見出し画像

【ネタバレ】オズグッド・パーキンス『Longlegs』猟奇殺人事件の捜査官を追う不気味な画面構成

オズグッド・パーキンス長編四作目。監督はアンソニー・パーキンスの息子らしい。本作品はNEON全米配給で注目を集め、NEON配給作品で最高収益をあげたとなった。物語は直感能力に優れる若きFBI捜査官リー・ハーカーが、過去30年間に渡って猟奇殺人事件に痕跡を残す"LONGLEGS"という存在に挑むというもの。画面サイズはシネスコだが人間は基本的に一人しか画面に入らず、殆どの場合で画面中央に顔が来ることから、周辺の情報が抜け落ちてしまう恐怖が付きまとう。実際に中央にリーを配した画面の周辺の暗闇に悪魔が潜んでいたという瞬間が何度かあった。また、中央に人が居ない瞬間でも(もちろん居る瞬間でも)一点透視法のように画面が構成されるので、自然と縦に伸びる画面と奥にある消失点に目が吸い込まれるようになっている。画面が横に広いのに縦方向が意識されるアンバランスさが寧ろ閉所恐怖症的な閉塞感やリーの孤独感を強めていく。中盤で三角形の魔法陣が悪魔の紋章として登場するが、一つの消失点を持つ一点透視法的な構図もそれに該当するのだろう。という感じで構図それ自体は面白いのだが、物語がありきたりすぎるので相殺されてしまった。画面の雰囲気が不気味なだけで終わってしまった感。まぁ後に残らないのは美徳なのかもしれんが。ニコラス・ケイジは相変わらずノリノリでヤバい男を演じていて、海外では"夢にも出てきそう"と言われていた(『ドリーム・シナリオ』に掛けているのだろう)。あと、これ見よがしにニクソンやクリントンの写真が飾ってるのは時代を提示する以上に意味がある気もするんだが、私にはよく分からない。

・作品データ

原題:Longlegs
上映時間:101分
監督:Osgood Perkins
製作:2024年

・評価:60点

よろしければサポートお願いします!新しく海外版DVDを買う資金にさせていただきます!