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料理下手な夫が11年経ってめちゃくちゃ料理上手になった話

私は料理が上手ではない。料理下手な母に育てられ、むしろ食べることが苦痛な時期もあった。なので食にも興味がない。おいしいと感じる時は、料理どうこうより、仲のいい人と食べた時。

味どうこうより雰囲気が大事。

そんな私が結婚する時に考えたのが、ずっと料理を作り続けるのはしんどい、ちょっとでも料理ができる人がいいという、自分に超絶都合がいいことだった。

私の料理の目的は生命維持

17歳で家出をした私は、一人暮らし(&彼氏と同棲)している時期は長かった。結婚したのが31歳なので、13年くらい、朝・昼・晩作っていた。外食に連れて行ってくれる人はいたが、料理を作ってくれた彼氏はいなかった。(お金が潤沢にあった時期は少ないので、昼もお弁当を持っていく日々)。

私自身、決して料理が出来ないわけじゃない。が、出来ても、最低限だし、そもそも自分が「死なない」ため、「栄養」摂取のために作っていただけなので、おいしいかおいしくないかも、わからない。

ただ、結婚する時点で、食に興味がない私は

「毎日作って欲しいとは言わない、たまに私がご飯を作りたくない時、ご飯と味噌汁と納豆を出してくれるような人だったらいいのに」

と思っていた。(ちなみに「納豆」は例えである。私は納豆が苦手)

なぜなら、ネットで「私(妻)が病気で寝ている時に、焼肉弁当を買ってきた」とか「ご飯はゆっくり作ってくれたらいいよ」と言われたという、恐怖な都市伝説(?)を読んでいたからだ。そんなのは耐えられない。

私が具合が悪い時、お粥を作ってくれなくてもいい。私が具合が悪い時に、料理を作れ、といわない人がいい。最低限の望みであり、絶対外せない条件だった。

そんな折、たまたま食に貪欲な夫出会い、半年ほど同棲してから結婚した。

食に貪欲な夫との出会い

夫は私とは真逆で、食べることが生きがい。人生。命。

なんなら、サプリだけで生きていけたらいいのに、と願う私とは違い、夫は貪欲に食を求める。

「この世に知らない食べ物があるのが嫌」

なにかテレビで食材が紹介されていたのを見ていた時に、夫が発した言葉だ。私は驚愕した。日常で私が食べているものなんて、限られている。

幼稚園児に羅列させたら、クラスで1巡しないくらいの食材しか知らない。

常備菜は、にんじん、じゃがいも、たまねぎ。たまにキャベツ。小松菜。ピーマンやトマトはめったに買わない。肉と魚はその時に安くなっているものを、テキトーに買う。そんな生活。

調理は「煮る」「炒める」「焼く」のどれかをして、食べられるようにするのが私の料理だ。

同棲してから、私もそんな料理を創っていたが、早々に夫は私に「なにか」の夕飯を作ってくれた。

さすが食に興味がない私。このnoteを書こうとして、夫が一番最初に何を作ってくれたか思い出そうとしたが、まったく思い出せない。

しかしこれだけは覚えている。

「スパイシーな和食」

だったことを。

夫の料理はすべてがスパイシー

そう、夫は食には貪欲だが、チャレンジ精神が旺盛すぎて、味付けが下手だった。

下手、というのは失礼だ。私だって料理が得意ではない。私が料理がしたくない時に作ってくれる、最高の夫。そんな人に下手と言ってはいけない。

そう、言い換えよう。彼の創る料理はいつも、「斬新」だった。

「食」を追求する彼はいつも、なにか新しいスパイスや調味料を買ってきていた。あと、クレイジーソルト信者だ。(私は31年生きてきて、夫からクレイジーソルトというものを学んだ)

和食っぽいなにかを創ってくれていても、なぜか全部、スパイシー。とりあえず、これ入れたらどうなるんだろう?という好奇心で、いろんな調味料を入れる。

「めんつゆ」一本あれば和食は大抵作れる、と思っている私を尻目に、彼はさまざまな調味料を入れ続けた。

「味塩こしょう」と醤油くらいしかなかった台所に、ペパーミント、タイム、ガラムマサラや、シナモン、八角、などが並び始めた。

お前はインド人か?いや、以前旅行で行ったバリの料理に近い気がする。そしてそれは本人も食べてみて、気がついたようだった。

「なんか、辛いね」

「いや、大丈夫だよ」

「そうかな」

「あんまり食べたことない味だけど、これはこれでいいと思う」

私は彼の料理を褒め続けた。私の知っている和食とは確かに違う。

私は辛いものも苦手だ。だけど、私はそんなことはどうでもよかった。

目の前にいる「料理を作ってくれる人」がいる。私が望んでいた未来。そして望んでいた人。

「どうしたら和食っぽくなるかな」

研究熱心な彼が聞いてきた。繰り返すが私も料理がうまいわけじゃない。アドバイスが出来るわけでもない。私は、自分の経験上、ひとつだけ出来るアドバイスをした。

「ほんだし、使ったら?」

和食に目覚め、著しく料理の腕が上がった夫

ほんだしのおかげで彼は結婚3年目で子供の離乳食も作れるようになり、5年目頃には昆布で出汁を取るようになった。北海道に旅行に行ったときにはお土産屋さんの昆布売り場で30分ほど悩み、羅臼昆布と日高昆布を自分用に購入していた。

それから、スパイシーな和食が出ることはなくなり、著しく料理の腕が上がった夫。

コロナ禍で釣りに目覚めた夫は、釣って、さばいて、調理する、までがレジャーのようです。私は魚はさばけません。おろせません。

そんな夫の料理はこんなかんじ。置き方が変だったらすみません。全部写るように私が勝手に置き換えてます。

日曜日の夕飯。11年ご飯を作ってもらって、初めて写真を撮りましたw

これは土曜日の夕飯かな。どちらも、金曜日に有給で釣りに行った時の鯛やらアジやらなんとかやら(魚種忘れた)を調理してくれてます。


いやあ、期待以上の成長っぷりです。私がしんどいときや、風邪をひいた時、せめて自分の食べるものを作ってほしい、と思っていただけなのに。

で、友達にどうしてそうなったか、って聞かれるんですけど、わかんないんですよね。

しいて言えば、どんなに不思議(スパイシー)な味でも、否定しなかったことでしょうか。

実際私は味音痴&貧乏舌な自覚あるので、自分が食べなれない味でも「こういうものかな」と理解するので、否定しないからかもしれないです。

これはこういう味じゃない、こうしたほうがいいとか。よっぽど信頼関係ができてるならともかく、新婚当初、一生懸命作ったものに(本人は良かれと思ってアドバイスしていても)、ケチつけられたら嫌ですよね。

同じようなこと、夫やお姑さんに言われたらいやじゃないですか。

なので、私は言ったことないです。本当に困っていたときに「ほんだし」を勧めたくらい。

土日は私はほぼ料理はしません。夫が自分が食べたい時間になると、勝手に作ってくれて、最高です。

夫はイイ感じに育ちました。息子二人も同様に育てていこうと思っています。

ちなみに夫が自分の料理のインスタを始めました。よかったらフォローしてください。


小売店のブランディングから一歩踏み込んだ、理念や想いを形にするお手伝いをするコンサルティングをしています。店舗ディスプレイ、POP、ラッピング、ライティングで見せる発信のコツをお伝えしています。