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革命を起こせないナポレオンフィッシュ(グレートバリアリーフ/オーストラリア)

新婚旅行でオーストラリアに行ったとき、体験ダイビングをすることになった。

旦那は初めてだし私も2回目だったので、インストラクターの韓国人女性から15分ほど手ほどきを受け、3人で潜った。

この日は天気がイマイチで、水中の視界はそれほど良好とはいえなかった。それでもクマノミや、群れになって泳ぐカラフルな魚たちをたくさん見ることができた。


インストラクターの力を借りてしばらく泳いでいくと、海底に手すりのようなものが見えた。「あれにつかまって」とジェスチャーで指示が出る。

インストラクターが水中カメラを取り出したので、記念撮影かと思ったそのときだった。

私たちの視界に突然、頭にコブをつけた巨大な魚が現われた。青緑の魚体にたらこ唇。間違いない。「ナポレオンフィッシュ」だ。

これはラッキー!最高のシャッターチャンスではないか!!!

ところがインストラクターはやけに落ち着いていている。まるでナポレオン様がここに来るのを知っていたかのようだ。

ナポレオン様は人間を恐れる様子もなくしばらくその場にとどまってくれていたので、私たちのスリーショットはベストな構図で撮ってもらうことができた。


撮影が終わると、インストラクターの女性が何やら右手を挙げている。私たちへの指示なのか?

するとすぐそばにいたナポレオン様が、スルスルっと上方へ消えていった。右手を挙げるしぐさは、ナポレオン様に「もういいからあっちへ行け」という指示だったのだ。

当然、私たちに近寄ってきたのもインスタラクターの指示。完璧に調教されていた。見事である。

フランスの皇帝ナポレオンの名がついた巨大な魚が、人間の意のままに操られ、飼いならされる。見てはいけないものを見てしまったような複雑な気持ちになった。


ナポレオンフィッシュは、その見た目に相反して実は人懐っこい魚だということをあとで知った。人懐っこいナポレオン…実に罪な命名だ。

人間のいうことをきいていれば、苦労せずしておマンマちょうだいできる。楽することを覚えたあのナポレオン様は、自らの人生に革命を起こす気なんてさらさらないのだろう。

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17歳年上の旦那と小さな飲食店を経営しながら、ときどき旅へ出ています。中卒の女将。過去に起業の経験もあり。今は趣味&気晴らしに旅のエッセイを書いています。「幸せの扉は自分でこじ開ける」がモットーです。
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