未来2022年10月号詠草『スリープレス・スリープ』

未来2022年10月号詠草『スリープレス・スリープ』  風野瑞人

明け方の夢のつづきを生きている うなされながら ほだされながら

水曜の途方に暮れてブラックのインスタントももう三杯目

弱々しいカンガルーの日の陽を借りて少しまとめてうたた寝をする

薄っすらと削られる生を粗挽きで 今夜もきっと眠りは来ない

指さきに罪深く残るしめり気の起きているというなまあたたかさ

黙々と今日に栞が挟まれて とにかく寝息を立ててみようか

永眠の空気を脳に送ろうとゆっくりと吸うでも吐いてしまう

足先が崩れるように痺れだしいま鬱の字の布団がかかる

終わりへと近づくための儀式としてスリープレスな夜は途切れず

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