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朝のサンタモニカからの贈り物(ロサンゼルス/アメリカ)

婚前のアメリカ旅行、最初の都市はロサンゼルス。宿はサンタモニカのとある大通りに面したモーテルだった。

2日目の朝、旅の緊張からか私たちはそろって早朝に目を覚ましてしまった。当時はまだ互いに愛煙家だったため、部屋の扉を開けてすぐの屋外通路でタバコを吸うことにした。

一服が終わり部屋に戻ろうとしたところ、キーを持っていないことに気づく。

先に外へでた彼が持っているだろうと思い「キー貸してくれる?」と私がいうと

「えっ、持ってないの?俺も持ってない!」

と彼。

やってしまった。人生で初めてのインロックだ。

すぐに管理人室へ行ったが、8時半までスタッフは来ないらしい。時刻はまだ6時。携帯電話とタバコしか持っていない。


「ごめん・・・」


彼は責任を感じているようだった。私に責められる覚悟をしたに違いない。

ところが私の怒りメーターはピクリとも動かなかった。

キーを持って出なかったのは私も同じ。それより、こんなところでじっとしていたってしょうがない。私は彼を散歩に誘った。

5分も歩けば海岸に行けるはずだ。青ざめていた彼の表情に小さな笑みが戻った。


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真っ青な空、静かな海。こんな朝っぱらにも関わらず、ランニングやウォーキング、サイクリングなどで汗を流す人が目立つ。日中は人で溢れかえるサンタモニカの海岸に、観光客とおぼしき人はほぼ見当たらない。

互いにせっかちで仕事も旅もせわしないのがつねだが、このときばかりはゆっくりゆっくり歩を進めた。

顔を出したばかりの朝日が砂浜の歩道を照らす。

早朝の「事件」がなければ絶対に見られなかった光景だろう。悲惨な状況のはずなのに、ステキな贈り物をもらった気分だ。

この日以来、「旅のトラブルは楽しんでしまえ」が私たちのモットーとなった。


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17歳年上の旦那と小さな飲食店を経営しながら、ときどき旅へ出ています。中卒の女将。過去に起業の経験もあり。今は趣味&気晴らしに旅のエッセイを書いています。「幸せの扉は自分でこじ開ける」がモットーです。
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