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ID-POSで満足していませんか?~小売店舗でのDX導入時の落とし穴~

「DX推進で事業を成功に」
「DX推進を始めたい」
多種多様な業種の多種多様な企業がDX、つまりデジタルトランスフォーメーションを導入しようと、日々様々な試みを行っています。

例えば事例をいくつか見てみると
NECでは5Gを活用し、工場内を完全無線化する実証実験が2021年2月に行われましたし、教育業界を見てみても、DXツールを活用し学生・保護者向け情報発信をし始める大学も現れています。では、小売業界におけるDX導入は今、どんな状況にあるでしょうか。

小売企業でのDX

小売企業ではどのようなDXが行われているでしょうか。
Amazonをはじめとするオンライン店舗では、デジタルシェルフや個々人にフォーカスした商品推薦、口コミを活用した商品開発など、ITを用いて様々な価値が生み出されています。
一方、リアル店舗での現状を見ると、あまり進んでいないのが実情です。
オンラインに比べて、置いて行かれている感は否めません。

さらに恐ろしいことには、Amazon Goに見るように、従来オンラインで展開してきた小売店が、オフラインにも進出しようとしてきています。
つまり、いつあなたの店舗の横に、データを駆使したライバル店が出てくるかわからない時代になった、ということです。

そのライバル店では、顧客の行動すべてをデータ化していて、売れる商品、売れる方法を、深いレベルで分析しています。
A商品は若い女性に売れている。だから、女性をターゲットにした新商品は、A商品の近くに配置してみよう。
B商品はどうも手には取られるが、決め手に欠けているようだ。その原因はなんであろうか。周りの商品を変えて実験してみるか。商品説明を充実させてみるか。。。
そんなライバル店が出てきたとき、あなたのお店が今まで通りの経営を続けていたとしたら。

果たして、売り上げを維持することはできるでしょうか

何も入っていないカート

ID-POSの落とし穴

DXに興味があって、危機感を感じたあなたはきっと、せめてできるところから、と対策を始めていることでしょう。

小売店舗で取得可能なデータといえば、ID-POSが挙げられます。
「そもそもの購買数は?」
「どんな属性の顧客がこの商品を買っているのか?」
「同じ商品をどのくらいリピートしているのか?」
確かに、データを用いた分析はできそうです。
ですが、大事なデータが欠落していることにお気づきでしょうか。

それは、お客様の売り場での行動です。
買い方には、いろいろな種類があります。
お店に入った時から「この商品が欲しい」と決めて一直線に買う。
いくつも手に取って比べて、悩んだ末に買う。
売上を上げるために、そして何より、お客様に買い物を楽しんでもらうために、とるべきアクションはお客様の行動によって変わるはずです。
しかしそれらの情報をID-POSから得ることはできません
あくまで、最終的に購入したか否か、しかわからないためです。

IDPOSでは把握できない

ID-POSだけでは、お客様がリアル店舗でどんな行動をしていたか、ECでは取得されているほとんどの情報を得ることはできません。

1店舗から始められるDX導入

じゃあ、オフライン店舗でのDX導入はあきらめなきゃいけないの?

決してそんなことはありません。
1店舗から始められるDX導入をサポートする、とっておきのサービスがあります。
そのサービスの名前は、Go Insightと申します。ID-POSでは得られない、様々なデータを取得することができるようになります。

GoInsightで可能に

ID-POSではわからなかった、お客様の訪問、閲覧、比較、選択場面での情報まで、取得が可能に!

Go Insightではまず、売り場にカメラを設置し、その動画を解析、データベース化します。それらのデータを用いることによって、お客様の購買行動を深いレベルで分析することが可能となります。

例えば、いつお客様がこの売場に来たのか。そしてどのくらいの時間滞在していたのか。
どこを見ていたのか。
どの商品に触れたのか。
どの商品を最終的に購入したのか。
それぞれのデータ単体からでも得られることは多くありますが、それらのデータを組み合わせれば、さらに詳細な分析を行うことができます。
さらに、いろいろな売り場を横断的に分析することで、商品のジャンルや店舗の規模による差異も見えてきました。

ところで、あなたは誰?

申し遅れました。
大学にてデータサイエンスを学んでおります、山極綾子と申します。
最近はやりの人工知能から、その技術のベースとなっている統計知識まで。
経営に関する知識を学びながら、どのようにデータをビジネスに活かすことができるか?という観点から、日々研究を続けています。

扱ってきたデータも様々で、ECサイトにおける顧客の購買行動の分析から、社内のチャットアプリに蓄積されたコミュニケーションデータの分析、理論研究などに取り組み、また多くの学会で発表してまいりました。
その多くは大学と企業様の共同研究であり、様々な小売、流通企業様のお悩みや課題に触れてきました。

研究イメージ

そんな私ですが、2021年の頭より、コニカミノルタマーケティングサービスにおいて、リアル店舗で取得されたデータの分析にも取り組み始めました。
コーヒーなどの嗜好品から生活雑貨まで、様々な売り場のデータを俯瞰して分析する中で明らかになった「リアル店舗」での購買行動をこれから少し、お客様の購買プロセスに沿ってご紹介したいと思います。

事例1.訪問者と購入者の属性を比べてみた

まずは店舗に来店された方の、属性情報を見てみます。
当たり前ではありますが、購入履歴がない(ID-POSデータがない)からと言って、来店いただけていないわけではありません。
むしろ来店してくださっているのに、購入につながっていないお客様の属性を知ることで、売り上げ向上のための施策につながることもあります。
例えばとあるホームセンターでの、来店者の情報と、購入者の情報を、性別の観点から比較してみます。

顧客属性_立寄vs購入者

ID-POSからわかるのは購入者属性のみ、つまり右の円グラフのみです。
82.6%を女性の顧客が占めることがわかります。
でも実は、訪問者の情報を見ると、男性顧客も全体の24.9%いたのです。
訪問者と購入者で、女性の比率が7.5%も増えていました。

もし右の購入者属性データのみを分析し、8割を超える女性をターゲットに売り場改善を進めてしまったならば。
来店者の4分の1を占める男性顧客に「楽しいお買い物の時間」を提供することが、できなくなってしまうかもしれません。

そしてもちろん、売り場によっては、この差異がほとんどない売り場もあります。何が起きているのかを知るためには、さらなる深堀分析を行う必要がありますが、少なくとも商品のジャンルか、売り場の作り方か、なにかしらの要因が存在していることは間違いありません。(統計的に「属性が本当に異なっているのか?」を検定することもできます)

事例2.一生懸命悩んで選ばれる商品

悩まず、計画的に商品を購入したのか。
それとも、悩みに悩んで購入したのか。
それを測る一つの指標として、その売り場に滞在していた時間、つまり「滞在時間」を活用することができます。

この商品群は、購入時に悩む人が多い商品なのか?それとも、狙いの商品はあらかじめ決まっていて、ほとんど悩むことなく購入されるのか。
商品ジャンルごとに、売り場での滞在時間をヒストグラムで表してみると、面白い(悲しい)事実が明らかになりました。

滞在時間

上の図は、左がペット用品売り場での滞在時間、右が日用品売り場での滞在時間を示したものです。横軸はいずれも滞在時間[秒]を、同じ尺度で示しています。縦軸は、それぞれの時間滞在していたお客様がどのくらいいたか?つまり、ECに置き換えれば、閲覧者がどのくらいいたか?ということを示しています。

滞在時間が長い、すなわちヒストグラム中の右の方に棒が立っていればいるほど、そこにいるお客様が悩んでいることを意味しているのですが。。。
ペット用品は時間をかけて悩むお客様が多い一方、日用品については、ほとんど数秒で買うものを決めてしまうことがわかります。
…もう少し、新商品が出たから悩む、といったことはないのだろうか、と、いち消費者としては思いますが、それはさておき。

こういった情報も、リアル店舗で取得し、活用することができるのです。
例えば、新商品を出したときに、単に売り上げを見るのではなく、どのくらいのお客様を足止めすることができたのか?足を止めて興味を示してくれるお客様の属性はどうなっているのか?を定量的に分析することができれば。そしてそのデータを蓄積すれば。新商品発売時の最適な棚割りや、広告を明らかにすることができるかもしれません。
こういった情報があれば、もっと魅力的な売り場を作ることができる、と思いませんか?

また、今回は詳しくはご紹介しませんでしたが、次の比較のフェーズでは、一人の顧客が共通して手に取った商品の分析から、ある商品のライバル商品の分析も可能になります。
実際に買い物かごに入れる段階でも、かごに入れたお客様の属性は?
かごに入れるまでどのくらい悩んでいたのか?
多くの情報を手に入れることができます。

それこそ、昨今のECサイトで行われているマーケティング施策を、100%とまではいかなくとも、80~90%ほど実現できるのでは、と思えるほどです。
データを取得するためのコストなどの問題はもちろん残っていますが、リアル店舗でのDX導入も、決して難しいことではない、と感じていただけたのではないでしょうか。

さいごに

いかがでしたでしょうか。
リアル店舗でも、DX導入は決して難しいことではありません。
そして、オンラインにはできない、リアル店舗だからこそできるDXもたくさんあります。(例えば視線の情報をとることはリアル店舗だけの特権です

コニカミノルタマーケティングサービスでは、今回ご紹介した「顧客属性」「滞在時間」をはじめとして、様々な指標値を取得・比較・検証し、効果的な店頭施策につなげるコンサルティングサービス「Go Insight」をはじめとして、マーケティングサイエンスを推し進める様々なソリューションを提供しております。

また、来る5月11日には、DNP様、ライオン様と共同にて、無料ウェビナーを開催いたします
オンラインで進むデータ分析とその活用。
そしてリアルでのDX化の遅れ。
しかし、リアル店舗すべてにおいてDXの導入が進んでいないわけではありません。商品・サービスの価値、すなわち顧客体験を最大化する「ストアDX」の最前線を、お聞き逃しなく!

無料ウェビナーのお申し込みはこちらからhttps://promarketing.konicaminolta.com/news/20210511/


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