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エネルギー需要、コロナで「構造変化」

コロナきっかけで脱炭素化の動きが加速化していきそうです。
この「構造変化」という点が非常に重要だと思います。
コロナによる経済活動の停滞により、一時的には世界で17%も減少したCO2ですが、温暖化に対する影響は僅かでしかないそうです。
今までの蓄積により既にCO2濃度が高まっている状態であり、一時的に排出量が減ったとしても、影響は限定的だということです。
上記記事で触れられている「不可逆的な構造変化」は、今回コロナによる一時的なCO2減少よりも遥かにインパクトのあることだと思います。

さらに立て続けに、

このような動きもあります。
一歩前進、という意味では良い傾向であるかとは思いますが、2050年までにCO2排出実質ゼロにしなければパリ協定の1.5℃目標(努力目標)を実現できないとされていますし、また、日本は2030年までに温室効果ガス排出を2013年度比で26%減を目標としていますので、こういった施策の本気度が問われてきます。
(ちなみにコロナの影響を受けた今年度は、先述の通りポイントで見れば昨対で17%程度減ですが、年間通して昨対7%程度減の見込みらしいです。以下のサイト参照。)

上記の目標は経済を犠牲にしない前提での目標ですから、いかに険難な目標であるか伺い知れます。

ところで、パリ協定の1.5℃目標とは、

産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度未満」に抑える。加えて平均気温上昇「1.5度未満」を目指す(第2条1項)

というものです。
これを見ると、「2℃までなら大丈夫なのか」と思ってしまうかも知れませんが、現時点での上昇気温は約1℃です。
今の時点でも温暖化による影響が顕著に表れているのに、これが0.5℃、さらに1℃まで上昇してしまったら、どのようなことが起こるか想像に難くないでしょう。
温暖化による影響について、私たち日本人にとってはここ数年の豪雨災害(今年もまさに直撃している所ですが)や猛暑などによって身近に感じるようになりましたが、島嶼部や乾燥地域などの貧しい国・地域の人々においてその影響はより深刻なものとして現れます。(CO2を主に排出しているのは我々先進国なのに!)
そして、私たちより下った世代でより一層大きなものとして現れるのです。
そう考えると、決して風馬牛であってはいけないことです。

不可逆的な構造変化とは?

話は冒頭の「不可逆的な構造変化」に戻ります。
記事の元となっているレポートでは、需要の変化に触れ、以下のように記述しています。

これまでの需要サイドにおける取組は省エネ法に基づく規制と省エネ補助金等の支援を通じ、高効率機器・設備への投資促進等の省エネ取組を促すことで、省エネルギーを推進。

省エネは引き続き重要。他方、上記を踏まえ、「単に減らす省エネ」から、供給側の脱炭素化の進展と合わせた需要側の電化等、エネルギー転換含む「エネルギー需要の高度化」への構造転換が必要ではないか。その際、自然変動する再エネの拡大に伴い、需給一体となって再エネを有効活用するという視点も必要ではないか。

何やら小難しいことを言っているようですが、「供給側だけでなく需要側、つまり消費する側も変化することが大切だよ」、と言っていると私は解釈しています。
(※余談ですが、お役所から出される公的文書の分かりづらい、回りくどい表現を揶揄して、「霞が関文学」と言われています。)
脱炭素化に向けての構造変化とは、供給側ももちろん大事ですが、消費する側である我々にこそ求められているのかも知れません。
これなど象徴的な事例ではないでしょうか。

130年余りにわたって内燃機関に依存してきた自動車業界を、電気自動車(EV)で一変させようというテスラの試みを、市場が強く支持していることが浮き彫りになった。

とありますが、市場の期待とは、ある意味消費する側である私たちの姿勢の変化です。
社会を決定的に変化させるためには、いずれ誰かがやってくれる、と頼るのではなく、変化させていこうとする私たち一人ひとりの姿勢が重要です。

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