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【レポート】こうち100人カイギvol.20 -泣いても笑ってもこれが最終回-

地域で働く100人をきっかけに、まちの在り方や価値を再発見し、ゆるく人を繋げる「100人カイギ」がKochi Startup BASE®︎を拠点として2019年1月よりスタートしています。新型肺炎の拡大により一時的に休止していましたが、オンライン、オフライン並行して行うハイブリット型のイベントとして再開し、Kochi Startup BASE®︎の会場とzoom上で参加者を集い開催しました。

『100人カイギ』のルールは1つ。
「ゲストが100名に達したら解散する」。高知で活躍するゲストを毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただきます。

今回は、2021年6月26日に開催されたこうち100人カイギvol.20の様子をレポート。

高知県内外、多様な分野で活動する6名の方々にご登壇頂き、それぞれが自分自身の生き方や働き方について話題提供を行い、参加者とともにネットワーキングを行いました。

こうち100人カイギはこれで最終回。
最終回記念として、これまでの登壇者100名が一覧になったポスターと、これまでの100人カイギがきっかけとなり生まれたエピソードを壁に掲示しました。

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オープニング、アイスブレイク

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はじめに、100人カイギ、KSBの概要について紹介を行ったあと、最終回ということで、100人カイギ発起人/見届け人の高嶋氏よりご挨拶を頂きました。
その後、アイスブレイクを行い、オフライン参加の方は会場で、オンライン開催の方はブレイクアウトルームを用いて、他の参加者との自己紹介や、このイベントに期待することをシェアしました。

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各者各様の想い

登壇者1
イワシロ アヤカさん(星空体験プロデューサー)


IMG_2765のコピー

大学卒業後、埼玉県にある天体望遠鏡メーカー「ビクセン」に入社し、天体望遠鏡や双眼鏡を使った星空案内を数多く実施するとともに、星を楽しむ旅行プランやイベントの企画も手がける。2015年、結婚をきっかけに高知へ。現在は sorashiro (ソラシロ)を立ち上げ、フリーランスのプランナーとして活動中。子どもから大人までを対象に、星空教室やワークショップなどを企画・開催し、星や自然体験を通して「世界が拡がる感覚」を伝えている。

世界を広げる「気づき」を

星空ソムリエの資格を持ち、現在一児の母でもあるイワシロさん。2019年に『sorashiro』という屋号で起業し、「星空体験を創造する」ことをミッションに星空体験ワークショップを行っています。星空を楽しむ体験と聞くと、見る、撮るといったイメージしやすいものもあれば、本を読んだり、学んだりすることや、更には食べる、身につけるといった体験も含まれており、イワシロさん自身も、星座がプリントされた服やピアスを身につけて星や宇宙を楽しんでいます。そういった様々な方法を組み合わせて、星を見る楽しさを伝えています。
しかし、コロナ禍を経て、自分の活動に対しても想いを巡らせるうちに、楽しむだけでなく、気付きから世界が拡がる体験をつくりたいことに気づきました。その「気づき」を感じてもらうために、「月は何色ですか?」と会場に問いかけました。参加者からは、白、黄色、パンケーキ色といったように様々な意見。同じものを見ているはずなのに、人によって「気づき」は異なっていることが明らかになりました。
イワシロさんは、体験することから課題をみつけ、様々な視点からものごとを捉え、創造、想像する力が大切だと言いました。そのために大人も子どももワクワクできる星空体験を作っていきたいと今後の意気込みを話しました。


登壇者2
鵜飼 唯香さん(日高村 地域おこし協力隊)

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愛知県出身。親の転勤で、小学2年生まで神奈川、小学6年生まで上海、中高時代は千葉県で過ごす。 2018年東京大学文科一類入学、2020年法学部進学。3年生の夏(2020年9月)、コロナ禍の中で休学。12月から高知県日高村で地域おこし協力隊として活動中。 配属事業所は高知地元芸人「あつかんDRAGON」所属の合同会社ショープロジェクト。現在はイベント運営や企画に携わっている。 もっと人生に選択肢があっていい、という淡い想いを抱いて自分自身模索しながら生きている。

「地方を選択肢に」

東京大学を休学し、現在日高村で地域おこし協力隊として活動する鵜飼さん。都会の暮らしや就職活動に疑問を持っていたことなどから、「地方に暮らしてみたい」と考えるようになりました。しかし、着任当初は「どうして日高村に?」、「親御さん泣いてるよ?」と住民の方から言われることも多かったと言います。心配の声とは裏腹に、県内では珍しい『ドライブイン・シアター』を実施したり、村内イベントの企画・運営などを行ったりと、精力的に活動を行っています。
とても情熱的に見える鵜飼さんですが、日高村に移住した理由に対し、利己的で想いが無いと感じていましたが、半年活動する中で「地方を選択肢に」という想いが生まれてきました。というのも、鵜飼さん自身、日高村で1年間過ごすことを決断した際、泊まる場所や、お金、地域の方との関わり方など、不安要素が多くありました。すでに多くのサポート制度がある海外留学に比べて、地方に移住することはハードルが高かったのです。現在はその課題意識から、東京大学とともに、「大学がない村で大学生が関わり続け、人材が育つ環境づくり」を目指したプロジェクトを実施しています。これからはこの想いとともに活動していきたい、と最後は笑顔で話を終えました。


登壇者3
岡村 涼太郎さん(地方創生エンジニアの卵/高知高専 ソーシャルデザイン工学科 4年)

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2002年生まれ。高知県出身。
小学生の頃の将来の夢は高知県知事になって高知を創っていくことだった。現在はIoTで地方創生がしたいという想いから高知高専の電気・電子系のコースに所属。一次産業や教育に興味はあるものの、アイデアを出すことが好きな人間なので扱うテーマは分野を問わない。自分の考え方やスキルを磨くためにも、「やるか、今すぐやるか」の言葉の下、大人も参加するような場所へ積極的に参加し、人とのつながりを増やしている。幅広い分野で課題解決をすることはもちろん、自分のアイデアを自分で形にできる技術者・地方創生者になることが目標。(知事の夢も諦めきれてはおらず、いつかなれればと考えていたりする)

IoTにみる高知の可能性

高知愛を伝えたいと、高知県のキャラクター『くろしおくん』が描かれたTシャツをみせて、会場を沸かせた岡村さん。まちづくりを学びたいという想いから、高知高専に進学することを決意しました。まちづくりにかける思いは強く、地方創生アイデアコンテストでは最優秀賞を獲得。それをきっかけに、一次産業の盛んな高知ではIoTの可能性が期待できると感じ、土木系のコースから電気・電子コースに所属を切り替えました。
次に「真のIoTとは?」という問いかけとともに、参加者に4択のクイズを出題しました。すると、正解者がかなり少ない結果に。まだまだ一般的な認識にはなっていませんが、自動化してあるだけではIoTではなく、データを集めビックデータとして、分析、処理して反映させるものが真のIoTであると説明します。IoTを活用すると、様々な分野でロスを減らすことができるのがメリットです。これらをもっと活用するための仕組みやプログラムを勉強し、自分の将来にも役立てていきたいと話しました。
今後はIoT×地方創生だけでなく、中高生のキャリア教育にも取り組み、やりたいことを実現できる社会にしたいという岡村さん。そのために、様々な人と関わりを持つなかで、より自分のやりたいことや打ち込めることを見つけたいと締めくくりました。


登壇者4
佐藤 彩音さん(高知国際中学3年生/SDGs勉強中)

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2006年10月30日生まれ14歳。生まれも育ちも全て高知で、美味しいものと綺麗な景色が沢山ある高知が大好き。普段は高知国際中学校で課外活動などに励んでいる。母のおかげでSDGsに興味があり、休日は色々な事に挑戦している。いつか高知のために何か活動がしたいと思っている。

自分、高知、世界のために

高知国際中学校3年生、15歳の佐藤さん。「高知のために何かしたい」という強い想いを持っており、学外でも積極的に活動しています。今回はその中でも、『地域おこし学校 みませ楽舎』、『リテラシーラボ』という2つの取組みを通じて想いを話してくれました。
『地域おこし学校 みませ楽舎』は、高知市の御畳瀬(みませ)地域で地域活性化のために行われている取り組みで、佐藤さんは、『みませ未来をつなぐSDGsステーション』という企画を立案し、実行に向けて取り組みました。その中で、高齢者のSDGsに対する認知が低いことや、若者が発信する重要性、全員が納得する意見を作る難しさを体感。しかしその一方で、地元の力になりたいという想いは増していきました。
様々な人と話してみたいと感じ、参加した『リテラシーラボ』では、参加者に研究費用として10万円が付与されるため、佐藤さんは「好きなことを仕事にする方法」をテーマに、一週間フードブロガーチャレンジに挑戦。この経験からは、継続することの大切さや、難しさ、お金をもらって活動することの重みなどを感じました。
これらの経験から「考える場」の大切さに気づき、「これからも、自分の成長と、他人を助け、高知、そしてゆくゆくは世界のために活動していきたい」と、結びました。


登壇者5
西山 侑吾さん(土佐塾中学高等学校 高校3年)

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現役の高校生で、生徒会長。生徒主体とは何か?を第一に考え、学校改革を進める。日々の学校生活にて生徒が不自由に感じている点、不満に思っている点などを変えていくだけでなく、コロナ禍でも可能な限り学校行事を行うべく、教員サイドと会話を重ねている。また、学校の防災意識改善も積極的に行っており、防災委員会の立ち上げを行い、生徒主体の防災学習のベースを立ち上げる。個人の防災知識向上にも積極的に努め、防災士資格の取得、災害、防災関連の校外活動への参加も積極的に行っている。

身近な課題を知って欲しい

原稿なし、資料なし、マイク1つで話をしてくれたのは、土佐塾中学高等学校3年の西山さん。
学内では生徒会長を務め、性別に関係なくスカートとズボンを選べるように校則を変更したり、感染症対策について何度も議論を重ねて、コロナ禍で学園祭を実施したりと、様々な施策を行ってきました。また、学外活動も盛んに行っていますが、きっかけとなったのは、高校1年のときに参加した『「世界津波の日」高校生サミット』でした。そこで高知県の津波や防災意識についてプレゼンを行い、世界中から集まった学生と交流する中で、自分たちの防災意識の低さに気づきました。それを機に、学校で防災委員会を立ち上げたり、防災士の資格をとって校外でも活動を行ったりと、高い意識をもって防災活動に取り組んでいます。
活動は防災の分野のみにとどまらず、最近は『SDGs de 地方創生』カードゲームの認定ファシリテーターの資格を取得し、ゲームで遊びながら、地方創生とSDGsについて学べる場を作っています。そんな西山さんは、1人でも多くの人に、世界だけでなく、身近な高知県が抱えている問題ついて知り、学び、理解してほしいという思いを持って様々な活動に取り組んでいます。登壇時は受験生ということもあり、活動の幅は限られてしまいますが、どんどん広げていきたいと語りました。


登壇者6
檜山 諒さん(こうち100人カイギキュレーター/場の温度をあげるほっかほかデザイナー)

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高知大学地域協働学部 4年
茨城県日立市出身。人の思いを引き出すことに興味を持ち高知大学地域協働学部へ進学。コミュニティ・エンパワメントや地域メディアを学びながら、シェアハウスをしたり、落語をしたり、日々奮闘中。こうち100人カイギ、CLS高知、Startup Weekend高知など、様々なイベントの運営をしながら、つながる場の温度を高める活動を行っている。大切にしていることは目に見えない価値を尊重すること。

偏を見つけて応援する

大学生でありながら、『こうち100人カイギ』の立ち上げから最終回にわたってキュレーターを務めた檜山さん。様々な活動を行う中で、「結局何がしたい人なの?」と言葉をかけられることもあります。今回は、「場の温度をあげるほっかほかデザイナー」という自身の在り方を軸に、『こうち100人カイギ』を振り返りました。
2019年の1月の開始から2年半の間には、飽きてしまったり、登壇者が見つからなかったりと、上手くいかないこともありました。しかし、話せることなんて無い、と話していた方が登壇をきっかけに大きく躍進していく様子や、登壇者が10分という中で自分を表現している様子を見て、その人の持つ様々な面の一部分でも知ってもらえるきっかけになって欲しいと思うようになりました。そのうちに「想いを外に出したことが無い方を招きたい」と考えるようになります。
そして、合計20回開催する中で「想いでつながる」というテーマの自分なりの答えを見つけました。それは「『偏』をみつけて応援しまくる」こと。その人の偏った愛情や他の人と異なる部分に共感し、応援する環境を参加者が作ってくれたのではないかと振り返り、最後にはお礼の言葉を述べ、締めくくりました。


ネットワーキング

登壇者と参加者の垣根を超え、ゆるくつながるネットワーキングの時間。
参加者の皆さんは、登壇者を囲んでお話をされる方や、壁の最終回を記念したコメントに目を通す方もいらっしゃいました。
オンラインでも、登壇者の方にパソコンの前にお越しいただき、自己紹介や、感想、質問をシェアするなど、物理的な距離を感じさせない交流が行われました。

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解散宣言

今回で最終回を迎えたこうち100人カイギ。登壇者が100名集まったら会を解散するという100人カイギ全体のルールに則り、キュレーターの檜山と司会の前田が解散宣言を行いました。「解散」という2人の宣言の後には、会場からは拍手が沸き起こりました。

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総括

2019年1月から行われてきたこうち100人カイギ。その最終回となった今回は、これからの高知を支えていくであろう、若い世代の方が多く登壇されました。それぞれの話からは高知の課題と真摯に向き合いながらも、輝かしい未来を想像し、そのために行動を惜しまない姿が強く感じられ、感銘を受けました。参加者の方には過去に登壇された方や参加者の方も多くおり、今後に向けたアクションについても積極的に話している様子も見受けられました。こういった場面からも、100人カイギという場が生んだつながりの尊さを感じました。

こうち100人カイギに関わってくださったすべての方に、この場を通じてお礼を申し上げたいと思います。

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100人カイギとは
100人カイギは、一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の“身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動です。2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。

(レポート:檜山 諒 )

問い合わせ
Kochi Startup BASE®️
住所:〒780-0822 高知県高知市はりまや町3-3-3 GAIAビル2階
運営:エイチタス株式会社 高知支社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/

皆様からいただいたサポートは、今後の活動・運営に使用させていただきます。