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イネーブルメントを実現するためのインターンシップ設計

はじめに

私(@tenntenn)の所属するナレッジワークでは、2023年3月15日〜17日の期間で「Gopher Enablement Internship」と題してインターンシップを行いました。13名の方に参加いただき、参加者アンケートの結果(回答率100%)は、満足度が5点満点中で平均4.84点と非常に高いものになりました。

このインターンシップでは、タイトルにGopher(Goエンジニアの意味)とあるようにGoに関する題材を扱う学習型の短期インターンシップです。また、ナレッジワークが大切にしているEnablement(イネーブルメント)についても重要なテーマの1つとしたインターンシップでした。
なお、ここでいうイネーブルメントとは、「ひとりひとりの成果・能力の向上」と定義しています。

本記事では、スタートアップであるナレッジワークが新卒採用やインターンシップを行う想いやイネーブルメントを実現するためのインターンシップの設計方法、インターンシップの内容や開催した結果について紹介します。

なぜ新卒採用やインターンシップを行うのか?

ナレッジワークは2020年創業のスタートアップで、本記事の執筆時点では、創業から丸3年が経とうとしているところです。それにも関わらず、新卒採用やインターンシップに力を入れていることに驚かれることがあります。

ナレッジワークのミッションは「できる喜びが巡る日々を届ける(Deliver the joy of enablement)」です。このミッションを掲げるからには、すでに入社前から他社で活躍していた人材だけからなる組織でいては、違和感を感じてしまうでしょう。

新卒で入社し、自身でイネーブルメントを体現するような方たちと共にミッションの達成に向けて日々の仕事ができると良いと考えています。
そのため、ナレッジワークでは24年卒から第1期生を迎えるべく、新卒採用やインターンシップに力を入れています。

新卒採用への思いなどは、学生向けの採用情報をご覧ください。

インターンシップの概要

「Gopher Enablement Internship」は3日間で行われました。各日の内容は次のようになっていました。

  • Day1: 講義/チーム開発

  • Day2: 講義/個人開発

  • Day3: 個人開発/成果発表会

チーム開発

チーム開発では、次のスライドのように2つのテーマのうち、1つを選択し、4〜5人のチームに分かれてモブプログラミングを行いました。

個人開発

個人開発では、次のスライドのように3つのテーマから選んでいただき、自分の好きなツールをOSSとして開発していただきました。

成果発表

成果発表は次のスライドのように、発表時間5分、CTOやメンターからのコメント・質問時間2分という構成で行いました。

できる喜びを感じるインターンシップ

「Gopher Enablement Internship」は、参加者にいかに「できる喜び」を感じてもらうかという点で設計しています。
ナレッジワークでは、イネーブルメントに必要な要素を次のように定義しています。

また、これらの要素を最大化すべく、イネーブルメントの実現を次のような4つの領域で定義しています。なお、セールスイネーブルメントのクラウドサービスである「ナレッジワーク」においても、この4つの領域に分け、製品価値の提供を行っています。

この4つの領域をインターンシップに当てはめ、次のように定義しました。

  • ピープル領域:参加者が自身のスキルを知る/開発に必要なナレッジを考える

  • ワーク領域:チーム開発/ワークシート

  • ナレッジ領域:Goに関する資料/講師・メンターから提供されるナレッジ

  • ラーニング領域:開発に必要なナレッジを得るための講義

自分のスキルを知り、必要なナレッジを考える

参加者には、学部1年生でGoを学び始めた方から他社のインターンシップで活躍してる方まで、さまざまなスキルレベルの方が参加していました。また、ほとんどの方がインターンシップで開発するツールのテーマである「静的解析」については、本格的に学ぶのは初めてでした。

この状態でいきなり講義を始めても一定の成果は得られるとは思いますが、より効果をあげるために「やるべきことの明確化」を行いました。つまり、これから開発するツールについて考えてもらい、そのツールを作るために必要な知識(ナレッジ)を考えてもらいました。その中で自分自身が何を知っていて何を知らないのか、そして何を知る必要があるのかを認識してもらいました。

このように、必要なナレッジへの解像度を上げた状態で、必要なものを中心に講義を行うことで、3日間という短い期間で効率的に学習が進むよう考えました。

チーム開発とワークシート

参加者同士の交流や個人開発への土台づくりも兼ねて、1日目はチーム開発を行いました。学年がバラバラということもあり、チーム内ではスキルレベルもバラバラという状態でした。そのため、チーム内で各個人に「できること」をベースに役割を振って開発を行うというスタイルにはせず、モブプログラミングの手法を取りました。

モブプログラミングといっても、簡易的なものでドライバーとナビゲータに分かれて、開発をすること以外は特に制約を設けていませんでした。しかし、モブプログラミングの中で他者に教えたり、他者から教わったりすることで新しいナレッジを獲得できていたのではないかなと思います。

また、個人ごとにスプレッドシートでワークシートを用意し、自分たちが必要とするナレッジや開発したいものを書いてもらうことで考えを整理してもらいました。ワークシートは他の参加者のものも閲覧できるため、同じ課題に他の人がどのように取り組んでいるかもみることができます。

提供されたナレッジ

初めてGoの静的解析ツールを作る方にとって、必要なナレッジは多岐にわたります。一からインターネットで検索してしまっては、せっかくインターンシップに参加した意味がありません。そのため、次のようなスライドを作り、予め関連しそうなナレッジへのURLを集めておきました。

チーム開発では、各チームを周りながら質問や相談を受け付け、個人開発では個人で質問しやすい環境を作り、質問や相談を受けていました。また、各チームにメンターをつけ、壁打ちや相談、質問などに対応してもらいました。

講義

参加者から静的解析の基礎やその他に要望の多かったものに関しては、全体を通して講義を行いました。go/analysisパッケージやskeletonというコマンドラインツールの使い方、Linter以外の静的解析ツールを作る方法についてなどを解説しました。

事前に参加者によって必要なナレッジを考え、解像度をあげておくことで、各技術要素の必要性や利用シーンをより理解しやすくできたのかなと思っています。

運営の工夫

次にインターンシップを運営するにあたって工夫した点について紹介します。

ナレッジワークの文化を知ってもらう

学習型の短期インターンシップでは、学ぶことが中心になりがちで、企業文化などを知る機会が長期インターンシップに比べて少なくなってしまいます。そんな中でもGopher Enablement Internshipでは、ナレッジワークの企業文化を少しでも知ってもらえるように工夫を行いました。

スタイル

ナレッジワークには、次のようなスタイル(行動指針)があります。社員はこれらのスタイルの実現を目指して、日々の業務に取り組んでいます。

ナレッジワークの企業文化を感じてもらうためにも、インターンシップに参加された学生のみなさんにスタイルを紹介し、チーム開発などを通して体現していただきました。チーム開発の様子を見ていた限りでは、スタイルを体現するように、他の参加者を助け、誠実に取り組んでいるようでした。また、Linterが考慮すべきエッジケースや数字の妥当性などを検証したりと、細部にこだわりを持って開発を行なっていました。

Good & New

ナレッジワークでは、毎朝チームで集まり24時間以内に起こった良いことと新しいことを共有しています。リモートワークで働いてる人の多いナレッジワークでは、日々のメンバーの様子を知れるとても良い機会となっています。

インターンシップ参加者にも、チームごとにGood & Newを行なってもらうことで、チームメンバー同士の交流を深め、またナレッジワークの企業文化を感じてもらうことができました。

懇親会

成果発表が終わった後は、懇親会を行いました。
懇親会の冒頭では、CTO(mayah)がモデレーター、メンター社員がパネラーとなり、パネルディスカッションを行いました。

技術や社員の人となりやナレッジワークに関する想いなどを語ってもらいました。

使用したツール

最後に本インターンシップで活用したツールについて紹介します。

reBako

インターンシップのほとんどの時間は、reBako上で行いました。reBakoはオフラインの会場を再現した、オンラインイベントサービスです。

次の図のように、テーブルを並べておき、テーブルごとにコミュニケーションを取ることができます。

Gopher Enablement Internshipでは、チームごとのテーブルや雑談テーブル、相談テーブルなどを活用しました。
また、上部にある配信ステージを使って全体向けの講義を行ないました。

reBakoは双方向にリアクションやコミュニケーションを取れる機能があり、臨場感のあるオンライン会場を実現できたのかなと思います。

ナレッジワーク(外部共有機能)

現在、ナレッジワークが提供しているサービスは、セールス職向けのクラウドサービスであるため、ソフトウェアエンジニア志望の学生である参加者のみなさんには触れる機会がないものです。

そのため、少しでもサービスに触れてもらえうよう、資料の共有にはナレッジワークの外部共有機能を活用しました。

著作権まわりの整理

Gopher Enablement Internshipで作成したOSSなどの成果物の著作権は、参加者個人に帰属するという契約を予め結んでいます。インターンシップとはいえ、賃金が発生している中で作成した著作物は、明確な取り決めをしていないと、後々のトラブルや安心して個人で開発を続けたりできません。そのため、事前に明確にしておくことで、参加者が開発を継続し、今後の学生生活や就職活動で活用できるようにしています。

この考えのもとになっているのは、ナレッジワークの「ナレッジスポンサーシップ制度」です。エキスパート人材を活かすナレッジスポンサーシップ制度という記事にもあるように、企業および個人のどちらかがフリーライドするような状態はBe Trueだと呼べません。そのため、明確にしておくことで、より参加者のイネーブルメントに活用して貰えれば良いなと考えています。

おわりに

本記事では、2023年3月15日〜17日で開催した、ナレッジワークのGopher Enablement Internshipについて紹介しました。

インターンシップの3日目には次のスライドを使って、筆者(tenntenn)から総括を行いました。

インターンシップに参加することは、これまで知らなかったことすら認知していないことについて認知する(無知の知)良い機会です。インターンシップを通して得られたナレッジは多く、人によってはパンク寸前だったかもしれません。しかし、学びを継続することで学んだナレッジは新しいナレッジを呼ぶでしょう。学びは複利的な効果を生み出します。また、学んだナレッジをシェアすることで、他者からのフィードバックや、整理することで新たなナレッジ得られるかもしれません。

参加された方が「できる喜び」を感じることができる3日間になっていれば嬉しいです。

ナレッジワークでは、引き続きエンジニアイネーブルメント事業の一環として、プログラムを通じてソフトウェアエンジニアやソフトウェアエンジニア志望の学生に「できる喜び」を届けたいと考えています。

この他にも "Enablement" と "Craftsmanship" をテーマにした勉強会Encraftを開催したり、Go Conferenceにおいてもシルバースポンサーを行なっています。ぜひ、今後のイベント情報を見逃さないようconnpassグループに登録してください!

ナレッジワークは「できる喜びが巡る日々を届ける」をミッションとして掲げ、エンジニア職だけではなく様々な仕事のイネーブルメントを実現していきたいと考えております。2022年4月には『みんなが売れる営業になる』セールスイネーブルメントクラウド「ナレッジワーク」を正式リリースいたしました。私たちのミッションや想いに共感してくださる方は、ぜひ一緒に働きましょう!

まずは話を聞いてみたいという方も大歓迎ですので、その場合は下記カジュアル面談フォームよりご応募ください!


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