朗読・二葉亭四迷『浮雲』⑱第二編 第九回 すわらぬ肚(後編)
ほぼ週一ペースで日本の著作権切れの作品を朗読しています。
今回は『浮雲』18回目。
作中では第二編 第九回 すわらぬ肚の後編です。
【登場人物】
内海文三: 父を早くに失くし東京の叔父の家に居候中。痩せて背が高い。最近失業した堅物。
園田孫兵衛: 文三の叔父。
お政: 孫兵衛の妻、お勢の母。浮気者で大酒飲み。「ひ」を「し」と発音する江戸っ子。
お勢: 園田家のお茶っぴぃ娘。小学校後に入塾したが、今年の春の暮れに退塾して家に戻って来た。英学を学んでいる。
勇: お勢の弟。現在は某校に入舎中で家には居ない。
お鍋: KYな女中。チョンボリとした摘ッ鼻と日の丸の紋を染め抜いた頬の、ズングリムックリな生理学上の美人。
本田昇: 文三の元同僚。話がうまい中背の男。課長のご機嫌伺いに余念がなく、そのお陰か最近昇進した。
石田某: かつて英国に留学し、英国のくだらないことならよく知ってる英語教師。文三が仕事の斡旋を頼んでいる。
【これまでの『浮雲』】
お年頃の文三は一つ屋根の下に共に暮らす叔父の娘、お勢と良い感じ。
が!文三、仕事をクビに。
一方で元同僚の本田昇は昇進!
お勢はなんだか昇のことを気にし始めてきた?
ある日、昇がお勢とお政のいる前で、課長に文三の復職を願い出てやろうかと言って来た。
課長はお前だけの課長じゃないし!なんで二人の居る前で!
悔しい文三、怒りに任せて家を飛び出して。。
【朗読】
第二編 第九回
すわらぬ肚 後編
BGM: MusMusさん
活字で全部読んでみたい方は青空文庫さんや本屋さんでどうぞ!
【語彙】
修羅苦羅: 怒り狂う阿修羅のように心が揺れ動くこと
恢量大度: 寛大なこと
口強馬: 自分の意見を曲げない人
熟柿: よく熟した柿
Despair: 絶望、落胆
勉励: 一心に励むこと
弁駁: 論破すること
【あとがき】
山口某とは第一編の冒頭で、文三と昇の会話に出てきた人物です。
事務を取らせたら一等、しかし課長に注意をしたことで免職になってしまったという男。
これまでの話をそのまま信じるのならば、
どうやら文三、山口、昇の三人は仕事が出来る。
昇は上司を前にすればプライドなんてなく、
暇さえあれば上司の顔色伺いに余念がない。
しかし文三と山口はプライドが高く真面目で曲がったことは大嫌い。
上司に媚びるなんてあってはならない!
その結果、
上司に媚びた昇は昇進、
逆らった文三と山口は免職。
何ともやるせないですね。
現代はこうではないことを願うばかりですが。。
文三は内気で山口は武闘派と、
同じ生真面目な二人ですが性格は全く異なります。
さて、明治の新時代。
こんな真面目な二人はどうやって
この移り変わりの激しい激動の時代を渡って行くのでしょうか。
ということで、続きは次回です。
よろしければまたお付合いください。
🍀🍀🍀
大前提としてこのようにいろいろ調べてるのは、あくまで朗読のためです。
専門家でも何でもないので、思い違い、読み間違えもあるかもしれません。一応自分なりに調べて自分なりの理解で読んでいます。
その辺はご了承ください。
何かお気づきのことがありましたらぜひぜひお教えいただきたいです。
今後の朗読に役立てていきます!