未来2022年11月号詠草『歴史は嗤う』
未来2022年11月号詠草『歴史は嗤う』 風野瑞人
風説を縫って進んだその先にかつて犯した過ちを見る
いたずらに曖昧を飼うまつりごとパンもワインもどこかに隠して
じょきじょきと鋏を入れてこの星をすべて欠片にしようというのか
相聞の途切れた世界 ペーパームーン 誰を乱せば歴史は悦ぶ
枯れるときひとが必ず潜んでいる アジアンタム・ブルーはカナリア
無為な今日鎮まる頃の耳もとに月は過去を話したがらない
サイレンとサイレントなお混ざりあい黒い雨のまた降る予感
電線のプテラノドンの末裔に朝から値踏みをされる新聞
焚書などもう起きないというひとにいちから年表を書いてと言おう
羊から始まったのにメタファーとしての羊が今日も群れている
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