若手街弁の生存戦略②ー売り物は「専門性」のみにあらずー

「専門性」「専門性」と言うけれど…

私が弁護士登録をしてから10年間で、もっとも耳にする機会が増えたであろう言葉。

それが「専門性」です。

「これからの弁護士は専門性が大事になる。」
「専門性で差別化を図り、競争を勝ち抜く。」
などなど、あちらを向けば専門性。こちらを向いても専門性。

「これはもうセモハラ(専門性ハラスメント)ではないか!?」と思うほど、業界内には「専門性」というワードが溢れています(※あくまで私の個人的観測の範囲内です。)。

「専門性」での勝負は、基本的に若手が不利

しかし、「専門性」といわれるものの多くは、特定分野の業務について経験を積み重ねることでこそ身に付くもの。「専門性」で勝負をしたら、経験のある弁護士ほど有利で、経験の少ない若手が不利なのは自明です。
ましてや、弁護士登録直後から数年経ったくらいの時期は、他の弁護士との競争において武器になるような「専門性」なんてない、という人の方が多いのではないでしょうか。

既存の弁護士が取り組んでこなかった新規または未開拓の分野であれば、若手でも「専門性」で勝負できるでしょうが、そういった分野について「専門性」を身につけるのも、それなりの時間(と能力と運)が必要になります。

そう考えると、登録10年目くらいまでの若手が「専門性」を武器に勝負するのは、不可能ではないにしても、なかなか難しいものがありそうです。

街弁の相談者・依頼者と「専門性」

でも、「専門性」がなければ街弁として生き残れないのかというと、そんなことは全然ありません。

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