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【女将のエッセイ】私はいま、人に任せられるようになる訓練をしています

このnoteを書いている時刻は、夜の6時半。いま私、営業中の店内ではなく、自宅のパソコンの前に座っています。

どうして店をほったらかしてこんなことしてるのかというと、ホールスタッフの女の子に仕事を任せられるようになりたいから。

人材育成中?いえ、どちらかというと、私の「任せる訓練中」なんです。



「私がいなきゃ回らない」からの卒業


今から約18年前。16歳で世に出て働いていた当時の私は、過酷なシフト競争の中にいました。仕事のできる者は次々とカレンダーに名前がのり、できないものはドンドン勤務時間が削られます。

一人暮らしをしていた私にとってシフトを削られるのは死活問題。なんとかして仕事にありつくためには「こいつじゃなきゃ」と思ってもらえなければいけません。上の人から選んでもらえるような価値ある人間にならなければと、つねに必死でした。


そうした考え方は大人になってからも染み付いていて、飲食業、ホステス、一瞬だったけど会社勤め、どんな仕事をするときも、代わりのきかない、私にしかできないことで自分の価値を見出そうとしていたように思います。

なかなか成果の出ない仕事もありましたが「いてくれないと困る、やめないで」と言われる快感って、いちど覚えたら忘れれられないものです。

「私がいなきゃ回らないなんて困っちゃうわ〜」なんて思いあがっていたときもありましたからね。若い。



この、バリバリのプレイヤー気質を路線変更せざるを得なくなったのは、20代後半で今の旦那と知り合い、一緒に店を切り盛りしているうちに子どもがほしくなったことがきっかけでした。

当時からアルバイトさんは雇っていたものの、調理補助や皿洗い、ドリンクを作るなど、かなり「サブ的」な扱い。恥ずかしながら私たち、彼らになにか店の大事なことを任せようと思ったことなんて、ほとんどなかったんですよね。

こんな状態の中で子どもを産み育てるとなったら、お店、どうすんねん!って話です。

それで初めて「これ、まずいね。人に任せられるようになんなきゃ、お店まわんないわ」ってことに気づいたのでした。



「自分でやった方が早い病」からの脱却を目指して

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