書くこととアイシング
この週末、出かけてたくさん歩き回った。
スマホ内蔵の歩数計によれば、一日で二万歩ほど歩いている。普段が五千歩くらいなので相当多い。
おかげで、脚はむくみでぱんぱんだし、足先もパンプスの中に押し込んでいたせいで赤くなってしまった。
うっかり日焼けもしたので、顔もほてっている気がする。
そういう時、疲れているのに寝られないっていう悪循環によく陥る。この夜もそうなりそうで、暗い部屋の中、このだるさをどうにかしなければと考えた。
「冷やしてみよう」と思ったのは、日焼けを鎮めるためにした顔パックがひんやりして気持ちよかったから。でもすぐに人肌のあたたかさになってはずした。
もっと冷やしたら快適になるんじゃないかと、ボウルに氷水を入れる。タオルハンカチをつけて泳がせると、氷がカラコロカラコロ鳴って、先に寝た夫が寝返りを打った。
顔と足に順番にぎゅっとしぼったタオルを当てると、熱さもしんどさも、すっと吸いとられて蒸発していくみたいな気がした。
ぬるくなったタオルを、氷水に静かに付け直しながら、私は自分が書いている文章のことを思い出していた。
誰にも見せないノートに、日記に手帳。そしてウェブで公開する文章。どれも書くことによって、気持ちにアイシングしてるのとおんなじかもしれない。
書くことはアイシング。
顔や足を冷やして、だるさを消して気持ちよくなるみたいに。書いて心にたまった熱を、しゅわしゅわと蒸発させて少し楽になる。アイシングして冷さないと、頭に色んな思いがたまってオーバーヒートしちゃうのだ。
そのあとは、ひんやりとした肌がとても気持ちよくて、そのまますぐ眠れた。
また熱く疲れがたまったら、カラコロカラコロ氷で冷やして、しゅーしゅー冷まして。とりとめなくても書き記して。自分を楽に心地よくさせて眠りにつこうっと。
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