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自然を感じる絵本

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記事一覧

【木はいいなあ】絵本レビュー

【木はいいなあ】絵本レビュー

【並べて楽しい絵本の世界】

ジャニス=メイ=ユードリイ (著)
マーク=シーモント (イラスト)
さいおんじ さちこ (翻訳)

この絵本にはストーリーがあるわけではありません。
ただ素朴に、「木はいいなあ」とつぶやき、
おしゃべりし、
幸せな時間をプレゼントしてくれる絵本です。
どこかで体験した光景、どこかで見たことのある景色(たとえば木登りして下にいる友達を見たとか)
たくさんの木にかこまれ

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【ぼくからみると】絵本レビュー

【ぼくからみると】絵本レビュー

高木仁三郎 ぶん
片山健 え
のら書房

【並べて楽しい絵本の世界】

開いてびっくりでした。
圧倒的な迫力!
絵本からこういう迫力を感じることは、あまり多くありません。

この迫力ってなんだろう?
世界を見る目が違う。見えているものが違う。この作者って何者なんだろう?そう思って調べてみたら、なんと物理学者でした。

そうか・・・と妙に納得。
研究者としての作者のことは何も知りませんでした。
何か

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【絵本レビュー もりはみている】

【絵本レビュー もりはみている】

北米、カナダとアメリカをまたぐ森林地帯を 何十年も撮り続けてきたカメラマンの写真絵本。森で出会った野生動物のまなざし。動物たちの息づかい。

【並べて楽しい絵本の世界】

絵本の世界には、たくさんの動物が登場します。
私たちは、生まれてすぐに可愛いうさぎやネズミを主人公とした 楽しいお話の世界を、あたり前のように 日常生活の中で受け止めて、最初は動物たちとほぼ一体化して人生を始めているかもしれませ

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【絵本レビュー 冒険図鑑 ~野外で生活するために】

【絵本レビュー 冒険図鑑 ~野外で生活するために】

私はどっちかと言えばインドア派で、臆病者です。
野外活動は、臆病者にはコワイ。

だけど、自然に触れる、よい空気を胸いっぱい吸い込む、冷たい水に触れるのは大好きです。子どもの頃は活動的な親に連れられて、休みのたびにあちこち山川海に行きました。しかも友達をいっぱい誘って(誘うのは親なんですけど)。

だから、この冒険図鑑は私にちょうどいい本です。
いや、実際に役に立つんですけど、ながめているだけで、

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【絵本レビュー ゆっくりがいっぱい】

【絵本レビュー ゆっくりがいっぱい】

「なんでそんなにゆっくりなんだい?」「なんでそんなになまけてるんだい?」ナマケモノくん考えた。

【並べて楽しい絵本の世界】

鮮やかな色が場面いっぱいに描かれている一本の木に、ナマケモノくんは1日中ぶら下がって過ごしています。
のんびり、おっとり。絵本の最初から、最後まで、ずうーっと同じ木の上にいます。

木の上で、葉っぱを食べて、すやすや眠り、ゆっくりおっとり目覚めます。

ジャングルの色々な

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山火事を生きた、めす鹿が語る絵本『わたしたちの森』。
訳者、小手鞠るいさんがくらす森からおたよりが届きました。

山火事を生きた、めす鹿が語る絵本『わたしたちの森』。 訳者、小手鞠るいさんがくらす森からおたよりが届きました。



『わたしたちの森』は山火事をテーマにした絵本。

地球環境の変化や気候変動について考えてほしい絵本です。

森の音や風の音、動物たちの息づかいなどを感じるすてきな訳をつけてくださった小手鞠るいさんは、30年ほど前からアメリカ東海岸にあるニューヨーク州の森のなかでくらしていらっしゃいます。

今回は小手鞠さんを通じて、森のお友達からおたよりをいただきました。

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みなさん、こ

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【絵本 葉っぱのフレディ いのちの旅】【自分らしさを愛せますか】

【絵本 葉っぱのフレディ いのちの旅】【自分らしさを愛せますか】

絵本に登場するのは、木の写真と、水彩で美しく描かれた葉っぱ。

大きな木の梢に近い、太い枝に生まれた、一枚のみずみずしい葉っぱ、フレディが絵本の主人公です。

【並べて楽しい絵本の世界】

フレディの周りには、自分と同じような葉っぱがたくさんいました。
始めのうちは、みんな自分と同じような形をしていると思っていましたが、やがてひとつとして同じ葉っぱはないことに気が付きました。

その中でも誰よりも

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【絵本 水の絵本】と【深呼吸の必要】

【絵本 水の絵本】と【深呼吸の必要】

地球は水の星 人はみな水の星の子ども
みえてはいるが 誰れもみていないものを みえるようにするのが、詩だ。
これは長田弘さんのことばです。

【並べて楽しい絵本の世界】

前回の記事、【エミリ・ディキンスン家のネズミ】をきっかけに、翻訳者である長田弘さんの詩を読んでいました。
そして、こちらの絵本、つづられているのは、長田弘さんの詩、絵は荒井良二さんです。

すいそと さんそだけで できている と

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【絵本 森はオペラ】と【センス・オブ・ワンダー】

【絵本 森はオペラ】と【センス・オブ・ワンダー】

森を歩くと、
年月がつむぎだす
森のいのちたちの
かがやきを感じる。
木や草のオペラは
光あふれる森の時間 
  姉埼一馬

【並べて楽しい絵本の世界】

長雨が続いたので、道端の雑草の発育がハンパなく、歩道が狭くなっている都下地方です。道幅が半分くらいになってしまっているので、すれ違う人に気を使います・・・

でも、緑がとても美しい。まるで、新緑のよう・・・
どこか、樹木がたくさんあって、深呼吸

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【絵本 せいめいのれきし】 地球上にせいめいが生まれたときから いままでのおはなし。

【絵本 せいめいのれきし】 地球上にせいめいが生まれたときから いままでのおはなし。

【並べて楽しい絵本の世界】Dear Virginia③

バージニアの最後の絵本です。
ほんとうは、ほかの絵本のことを書いてから、最後にこの絵本について書こうと思っていました。

きのう、母の弟が亡くなりました(80歳)
母はとても淋しそうです。
最後に会ったのは何十年も昔のこと。若くして亡くなった一番下の弟のお葬式の時。11人いる母の兄弟姉妹は、残り三人になりました。

80年を生きたわたしのお

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【絵本 ルピナスさん】 約束〜「世の中を、もっとうつくしくする」

【絵本 ルピナスさん】 約束〜「世の中を、もっとうつくしくする」

【並べて楽しい絵本の世界】

1982年、バーバラ・クーニーが65歳の時に刊行された本です。

ルピナスはこんなお花です

青みがかった紫、ピンク、白、黄色など、幾種類もの花をつけ、色によって花言葉が違ったりするみたい。 昔は、「心を明るくして想像力を高める薬草」だったり、ビールのつまみにもなっていたとか。なんか「すてきな魔法」にピッタリなお花です。

絵本で描かれているのは、ひとりの女性の人生

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【絵本 にぐるまひいて】生きることの基本を忘れずににいようと思う

【絵本 にぐるまひいて】生きることの基本を忘れずににいようと思う

【並べて楽しい絵本の世界】

糸井重里さんが、高橋源一郎さんとの対談の中で、絵本について、こんなことを言っています。

たぶんさ、絵本って、一種の必要悪なんじゃないかという気もするんだよね。ほんとうに地道にやっていきたいと思う人のためには、足を引っぱる絵本が最高なんだよ。”地道に生きないでね”と言っているような本が。逆に、地道に生きないぞ、という人に対しては、”地道に生きなさい”という本が登場する

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【絵本 よあけ】~夕暮れに夜明けの灯をともす

【絵本 よあけ】~夕暮れに夜明けの灯をともす

【並べて楽しい絵本の世界】

自然の中に行きたいな、

子どもの頃に見たような夜明けが見たいな

そんな気持ちで、今朝はこの絵本を手に取りました。

この絵本にただよう静かさが時々必要になります。

------福音館書店サイトより------
山に囲まれた湖の畔、暗く静かな夜明け前。おじいさんと孫が眠っています。沈みかけた丸い月は湖面にうつり、そよ風の立てるさざ波にゆらめきます。
やがて水面にも

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【絵本 はるにれ】~自然の音がきこえてくる~

【絵本 はるにれ】~自然の音がきこえてくる~

【並べて楽しい絵本の世界】

この絵本の主人公の はるにれ は北海道中川郡豊頃町にあり、写真家は1本の木を4年かけて撮影したそうです。

写真だけ。文章もイラストもありません。

広い青空のしたのはるにれ

朝焼けをうけて美しいシルエットを浮かびあがらせている木

雪原に立つ木 黄金の指輪をはめたかのような はるにれ

満月を戴いた雄大な姿

風の音や、雪に覆われた静寂や、凍り付いた枝からぴしっと

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