調教の考え方 その1 イギリスのエマ・ラヴェル調教師
日本の競馬で馬券を当てるにはあまり重要ではない知識かもしれません。
調教で馬券の回収率を上げるには竹内氏が行われているようにそれぞれの厩舎の調教パターンや、コースで結果を出している調教パターンを調べた方が効果的です。
ただ、私は馬券も当てたいのだけど、競馬というスポーツそれ自体に興味があるので調教に関しての調教師さん達の考え方を知りたいのですよ。
イギリス、エマ・ラヴェル調教師の場合
放牧から帰ってきた馬をどうやってレースに仕上げていくかの動画です。
馬は野外での休暇を楽しんでおり、リラックスして自然と触れ合うことが大切。
休暇中、馬は体重が増加することがあり、50〜60キロも増えることもある。
休暇明けに馬をトレーニングに戻すために、約3か月かかるが、個々の馬に合わせた調整が必要。
トレーニング再開時、最初の数日はゆっくりとしたトロット(速歩:人間でいえばジョギング)から始まる。
次に馬は深い砂(足に衝撃の少ない)でのトレーニングから始め体幹を鍛える。
最初の約3週間は深い砂でのトレーニング。身体ができていない間は負担が大きいので坂は走らない。人を乗せて坂を駆け上がる体を作るために深い砂でのトレーニングをする。
坂路に移る時も最初は砂の坂路。馬の状態を見て坂路の回数を増やして、スピードも上げていく。
トップスピードを出せる状態になったと判断されたら芝の坂路に移り、レースへの準備に取り掛かる。
競走馬が季節的な休養から戻ってきたら、徐々に完全なフィットネスを目指していく必要がある。筋力をつけるため、トレーニングは通常「ロード」ワークから始まる。
数週間かけて何時間も歩くことで、完全なフィットネスへの道を歩み始め、故障のリスクを最小限に抑える。
フィットネスのベースが出来上がったら、トロットやキャンター(駈歩:だいたい時速20キロほどの駆け足)のトレーニングを行う。
調教師によって、やり方は微妙に異なる。
それぞれの調教場の設備はかなり違いますし、使用するギャロップ(襲歩:レースに近い走り)もかなり異なります。
天然芝や全天候型の人工芝、ウッドチップや深い砂など、さまざまな路面が調教に使用されている。馬用のプールを使う調教師もいる。
ほとんどの馬が水泳を楽しんでおり、運動負荷が低いため、わずかな心配をすることなく馬の体力を向上させることができる。
調教師の中には、馬のためのスパトリートメントのようなウォータートレッドミルを使う人もいます。これは調教プログラムから後退から馬が回復するのに特に有効です。
ホースウォーカーも体力向上のために使用される。これは円形のフレームで、ゆっくりと回転する仕切りがあり、馬が一定のペースで歩くように促す。
馬が強い調教をしているときは、運動前のウォーミングアップにホースウォーカーが使われる。
サッカー選手がプレー前にストレッチをするように、ギャロップに出る前に馬の筋肉を温めておくことが重要なのだ。調教師の中には、この目的で丸い深砂のギャロップを使う人もいる。
馬の体力がピークに達したら、ウォーキング、定常的なキャンター、トロットを織り交ぜた調教ルーティンに従う。
通常、調教師は週に2回、決まった日に馬をギャロップさせる。多くの調教師は日曜日を休養日とし、週1回のプログラムを再開する。
調教のルーティンは馬によって異なるため、出走馬がベストの状態でレースに臨めるようにプログラムを調整する。
調教師によって使用するギャロップは大きく異なる。ジャンプ(障害)調教師のギャロップは一般的にかなり強い。長距離を走るナショナルハント馬は、スタミナを向上させる必要があるからだ。
とはいえ、ニューマーケットの有名なウォーレンヒルのギャロップは、町の中心部から急勾配の頂上に向かって登っていくので、人間のアスリートでもかなりの難関だ。それでも、ジャンプ調教師が使うランボーンのギャロップに比べれば、それほど厳しいものではないだろう。
現代のトレーニング法は、馬が短い距離を何度も駆け抜ける「インターバル」トレーニングが主流だ。
平地調教とジャンプ調教の違いは、ギャロップの段取りだけではない。
ナショナルハントの馬は当然、ジャンプの練習をしなければならない。これは「スクーリング」と呼ばれ、調教師の中には馬のジャンプを磨くために、障害飛越競技出身の専門コーチを雇う人もいる。
平地のレースはゲートからスタートするため、馬はスタートゲートの出入りの訓練をする。
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