マッコリは2本まで。

ときどきごはんを一緒に食べる友達がいる。

とはいっても、学生時代の友人でも仕事関係でもなく、
趣味も違う10以上も年下の男のコ。
彼はパソコンを買いに行ったカメラ&家電量販店で知り合った。
パソコン売り場のアルバイトの店員。そのとき彼は大学生で20歳だった。
ずっとMacを使っていたのだけれど、
他のパソコンとのあまりの互換性の悪さに、
Windowsに切り替ようと思っていた。
何を買えばいいのかよくわからず、相談したのがパソコン売り場にいた彼。SONYからの派遣のバイトだったのに、
なぜかシャープ(NECかも)をすすめられた。

1回では決めかねたので「また来ます」と行って帰り、
2回目は友人と一緒に行き、
彼がいたので「買いにきました」と言ったら彼も覚えていた。
いろいろ手続きをしているときに、
「もうすぐ仕事終わるのでごはん食べに行きませんか?」と誘われた。
え、ナンパ?? まぁ友人もいるし、いろいろ親切にしてもらったし、
好感度も高かったので「いいよ」ということになり、
友人も含め、彼の仕事上がりを待ってごはんを食べに行った。

その後、そんなに頻繁ではないけれど、
食事に行ったり、飲みに行くようになった。
(余談ながら、年上だとは思ったけれど、
10も上だとは思わなかったらしい…。
まぁ、若く見えたということでヨシとしておく…)
彼の両親が飲食関係ということもあり、
大学生の男のコにしては知識も食の経験も豊富で、
お酒に関しては、わたしよりもずっと詳しくさらに強かった。

20歳の学生だった男のコは、就職して社会人になり、
そして35歳になった。食事をする以外にも
ときどき、一緒に落語に行ったりもするようになった。

知り合ってから15年間で何度一緒にごはんを食べ、飲んだだろうか?
和食で日本酒を飲み、
羊肉でビールを飲み、
イタリアンやフレンチのビストロでワインを飲み、
ときには焼酎やカクテルも。

そのなかでも、頻度高く食べているのが焼肉。
まぁ、出逢った当時が若い男のコだったというのもあるけれど、
「何食べる?」
「肉」
という感じに。

で、最初はビールやサワーから入り、そしてマッコリへ。

このマッコリが危険。
よく飲むふたりなので、瓶があれば瓶でオーダーする。
口当たりはいいし、お肉にはよく合うしで、
気がつけばすぐに瓶が空く。
「もう1本」とオーダーして2本目を飲む。

で、危険なのは3本目。

大抵、このあたりから記憶がなくなってくる。
彼曰く「俺は止めた。3本目だからやめろって言ったのに、
”だいじょうぶ、だいじょうぶ、飲める飲めるよぉ”って」と
いうことなので、わたしが悪いのかもしれない…。
(でも、記憶がないだけに、彼の言うことが真実かはわからない)
3本目行った結果、絡む、ケンカする、泣く、寝る等いろいろやらかして、
記憶がないまま放置されること数回。
「ほんと、めんどくせぇ」と言われること数知れず。
なので、約束として「マッコリは2本まで」となっていた。

先日、久々に昼間に一緒に飲んだ。
亀戸でホルモン。
マッコリは3本行って、記憶も飛んだ。
最後の1本は2時間制限の中のラスト30分で飲んだらしい。
気がつけば総武線の中で船橋だった。
もちろんひとり。完全に放置。
たぶん亀戸>三鷹>船橋と往復している。

お店を出たときは夕方だったはずなのに、とっぷり日が暮れていた。

彼にメッセージを打つ。
「ごめんね。怒ってるよね。記憶がないです」
返信はない。

「ああ〜やっちゃった。また」と思う。
何度も経験しているのに、まったく学んでいない。

なぜか夜明けの4時くらいに
「怒ってはいないけれどあきれている」と返信がくる。

はい、すみません。

が、彼がわたしの泥酔時の動画を撮っていることがわかる。
「面白いよ〜。送るから見たほうがいい」
「削除しないと殺す」と言うと、
「物騒だな。もし殺されたら動画が自動的にアップするように
プログラム書くから」
彼はSEなので、本当にやりかねない。
どうにかしないと…。

心からマッコリは2本までと誓う。

酒に飲まれない人生。
それは薔薇の日々なのだろうか?







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