吉祥寺ダンスリライト@吉祥寺シアター 2日目
本当に存在しているのかさえ
私の顔は花の影を負って
こんな顔で 見上げて
あなたの顔が降ってくるのを待ってた
真っ青な空に在る花の色がわからない
目を瞑る
目の前が空になって
私は私がわからない
空はまぶたの中
今その外で たしかに花だけ
背景をなくして
(色も)在る
*
ショートケーキ
真っ暗な白夜
私とあなたの影だけ 真っ暗な白夜
そこで行われる王国の市場に
昼間を乗せたトラックが来る
落としていった魚が
片目を空に向けてうるんでいる
ここで愛し合う私たちを知らずに
その目だけが この世の基点
あなたが私を倒す影が重なる
二人とも離れていくことを 頭の中で思い描いて
そうしなければならないから
王国でさよならする恋人たちがいる
幸せだねっていうと
悲しくなりながら 煩わしくなる二人が
街角を逆の方へ歩く
私たちから 私たちが出て行く
魚の片目は何も知らない
知らなくて イチゴみたいに中央にいて
互いに片目を潰せば互いに消えられるのか
もう泣きながら
会いに走らなくて 済むのか
*
右へ右へと人間がゆく 朝へ
私は右倒れに海辺で横たわる
夜から 逃げて
手の中のワイングラスから水がこぼれる
海がまた右へ流れ出す 夜明けへ
逆光のあなたが見下ろしている 左から
人々がさらに右へ
あなたは正午に恋をして
私には関われないと思ってる
父と子と精霊と かざす片腕 あなたの濃い影
*
スポットライトに照らされて
複数の私に口づけを試みる君
「夢のなかで私は瀕死の白鳥だった」
私たち、は
生きても死んでもいなく
白くも黒くもなく むしろ 赤い
ライトの色でわからないがー
加速していく王子
そして減速していく王子
時間が失われて
母親の 公式の際つけていた指輪の箱の中で
長い間ひとつのフレーズを完成させようとしている
*
君を刺したナイフが痛い
血まみれで悲鳴を上げている
*
銃で撃たれた、両手を挙げて倒れるときの
一瞬一瞬のコマ送りが 現れる
翼のように 飛び立つ鳩のように 現れる
すべて言葉だ
二年間発し続けた、言葉の現れだ
「あなたの死肉を食べたい」
「愛の告白だ」「と」「勘違いを」
した
その鳩が横を向き 両目でこちらを見る
会いたかったよ君に
たましいも肉体もいらなかった
光なのか存在の空白さなのかわからないような
やわらかくてさわれない、
それでよかったから
こうするしかなかったんだよ
*
淵から覗/
いている
世界が終わるのを 夜桜みたいだ
人々の肉体しかない、実は一人の人間なのだ
その一人に会えなくて はやく見つけて
複数の私を
皆で桜を終わらせる
実は人々のこの火事は
凍って流れる形で(見てる)
*
空の上で 彼女と平行なつばめ
撃ち落とそうとしているが
彼女を愛しているので
小屋で眠る少女
弾丸を抱えて 地で私と平行な
銃をかかえ肩で息をしている
弾丸と弾丸が交わるところに
私たちの視点がある
*
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