20230213

 雨の一日。また気温が下がって、風も冷たかった。寒暖の差がこう頻繁に変化すると体調を崩しそうなので気をつけたいところだ。フォークナーの『八月の光』をあと一章で完結するところまで読み進めた。ほぼ登場人物のバックグラウンドまで掘り下げて書かれ、やっと一つの場所と事件に収束して一気に終結するものと思って読んでいたら、終わりの前の章まで新たな登場人物が登場して、その人物視点でクライマックスを描くという、ちょっと普通なら考えつかないような構造に驚く。先日、読み終えた保坂和志『書きあぐねている人のための小説入門』でも「登場人物はなるべく多く出したほうがいい」とは書かれていたが、それにしても過剰である。フォークナーが何を意図していたのか、はっきりとは分からないが、一つの事件、場所、時間というものをより重層的に描いたという意味では成功している。しかし、この作品はかなり売れたそうなので、これだけの登場人物を出しておいて読者を混乱させなかった、その技術は流石としか(ノーベル文学賞作家を捕まえて言うのも何だが)言いようがない。

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