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スタートアップにおける特許出願/取得の目的とその効果

発明って素晴らしいですね。発明で社会に貢献する人のことを発明家といいますが、キレのある感性や、リッチな生活スタイルが感じられます(実際はそうでもなく、偏屈な方が多い感じもしますが・・ ex. ニコラ・テスラ)。

さて、その発明とは「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」と、特許法で定義されています。技術的思想の高度な創作物なんですね。よって、独自技術を持つ個人や法人は、その技術の独自性を明文化し、誰よりも早く出願(*1)を行うことで、当該技術を知的財産として権利化することができます。

さて、その知的財産ですが、この10年で日本で目覚ましい発展を遂げてきたスタートアップ企業において、その権利化にはどのような目的や効果があるのでしょう。

以前から考えていたことをまとめてみました。

①大企業とのオープンイノベーション速度向上

オープンイノベーションとは、「社外から新たな技術やアイデアを募集・集約し、革新的な新プロダクトやサービス、またはビジネスモデルを開発するイノベーション」のことで、2003年にUCバークレーのチェスブロー教授が提唱したものです。この施策によって米P&Gが売上高を倍増させた例などが成功事例としてよく挙げられます。とeiiconさんに教えて頂きました。

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前置きが長くなりましたが、オープンイノベーションという枠組みで大企業とスタートアップが製品を共同開発するというケースにおいて、最大のリスクは「製品を開発した後に、別の企業から特許侵害で訴訟」を起こされることです。突然、投資対効果=マイナスが確定する瞬間です。

スタートアップはほとんどが創業して年月が浅く、社会的信用は低くて当然ですし、ビッグマウスで夢を語る方も多いので、「自社独自アルゴリズム」「競合はいない」と言うかもしれません。一方、大企業側はそれを鵜呑みにするワケもないのですが、調査に膨大な時間がかかってしまいます。そもそも専門領域でないところから新たな技術や知見を得るわけですから、時間(とお金)がかかってしまうのは当然の成り行きです。

そんな時、その独自技術をスタートアップが権利化していれば、信用を高めることができ、大企業側は膨大な調査時間をカットすることができます。結果、契約や開発のスピードを高めることができ、市場の機運を逃すことなく製品を投入できる、といった大きなメリットに繋がると考えています。

実際、この目的に対しては大きな成果を生み出すことが出来ています。

②社内モチベーションアップ

実はみんな嬉しいみたいです。自社の独自技術が公的に認められた企業に勤める安心感や、技術に対する誇りに繋がっているようです。今期目標に「特許出願」を入れてくれたAI技術者もいて、私としてはとても嬉しい。当初想定していませんでしたが、社内のモチベーションアップは副次的な成果として体感しています。

ちなみに、AIはバックエンド+ブラックボックスなので「特許として出願できるところはない」「意味はない」というお考えの方も中にはいますが、世界で「AI特許戦争」が勃発しているいま、その考え方のままだと、我が国は益々後塵を拝すことになりかねません。

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③参入障壁

これは別に気にしていません。我々から訴訟を起こすようなこともないでしょう。そこに使う時間もお金もないので・・・。それよりも、一緒に市場を創出しましょう。我々一社では到底賄いきれない巨大な市場が、いま生まれようとしています。主にエッジAIの商用化やMECによって!

④世界戦略(PCT出願)

当社の知財戦略の最大の目的はこれにあり。国際調査報告(サーチレポート)や、国際予備審査報告を受ける事により、新規性、進歩性、産業上の利用可能性についての判断が可能となります。

要するに、これは市場調査と同義であると考えています。その国に拠点を構えなくても、・・・もっと言うと、行かなくても、技術に関するディープな市場調査ができて、かつ、信号がブルーであれば特許を取得して、当該国際市場に打って出られるという「判断」が可能になります。

米大手自動車メーカーや仏半導体ミドルウェアメーカー企業さんらから技術照会を受けている当社にとっては、「え、米国や欧州にないの?」と意外な驚きがありましたが、PCTを出願することで、それを明確に確認することができ、海外進出の蓋然性を高められると考えています。

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上記で見て頂いたグラフにあるように、日本の特許を牽引するのは大手企業ですが、昨今では量よりも質が重視されていると言われており、総合的に分析されると分が悪いようです。

そのあたり、実際のところどうなのかちょっと見えないところもありますが、あまり気にせず、我々スタートアップはリソースが限定されたなかで、良質の特許をPCT出願し、少しでも日本の国力向上に寄与できればと考えています。

・・・・・・

今日はこんなところで。

お知らせ

◆というわけで、新たな特許を取得しました。


◆当社の特許に関する詳しい解説は、今月の「画像ラボ」をぜひお手に取って読んで頂けますと幸いです。


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(参照)

(*1)最初に特許出願を行った者に特許権を与える制度。例えば、同じ発明をした者が二人いた場合、どちらが先に発明をしたかにかかわらず、先に特許庁に出願した者(出願日が早いほう)が特許を受ける権利を有する。これに対して、先に発明した者が特許を受ける権利を有することを先発明主義という。

現在ではほとんどの国で、先願主義が採用されている。最近まで先発明主義が残っていた米国においても2006年、国際会議において先願主義の採用に同意し、米国特許法改正が2012年から段階的に開始され、2013年3月16日には移行が行われた[1]。(特許、先発明主義、米国の特許制度参照)

by wikipedia

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AIスタートアップ、アジラ代表取締役です。ピンチとリスクとししゃもが大好物。本社町田市/ 行動認識AI アノラ/ AI-OCR ジジラ/ 知財/ 特許/ 信州木曽出身/ 町田市在住/ 国士大/ NTT/ R&D/ PMP/ 柔道家/ カワサキ/ ZZR/プジョー/ RCZ/しめ鯖

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