているそうです。HOPEを通じてワカモノが高知で活躍してほしい、と自身の想いを重ねて強く話してくれました。


登壇者5

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田中 愛彩 さん(NPO法人 トサシカケNITARI事務局長)
1987年生まれ。大阪府大阪市出身。
社会人4年目まで地元で過ごしたが、人と違うことを経験したいという動機から名古屋のバルーンアート会社に就職する。2016年6月に初めて高知を訪れ穏やかに広がる海に感動し、そのまま地域おこし協力隊として土佐市に移住。協力隊任期中に「現役世代が中心となってまちづくりを進めよう」という声掛けに賛同し、2018年3月に「NPO法人トサシカケNITARI」を仲間と設立。任期が終わった今も「土佐市にできる限りの恩返しを」という想いを持って日々活動している。

最後にお話しいただいたのは、大阪から移住し、土佐市で活動されている田中愛彩さん。
大阪で生まれ、大阪で育った田中さんは、適当なタイミングで結婚して子育てして、落ち着いたらまた働くのだろう、そう思いながら20代を過ごしていました。人と違ったことをしたい、と職を変え、今までと異なる経験はできましたが、一方で気分が落ち込んでいく日々。そんな時、旅行でたまたま訪れた土佐市の青い海と青い空に心を奪われてしまったと、土佐市の地域おこし協力隊になった経緯、現在の『トサシカケNITARI』での活動に至るまでを語ってくださいました。

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対価がなくてもやりたいこと
土佐市に心を奪われ、地域おこし協力隊として働き始めた田中さんですが、都会にお金も関心も流れていってしまう土佐市の現状に、自分はどうしたらよいのかと悩んでいました。そんな中「土佐市の若手を中心にNPO法人を作るので事務局をしないか」と声がかかり、今所属しているNPOトサシカケNITARIで活動を始めることに。
土佐市民協働大学や移住定住促進といった活動を行う中で、土佐市について真面目に語れて、面白いこともできる若者たちと出会い、活動がどんどん楽しくなっていっていると話してくれました。来年度、仕事がなかったら、収益がなかったら、という不安ももちろんありますが、お金がなくてもNITARIでの活動を続けたいという田中さん。自分自身はNITARIの事務局でもあり1ファンでもある、と土佐市、そしてNITARIへの愛を伝えてくださいました。


ネットワーキング
登壇者と参加者の垣根を超え、思いでつながるネットワーキングの時間。この時間は、ゆるいつながりを生むという100人カイギの中でも、大切にしている時間のひとつです。
参加者と登壇者が自由に動きながら、質問や自分自身の思いなどを語りあいました。これまでにない新たなつながりを作る場になりました。

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総括
『NPOで働く方々』というテーマで行った100人カイギ。参加者の皆さんの関心度もとても高かったように思います。5人の登壇者の皆さんも、それぞれの経緯、思いで活動に取り組まれており、その共通するところや、異なるところ、さらには生き方の部分まで垣間見えたのではないかと思います。自分もNPOに興味があるので、印象深かったと話す参加者の方もおり、とても学びの多い回になったのではないかと思います。

(レポート:檜山諒 )



100人カイギとは
100人カイギは、一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の“身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動です。2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。


▼こうち100人カイギvol. 10はこちらから。




お問い合わせ
Kochi Startup BASEⓇ
住所:〒781-0084 高知県高知市南御座90-1 高知 蔦屋書店3F
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/

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