吉祥寺ダンスリライト@吉祥寺シアター 2日目

本当に存在しているのかさえ
私の顔は花の影を負って
こんな顔で 見上げて
あなたの顔が降ってくるのを待ってた
真っ青な空に在る花の色がわからない
目を瞑る
目の前が空になって
私は私がわからない
空はまぶたの中
今その外で たしかに花だけ
背景をなくして
(色も)在る


ショートケーキ

真っ暗な白夜
私とあなたの影だけ 真っ暗な白夜
そこで行われる王国の市場に
昼間を乗せたトラックが来る
落としていった魚が
片目を空に向けてうるんでいる
ここで愛し合う私たちを知らずに
その目だけが この世の基点
あなたが私を倒す影が重なる
二人とも離れていくことを 頭の中で思い描いて
そうしなければならないから
王国でさよならする恋人たちがいる
幸せだねっていうと 
悲しくなりながら 煩わしくなる二人が
街角を逆の方へ歩く
私たちから 私たちが出て行く
魚の片目は何も知らない
知らなくて イチゴみたいに中央にいて
互いに片目を潰せば互いに消えられるのか
もう泣きながら
会いに走らなくて 済むのか

右へ右へと人間がゆく 朝へ
私は右倒れに海辺で横たわる
夜から 逃げて
手の中のワイングラスから水がこぼれる
海がまた右へ流れ出す 夜明けへ
逆光のあなたが見下ろしている 左から
人々がさらに右へ
あなたは正午に恋をして
私には関われないと思ってる
父と子と精霊と かざす片腕 あなたの濃い影

スポットライトに照らされて
複数の私に口づけを試みる君
「夢のなかで私は瀕死の白鳥だった」
私たち、は
生きても死んでもいなく
白くも黒くもなく むしろ 赤い
ライトの色でわからないがー
加速していく王子
そして減速していく王子
時間が失われて
母親の 公式の際つけていた指輪の箱の中で
長い間ひとつのフレーズを完成させようとしている

君を刺したナイフが痛い
血まみれで悲鳴を上げている

銃で撃たれた、両手を挙げて倒れるときの
一瞬一瞬のコマ送りが 現れる
翼のように 飛び立つ鳩のように 現れる
すべて言葉だ
二年間発し続けた、言葉の現れだ
「あなたの死肉を食べたい」
「愛の告白だ」「と」「勘違いを」
した
その鳩が横を向き 両目でこちらを見る
会いたかったよ君に
たましいも肉体もいらなかった
光なのか存在の空白さなのかわからないような
やわらかくてさわれない、
それでよかったから
こうするしかなかったんだよ

淵から覗/
いている
世界が終わるのを 夜桜みたいだ
人々の肉体しかない、実は一人の人間なのだ
その一人に会えなくて はやく見つけて
複数の私を
皆で桜を終わらせる
実は人々のこの火事は
凍って流れる形で(見てる)


空の上で 彼女と平行なつばめ
撃ち落とそうとしているが
彼女を愛しているので

小屋で眠る少女
弾丸を抱えて 地で私と平行な
銃をかかえ肩で息をしている
弾丸と弾丸が交わるところに
私たちの視点がある



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