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バーチャルつくばで恋アスの聖地巡礼

この記事は、つくばサイエンスツアーのWebサイトで利用できる「VRツアー」機能を使って、TVアニメ「恋する小惑星(恋アス)」のバーチャル聖地巡礼をしてみようというものです。VRヘッドセットはもちろん、PCやスマホでも手軽に体験できます。

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はじめに

全国の恋アスファンの皆さん、いかがお過ごしでしょうか。筆者は光学機器メーカーVixenが発売した桜先輩コラボルーペを購入しました

さて、恋アスの楽しみ方の一つに聖地巡礼があります。特に、アニメ4話や11話で地学部が合宿する茨城県つくば市の展示施設は忠実に再現され、実際に足を運ぼうと思った方も多いことでしょう。

ところが、COVID-19感染対策のため、これらの展示施設は軒並み休館せざるを得なくなってしまいました。各施設の現状は以下の通りです(筆者調べ、2020年5月16日現在)。

地質標本館:当面の間臨時休館
筑波宇宙センタースペースドーム:5月31日まで休館
国土地理院 地図と測量の科学館:当面の間臨時休館

つくばサイエンスツアー・VRツアーとは

実際に行けない今だからこそ、楽しんでいただきたいコンテンツがあります。それが、「つくばサイエンスツアー」によるVRツアーです。

つくばサイエンスツアーそのものは、つくばにある研究教育施設を実際に回るツアーを紹介する事業です。そのウェブサイトでそれぞれの施設のページを開くと、施設内の全天球画像を閲覧できます!

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© 2017 TSUKUBA SCIENCE TOUR OFFICE

実際に動かしている様子です。見回すことはもちろん、矢印をクリックして館内を移動することもできます。
操作感はGoogleストリートビューに近いですが、こちらの方が高画質で歪みも少ない高品質な全天球写真となっています。

このVRツアーでは、恋アスで登場した地質標本館筑波宇宙センター地図と測量の科学館はもちろん、高エネルギー加速器研究機構(KEK)やつくばエキスポセンターなど10種類の施設を訪問できます。

さっそくこの記事を閉じてVRツアーのページにアクセスしていただいても構いませんが、もう少し続けて恋アスで登場した3施設のVRツアーの魅力をご紹介することにします。

また、「VRと言いつつパソコンで写真を回してるだけじゃないか」と思った方向けに、記事の後半ではスマホやVRヘッドセットVRツアーを閲覧する方法をご紹介します。

地質標本館

4話の合宿回で最初に出てきた、地球科学の博物館です。岩石オタク全開で展示を回る地質班や、みらが化石鑑定を受けるエピソードが印象に残った方も多いと思います。

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© 2017 TSUKUBA SCIENCE TOUR OFFICE

1階の第4展示室です。アニメで出てきたままの光景ですね。部屋の中央で撮られているので、全周囲が鉱物の陳列棚です。

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© 2017 TSUKUBA SCIENCE TOUR OFFICE

3話次回予告に出てきたデスモスチルスの化石は第1展示室にあります。

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© 2017 TSUKUBA SCIENCE TOUR OFFICE

2階の廊下。イノ先輩が日本地学オリンピックに挑戦するきっかけになった、「過去の鑑定試験に使用された岩石・鉱物・化石の標本」が奥にあります(残念ながら正面からの画像はありません……)。ホール天井から下がっているたくさんのボールは、日本の地震の震源を表す模型とのことです。

JAXA筑波宇宙センター スペースドーム

4話・11話で登場します。VRツアーでは、一般向け展示館のスペースドームの中に入れます。

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© 2017 TSUKUBA SCIENCE TOUR OFFICE

スペースドームのシンボル「ドリームポート」正面から見た全景です。アニメでもこれに近い場所からのカットが使われていました。

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© 2017 TSUKUBA SCIENCE TOUR OFFICE

国際宇宙ステーション「きぼう」実験棟前です。左奥にはモンロー先輩が見ていた「だいち2号」模型が、右奥にはモンロー先輩が最後に遊んでいた顔出し宇宙服があります。

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© 2017 TSUKUBA SCIENCE TOUR OFFICE

みらあおが小惑星探しについて質問する場面で1カットだけ出てくる歴代ロケット模型です。かなり巨大な展示なのが分かります。

地図と測量の科学館(国土地理院)

イノ先輩が行きたかった国土地理院です。アニメでは最後の数分での登場でしたが、VRツアーならゆっくり回れますね。

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© 2017 TSUKUBA SCIENCE TOUR OFFICE

「ここが地図づくりの拠点、国土地理院……!」

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© 2017 TSUKUBA SCIENCE TOUR OFFICE

ラウンジの3D日本地図です。赤青メガネで見ると立体的に見えるそうです。

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© 2017 TSUKUBA SCIENCE TOUR OFFICE

屋外展示の「地球ひろば」です。日本列島球体模型や測量用航空機「くにかぜ」が展示されています。奥には遠藤先生の思い出の施設「つくばVLBIアンテナ」の部品展示も見えます。

VR巡礼してみる(スマホVR編)

iOS・Androidスマートフォンのセンサーを使い、周りを見回すことができます。スマホを差し込むタイプのVRヘッドセットがあれば没入感が上がることでしょう。

筆者所有のiPhone 8で試してみました(Androidも手順はほぼ一緒です)。

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スマホのブラウザでVRツアーのページを開きます。横持ち推奨です。メニューにある「HEADSET MODE」のボタンを押します。

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ページが移動するのでもう一度HEADSET MODEを押すと、iOS13では「動作と方向へのアクセスを~」というメッセージが出るので許可します。すると画面が左右に分割され、スマホの向きに連動するようになります。
※ iOS12で動かないという方はこちらを参考に設定してください。

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実際に動いている様子です。スマホ向けヘッドセットがないため手持ちですが、実際に見回すことで位置関係などがよく把握できたと感じます。

※ ここだけiPhone 8ではなくiPhone 5sで撮影しました。実は、iOS13.4.1のiPhone 8では「動作と方向」を許可しても向きと画面が連動しなかったのです(SafariでもChromeでも同じ現象)。iOS13.3のiPadでは大丈夫でした。

VR巡礼してみる(SteamVR編)

今度はWindows PC向けのVRプラットフォームであるSteamVR対応のヘッドセットHTC Viveを使ってVR巡礼してみます。

Google Chromeは残念ながらこのサイトが使っているWebVRという規格に対応していません。推奨ブラウザはFirefoxです。持っていない人はインストールしましょう。

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VRツアーのページを初めて開くと、「VRデバイスへのアクセスを許可しますか?」と聞かれるので許可します。HEADSET MODEに切り替えると、すぐにヘッドセット側に全天球画像が出てきます。

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体験してみて、とにかく没入感が圧倒的だと感じました。実際のスケール感で展示が見えるため、実際にその場所に行った感覚により近づきます。

ただし、立体視はできないので、奥行きは脳内補完して楽しむ必要があります。

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ぜひ把握しておきたい機能がオーバーサンプリングです。体験中にメニューボタンを押すと設定画面が現れ、内部解像度の倍率を変更できます。初期の1.0から1.5くらいに上げると展示の文字が読みやすくなるのでおすすめです。なお、2.0程度より上では解像度が高すぎて画面がカクカクになってしまうため、上げすぎに注意しましょう。

VR巡礼してみる(Oculus Quest編)

先日入手したOculus Questでもやってみます。ブラウザはFirefox Realityが使えました。

VRツアーのページを開きます。

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最初は平面で表示されるので、HEADSET MODEボタン、もしくは一瞬だけ表示されるEnter VRボタンでVRモードに入ります。

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ボタン一つで平面から全天球画像にシームレスに移行でき、PCのFirefoxより楽に操作できました。臨場感はPCのVRと同等だと感じました。

全天球モード中は、左手のメニューボタンで平面モードに戻れます。また、Aボタンでオーバーサンプリングの設定を表示できます。

おわりに

COVID-19の流行開始以降、全国の博物館や科学館が展示のオンライン公開の取り組みを進めています。そのなかでも、つくばサイエンスツアーは多数の施設で高品質な全天球写真を公開している点でかなり整備されている部類だと思います。しかも、このVRツアー自体は2017年に用意されたもので、COVID-19騒動で慌てて準備したわけではないようです。

せっかくの良いサービスなのにあまりネットで広まっていないようなので、布教記事を書いてみました。恋アスファンもそうでない方も、バーチャルなつくばに出かけてみられてはいかがでしょうか。

筆者について

kn1chtと申します。中学・高校・大学で8年間天文部に在籍していました。天文ファンの視点から「恋する小惑星(恋アス)」を考察した記事を12話分書きましたので、そちらもご覧いただけますと幸いです。


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