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文字ラジオ『ゆりがたり』第三回・ブラッディ・ロマンスの射手 結野ちり

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☆最初に『スカーレット』を見て思ったのが「絵がきれい」なんですよね。美しい、画力がずばぬけているじゃないですか。漫画家さんにとっては基本的なことで伝えづらい点かなあと思っていたんですがSNS上で、もっと言ってくれていいのよと仰っていたので。
「ああー! 書きました」
☆それを見て「あ、言っていいんだ」って思ったんです。実際絵がすごい綺麗だと思って。
「そう言っていただけると本当にある意味話を褒めていただけるよりも嬉しいんですよ。絵にわりとコンプレックスっぽいものがあったので。絵に色気が足りないとか。結構なんとか見てもらえるようにもってこれたので。そう言ってもらえると安心して描けます」
☆そうなんですか。色気が足りないとは感じないです。
「ありがとうございます。少女漫画的な絵などに惹かれる部分があるのでそう言っていただけるのは嬉しいです
☆『スカーレット』は画力の高さがずば抜けているなと感じて、…後から元は青年向けの漫画を描いていたと知り、なるほど、と。『百合姫』でここまでの画力の方が出てくるんだ、と驚きもひとつあったんです。
「本当にありがとうございます」
☆びっくりしたんです。“君臨”と感じました。
「本当に『百合姫』がすごい大好きで、コダマナオコ先生とかサブロウタ先生とか未幡先生とかみんな大好きなんですけど『百合姫』で描くつもりは最初はなかったんです。もともと『ヤングガンガン』や『ドラゴンエイジ』で読みきりの形式で描いていたので、そこでそのまま描いていくんだろうなと思ってたんですが、ありがたいことに『百合姫』さんから連載のオファーをいただきましてよかったなと思います」
☆私の場合、結野先生の作品は『百合姫』ありきで知ったのでそこの情報は遅かったんですが、もともと百合が好きだったんだと伝わってくる部分がありました。『スカーレット』は設定が凝っていると思いまして、一話ずつ伺いたいんですが…インタビュー前の事前確認で一話の見所はアイリスとフィーネの契約シーン、最初に浮かんだ場面と伺いました。
「そうですね。二人の関係ありきで始まったので屋敷が燃え盛って人が血まみれのなかで、二人で命をかけて誓う場面なんですね」
☆切迫していて命がけで言ってしまえば重いかもしれないんですけれども、そこから始まるのはいいなと。この話は連載の第一話ですが、それ以前から百合に関する短編を描かれていてそれが第一話にいい感じであらわれていると感じたんです。短編だとそこで終わるところが、そこから始まるのでここからどうやって二人は生きていくんだろうと感じて。フィーネがすごく好きで。アイリスも好きなんですけれど女性でフィーネ好きな人多いと思うんです。
「そういうイメージをしていました。フィーネは『男装の麗人』というか…『赤ずきんの殺し方』を『ヤングガンガン』の担当さんとつくったんですが宝塚のようなかっこいい女性にしてみようと…戦える女性というか力のある女性が好きなので」
☆『赤ずきんの殺し方』の頃から男装の麗人っぽくしようとモデルが固まっていたんですね。
「『赤ずきんの殺し方』以外にもう一個未発表のお話があって、フィーネとアイリスがそこでも主人公なんですがそこでもう固まっていましたね」
☆なるほど…。アイリスが先にできたのかなと思ったんです。赤ずきんが好きとおっしゃっていたのでその好みが先にきているのかなと。
「その通りです。先にできたのがアイリスで相方を考えていったときにフィーネが生まれた。最初に考えるときにとにかく百合を描こうと思って赤ずきんを出して。メルヘンな雰囲気だけでは足りないから薬物要素を出したりと、その過程で生まれたのがフィーネなのかなと。戦える象徴としての女性です
☆アイリスありきのフィーネなんですね。
「最初は狼が赤ずきんを食べるというところが最初に決まっていて、そのヒロインを補完する形でうまれたのかなと…今思いました
☆今思ったんですか(笑) 童話をモチーフにした百合は一時期短編で出ていたり、自分もたまにモチーフにすることがあるんですが、赤ずきんに特に惹かれる理由はあったのでしょうか? 白雪姫や人魚姫など、童話のお姫様はたくさんいるじゃないですか。
「それはですね。人魚姫とかヘンデルとグレーテルは設定が強固な気がするんです。もとから完成されている。赤ずきんも当然完成されてはいるんですけれど想像する余地が残されている気がするんです。赤ずきんと狼とおばあちゃんがいれば、いろんな想像する余地があるかなと
☆ 言われてみれば出てくる登場人物が少なくて関係性がかっちり決まっている。けれど演出のしがいがあるといえばありますね。

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