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旅と、ひとつまみの"過去"。

旅をするとき、私はその土地の過去や歴史を、ほんの「ひとつまみ」知るようにしています。

この「ひとつまみ」というのが実はミソで、すごーく深く知らなくても、
ちょこっと過去の知識があるだけで旅は益々楽しくなると思っています。

もちろん、歴史好きな人はどんどん掘り下げて理解を深めていくのも、素晴らしいと思うのですが、実は私は昔から歴史は大の苦手科目で、"歴女"なんかからは、程遠い場所にいます。

それでも、旅を始めてからは過去を知る楽しさに目覚め、相変わらず年表は覚えられないけれど(笑)その土地の歴史や文化に興味を持つようになりました。

ひとつまみの"過去"

それが、私にとって旅を楽しくするスパイスであり、私の旅の楽しみ方です。

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なぜ、"古いもの"や"過去"が好きなんだろう?

先日、古いものを愛してやまない友人たちと、古き良きホテルや空間について話していた際、なんで古いものが好きなの?という話になりました。

ひとりの友人が、「未来は不確定だけれど、過去は唯一書き換えられるもの」のようなニュアンスのことを言っていて、なるほど、と、思いました。

実は、過去って1番「余白」のある存在なんだなと。

例えば、この前横浜にあるクラシックホテル、ホテルニューグランドに泊まりに行ったのですが、ここに、シーガーディアンIIというバーがあります。

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シーガーディアンIIは、サザンオールスターズの「LOVE AFFAIR ~秘密のデート」の歌詞に登場することでも知られているバーです。

マリン ルージュで愛されて
大黒埠頭で虹を見て
シーガーディアンで酔わされて
まだ離れたくない

サザンは今も活躍されている方達なので、歴史というよりかは、「桑田さんの過去」を辿ると言った方が正しいかもしれませんが、

ついつい、

桑田さんは誰かと来たことあるのかな?
秘密のデート、してたのかな?(笑)
どの席に座ったんだろう。
なんのカクテル飲んだのかな。
誰を酔わせてたのかな?(笑)

と、思わず歌詞の舞台になったこの場所をきっかけに、桑田さんの"過去”に思いを巡らせてしまいました。(つまりは妄想。笑)

これが例えば、何らかの形で、
「桑田さんはこの人とこの席に座って、
このカクテルを飲んで、こんなことを考えていた」
と、多くを語られすぎてしまっていると、妄想や空想する余白がなくなってしまう気がします。

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過去というのは、「足りない」ことに価値がある。

もちろん、とても正確に過去の記録が残っていることもあるとは思いますが、関わっている人が複数いれば、複数の人たちの視点があるし、心の中で何を考えたのかまで、100%完璧に記録されている過去というのは、普通はないですよね。

「完璧でない情報」、だからこそ、そこに余白が生まれ、自分自身の中で、過去を自由に書き換えてみたり、過去を作ってみたり、そんな楽しみが生まれるんじゃないかと思います。

足りないことを楽しむための、ほんのひとつまみの"過去"

ただ、全く旅の場所や地域に関わる過去や歴史・知識がないと、
足りなさすぎて、もはや、"未知"になってしまいます。

未知すぎると、自分の中に1ミリもモノサシがないため、
私は思考がとまってしまったり、ただただ、驚きだけが印象に残ってしまったりします。(そんな旅も、たまには面白いですが...!)

自分の空想欲や妄想欲が掻き立てられるような、語られすぎていない情報や知識を得る。完璧に調べなくてもいいんですよね。旅の目的地に向かっているときに、ちょこっとネットで検索をしてみたりするだけ。自分が想像を巡らせたい対象については、もうちょっと深く調べてみたり。


文豪ゆかりの宿に行くときは、その文豪が書いた本を試しに読んでみる。
歌の舞台になっている場所であれば、その曲を向かう途中に聞いてみる。

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そんな風に、頑張りすぎない、余白を感じられるくらいの、ほんのひとつまみの"過去"が、旅を楽しくするスパイスなのかなと思っています。


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普段は主にTwitterで情報発信をしているのですが。
教科書のように、歴史や過去を伝えることはできないけれど、その土地やその空間に行った人が、自由に『余白のある過去』に想い巡らせ、時間旅行を楽しんでいただけるような情報を発信できるように心がけています。よかったらTwitterも覗いていただけると嬉しいです。


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